小児歯科学雑誌
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富士町小児の歯科齲蝕疫学調査
第3報 -永久歯齲蝕増加と性格傾向との関連-
尾崎 正雄石井 香久保山 博子尾崎 安彦本川 渉
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1991 年 29 巻 1 号 p. 62-71

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抄録
本研究は,佐賀県佐賀郡富士町において1987年と1989年に同地区教育委員会の協力で行った歯科実態調査資料を基に行われた.対象は,1987年に行った全小学生の調査資料を中心として,1989年の調査によって経年的資料が得られた者,男子208名,女子165名,計373名を研究対象とした.この資料を基に永久歯齲蝕増加および生活環境因子と性格傾向との関連を調査したところ,以下のような知見を得た.
1)齲蝕増加と性格傾向との直接的な関連は低いものの,数量化III類による分析において自主性,退行性,神経質,および不安傾向と関連性があることが判明した.
2)生活環境因子と性格傾向との関連分析では,齲蝕増加項目に反応する小児ほどの性格の不良傾向が認められた.
3)特に,自制力および自主性などの項目に性格傾向上の歪みが認められた.
4)また,この傾向を小学校前期と後期とで比較すると,小学校後期の方が性格傾向上の歪みが大きかった.
以上の研究結果より,小児の性格傾向と齲蝕増加に関係する生活習慣上の問題点との関連性が指摘された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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