小児歯科学雑誌
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心身障害児のブラッシングに関する研究
第2報 学習理論に基づくブラッシング指導の成果
小笠原 正粟津原 洋子穂坂 一夫平出 吉範渡辺 達夫笠原 浩
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1991 年 29 巻 3 号 p. 552-559

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抄録

学習理論に基づいて著者らが開発したブラッシング指導法を用いて,運動障害を合併していない発達障害者53名を対象に延べ165回(1人平均3.1回)の指導を行い,その結果について分析した.
1.指導を繰り返すにしたがって,平均OHI-Sが低下し,保護者の意識も改善されることが認められた.
2.継続的に指導し,ブラッシング行動の変容を試みた結果,ブラッシング・スコアによる評価においては,50.9%の者に上達が認められた.
3.ブラッシング・レベルで行動変容の状態を検討したところ,指導後は,「全体的に磨ける」者が9.4%から28.3%へと著しく増加した.
4.遠城寺式乳幼児分析的発達検査における基本的習慣の発達年齢が3歳未満の者は,新たな課題の認知が困難であるが,3歳以上になると認知できる傾向が認められた.
5.指導時に認知できない課題は,習慣としては定着せず,指導として価値のないことが示唆された.
6.部分的に磨く能力のある3歳レベル以上の者には,高い指導効果が認められた.
7.レディネスを評価し,プログラム学習に基づいたブラッシング指導は,個々の発達段階とブラッシング・レベルに応じた効果的な指導ができ,きわめて有用であると考えられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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