小児歯科学雑誌
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Spastic型脳性麻痺者の咀嚼筋活動に関する筋電図学的研究
咀嚼リズム・咀嚼筋活動量について
大西 敏雄武井 謙司長澤 篤関 みつ子中島 一郎高梨 登小倉 孝夫前田 隆秀赤坂 守人
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1990 年 28 巻 1 号 p. 153-159

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抄録

脳性麻痺者には四肢の運動障害と同時に,言語活動など口腔領域の機能障害が見られる.特に摂食という生命維持のための基本的な機能として咀嚼機能を知ることは重要である.
そこで,Spastic型脳性麻痺者の咀嚼筋活動を健常者を対照に検討することを目的に,積分値で表わされる咀嚼筋活動量をもって観察した.被験者は,合併症をもたないSpastic型脳性麻痺者10名および健常者10名を対象に,物性の異なる4種類の食品を咀嚼試料にして,咀嚼運動時のリズムおよび筋活動量について検討した結果,以下の結論を得た.
1.咀嚼リズムであるDuration,Cycleは,Spastic型脳性麻痺者が健常者よりも,すべての被検食品において有意に時間が長かった.
2.咀嚼リズムの変動係数は,Spastic型脳性麻痺者,健常者ともりんごが最も小さかった.
3.筋活動量は,Spastic型脳性麻痺者が健常者よりも,すべての被検食品において有意に高い値であった.
4.Spastic型脳性麻痺者も健常者も,各被検食品の筋活動量に有意な差が見られた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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