小児歯科学雑誌
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幼児期,学童期,思春期における小児の歯齦縁下細菌叢
正常群と歯齦炎群における特定グラム陰性菌種について
中川 さとみ外木 徳子久保 周平町田 幸雄奥田 克爾高添 一郎
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1991 年 29 巻 1 号 p. 72-85

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抄録
成人の歯周疾患の発症と進行に関連する黒色色素産生性Bacteroidesを中心とした特定のグラム陰性菌種に着目し,小児の歯齦縁下試料中におけるそれらの出現頻度と臨床所見との関連について観察を行った.被験部位を歯齦炎群,正常群に分け,さらに被験者を幼児期12名,学童期12名および思春期12名の3グループに分けて観察し,比較検討を行った.
その結果,以下の結論を得た.
1.同じ歯齦炎群でも幼児期,学童期,思春期の3つのグループでは歯齦縁下試料中の歯周疾患関連細菌の比率および出現頻度は異なっていた.
2.黒色色素産生性Bacteroidesは歯齦炎群の小児の全ての部位から検出された.
3.Bacteroides gingiualisは36名中1名(12歳の女児)の歯齦炎部位2部位から検出された.
4.Bacteroides intermediusは歯齦に炎症が認められるほとんど全ての部位に(36部位中35部位)存在し,思春期には有意に増加していた.
5.Actinobacillus actinomycetemcomitansB.gingivalisに比べて,より早期に口腔内に定着するものと考える.
6.Eikenella corrodensは学童期と思春期の歯齦炎に関連しているが,Fusobacteriumnucleatecmは3つのグループとも強い関連性は認められなかった.
7.Spirochetesは3つのグループともGI, PlI, PPDといった臨床所見と関連を示し,臨床所見が悪化するにつれて着実に増加した.また,歯齦炎部位では年齢層が上がるにつれて有意に増加した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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