小児歯科学雑誌
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先天性心疾患を有する小児の歯科診療におけるパルスオキシメーターによるモニタリング
第1報 動脈血酸素飽和度の変動とその評価
白川 哲夫野江 康郎及川 透篠口 杏子小口 春久
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1990 年 28 巻 4 号 p. 1056-1065

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抄録
先天性心疾患を有する小児では,興奮や啼泣により低酸素血症や急性心不全を誘発する場合があり,歯科治療にあたっては十分な注意が必要である.今回われわれは先天性心疾患児の歯科治療の際にパルスオキシメーターにより動脈血酸素飽和度(SpO2)のモニタリングを行うとともに,小児歯科外来で使用する際の問題点について検討した.パルスオキシメーターはSpO2の低下を早期に発見して酸素投与の必要性を判断するうえで有用であり,低酸素性発作の予防にとって不可欠のモニターと考えられた.
心疾患の症例を歯科処置時のSpO2の変動のタイプ別に分類したところ,SpO2が一定あるいは上昇したものが89%,低下したものが11%であった.前者の多くが歯科処置に協力的であったのに対し,SpO2が低下した16例のうち12例に興奮,啼泣などがみられたことから,患児の協力度の良否がSpO2を安定に保つうえで重要であることが示唆された.
なお,パルスオキシメーターを小児に使用する場合,SpO2が正しく測定されているかどうか常に注意を払う必要があり,それを判断するうえで脈波形が重要な指標になった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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