小児歯科学雑誌
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先天代謝異常に伴って発症する歯の形成異常について
西野 瑞穂有田 憲司菊地 賢司寶田 貫木内 晶子鎌田 浩二阿部 典子三木 真弓
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1990 年 28 巻 2 号 p. 503-509

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抄録
先天代謝異常には歯牙形成異常を併発するものも少なくない.今回,これまでに報告されているものの他に歯の形成異常を併発する先天代謝異常があるか,あるとすればその形成異常はどの程度のものであるかを知る目的で,徳島大学医学部小児科代謝異常外来を受診した生後5カ月から15歳5カ月までの小児21名の口腔内検診を行った.その結果,
1)ヒスチジン血症患者では,7名の内6名にエナメル質の白斑,軽度陥凹,減形成,癒合歯,栓状歯傾向,中心結節様異常結節などが観察された.
2)GM1-ガングリオシドーシス患者1名に,著明な白斑が認められた.
3)大理石病患者1名,糖原病IX型患者2名の内の1名,ホモシスチン尿症患者2名の内の1名に,白斑,減形成などが認められた.
4)これまでに,エナメル質形成不全を伴うことがあると報告されている低リン血性ビタミンD抵抗性くる病,ビタミンD依存性くる病II型およびガラクトース血症患者については,エナメル質形成不全は観察されなかった.
今回の調査から,ヒスチジン血症およびGM1-ガングリオシドーシスとエナメル質形成不全との関連が強く示唆された.また,先天代謝異常によって発症する歯の形成異常について,より正確な知見を得るためには,さらに症例を集積し検討する必要のあることが示された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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