小児歯科学雑誌
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乳臼歯咬合面におけるレジン充填に関する研究
第2報 繰り返し荷重の影響について
二木 昌人廣田 和子市野 浩司中田 稔
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1990 年 28 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

第1報で報告したベベル付与バーの寸法・形態等に改良を加え,レジン充填の際の窩縁へのラウンドベベルおよびストレートベベルの付与がより均一で確実に行えるように工夫した.
今回は,実験条件を可及的に均一にするために,便宜的に抜去乳前歯の唇側面にラウンドベベル,ストレートベベル,バットジョイントの3種類の窩縁形態を有する窩洞を形成した.そして光重合型臼歯修復用コンポジットレジンを充填後,臼歯部の咬合・咀嚼による外力を想定して,衝突磨耗試験機を用いた衝突試験を行った.次に色素浸透試験によって,コソポジットレジンの辺縁封鎖性に与える衝突試験の影響について窩縁形態ごとに調査した.また,衝突試験前後の試料のレプリカを電子顕微鏡レベルで観察し,辺縁破折の有無・様相等について調べた.
その結果,衝突試験後の辺縁封鎖性については窩縁形態によって有意差を認め,良好な順にラウンドベベル,ストレートベベル,バットジョイントとなった.また,走査電子顕微鏡による観察では,コンポジットレジンと歯質との境界の明瞭化のみを認め,明らかな辺縁破折やギャップの所見はいずれの窩縁形態においても見られなかった.したがって,辺縁封鎖性が劣化している試料については,辺縁破折が起こる前にすでに外力によってコポジットレジンと歯質との間に微小なギャップが生じているものと推測された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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