抄録
Tスキャンシステムの小児歯科での臨床応用に先立ち,付属センサーの再現性と問題点について検討するため,顎模型を用いた基礎的実験を行った.
1)本システムによって表示されたアーチモデルと,実際の歯列とは一致しないことが多かった.
2)センサーを咬合させた際,接触点数,位置表示ともに1,2回目では不安定であったが3回目以降より安定してくる傾向がみられた.
3)荷重を増すにしたがい表示される接触点数は増加し,変動も小さくなった.
4)シリコン印象材をセンサーに付与することにより,センサー再挿入の際の位置的再現性が向上し,その結果安定したデータを記録することができた.以上の結果より,スキャンシステムを臨床応用する際,2回以上咬合させ,センサーを安定させてからデーター採取することが有効であり,またシリコン印象材をセンサー上に付与し,記録を行うことはセンサーの位置的再現性を高めるうえで効果的であると思われた.