抄録
光重合型コンポジットレジンの毒性を調べるため,光照射時間と細胞毒性の関係について検索した。FDIの歯科材料毒性試験法の寒天重層法を一部改変した方法を考案して,ヒト歯肉由来線維芽細胞を用い,組織培養にて実験をした。実験材料はP-30,Silux,Herculite XR,Occlusin,Graft LC,Litefil A,Palfique light,Photo Clearfil Aを用いた。これらの光重合型コンポジットレジンについて光を照射しない試料と光を10秒ずつ10秒から60秒まで照射した試料をそれぞれ作製し,光を照射した直後にそれらの細胞毒性を調べた。
その結果,いずれの光重合型コンポジットレジンも光未照射の場合は大きな細胞毒性を示したが,光の照射時間が長くなると共に細胞毒性が減少する傾向が認められた。Palfiquelight,Herculite XR は60秒の光照射後も細胞毒性は消失しなかった。Silux は光照射が60秒で,P-30 は50秒で細胞毒性が消失した。Graft LC,Occlusin,Photo Clearfil Aは10秒の光照射で著しく細胞毒性が減少し,20秒の光照射で細胞毒性が消失した。また,光を照射した後,12時間と24時間経過した試料を用いて,その細胞毒性を調べた結果,光照射後の経過時間が長くなればなるほど細胞毒性は減少した。
光照射時間と細胞毒性の関係は,硬化したコンポジットレジンから溶出する物質に大きく起因することが示唆された。