抄録
Chondrodysplasia Punctataは,骨幹端異形成症候群に属する疾患である.本症は,レントゲン写真よりepiphysis,またはapophysisの軟骨内点状石灰化像を認め,四肢短縮,関節拘縮,鞍鼻,皮膚異常,白内障,知能低下などの症状を現わす症候群である.今回,点状軟骨異形成症のrhizomelic formと確定診断を受けた4歳1カ月の女児に関して顎顔面頭蓋部を中心に歯科的な検討を行い,以下の所見を得た.
1.乳歯の大きさは正常咬合を有する健常児と比較して,歯冠近遠心幅径,唇頬舌幅径共に全歯種で小さな値を示した.
2.乳歯列弓は,健常児と比べ歯列弓幅で大きく,歯列弓長は小さく,側方への拡大傾向が認められた.
3.口蓋の深さは,健常児と比べわずかに小さな値を示した.
4.顎顔面部の角度および長さの計測より,下顎に関しては劣成長を示した.
5.乳中切歯の歯軸傾斜が,上下顎ともに大きな値を示した.
6.上下顎歯槽基底部の前方での成長の遅れが認められた.7.下垂体点三角の面積より,脳頭蓋(冠)部は,後頭部,特に深さに関して大きな値を示した.また,上・中顔面部においては,ほぼ平均に近く,下顔面部は小さな値を示した.