小児歯科学雑誌
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無歯症に関する臨床的観察第4報:無汗型および減汗型外胚葉異形成症に伴う部分無歯症患児の歯冠形態について
石川 雅章川澄 雅代野間 俊行
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1989 年 27 巻 4 号 p. 876-883

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抄録
無汗型および減汗型外胚葉異形成症に伴う部分無歯症患児18名の上顎永久中切歯と上顎第一大臼歯の歯冠形態変異について観察し,若干の考察を試みた。
1)上顎永久中切歯28歯の歯冠形態は,近遠心の切縁結節の有無や大小などにより,円錐歯様のものから通常の形態に近い平板状のものまで5型に分類され,中切歯を除く同側の欠如していない永久歯数との間に明らかな関連が認められた。
2)ヒトの上顎大臼歯列の退化傾向を示す有力な形質とされる近遠心の圧平感は,上顎第一大臼歯には観察されなかった。
3)上顎第一大臼歯33歯のうち,hypocone の縮小が10歯,metacone の縮小が4歯互いに独立して認められた。
4)protocone 近心に原始性の強い小咬頭であるprotoconule が33歯すべてに観察され,その発達程度は,頬舌径に対するparacone と protocone の咬頭頂間距離とともに,同側の永久歯数との間に相関が認められた。
5)以上の上顎永久中切歯および上顎第一大臼歯歯冠の形態変異は,ヒトの歯における系統発生上の形態形成の過程をある程度反映し,欠如していない同側の永久歯数が少ないほど,形態形成の早期段階を示唆すると推察された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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