小児歯科学雑誌
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オクルーザルプレスケールを用いた咬合接触面測定システムの改良とその有効性について
緒方 哲朗中田 稔
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1990 年 28 巻 1 号 p. 160-171

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抄録
我々は,小児期における咬合機能の発育過程を知る方法として咬合接触面に注目した.そして小児の咬頭嵌合位における咬合接触面数・接触面積・接触面に加わる咬合力の大きさを解析するため,面圧測定シート「オクルーザルプレスケール」(富士フィルム社製)と画像解析装置を用いた咬合接触面測定システムを講築し,その有効性について検討した.
その結果,次の測定条件が測定精度を上げるうえで有効であることがわかった.(1) 計測は電源投入後60分以上経過して行う,(2) 光源照射部はクロス型照明装置を透過光として使用する,(3) 資料は可及的に画面の一定の位置(中央部E区画内)に置く,(4) 濃度一圧力のキャリブレーションには, 3次の重回帰方程式が有効である, (5) 資料の採得・保存・計測の条件に充分に留意する,などである.
以上の測定条件下で,同一資料の複数回測定における変動係数は,咬合接触面積,咬合力の大きさ共に0.002未満になった.
次に,小児3名・成人3名で咬頭嵌合位における最大咬みしめ時の咬合接触面積と咬合力の大きさについて繰り返し測定を行い,被験者内変動係数を調べた.その結果,咬合接触面積と咬合力の大きさ,小児と成人共に変動係数は0.08未満であった.
以上のことから,小児の咬合接触面を解析するにあたり本測定システムの有効性が示された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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