小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
29 巻 , 3 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 八若 保孝, 白川 哲夫, 野村 陽子, 小口 春久
    1991 年 29 巻 3 号 p. 473-484
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,ストレインゲージを応用した圧センサーによる口唇圧計測システムを考案し,小児の口唇圧の経時的変化を評価する方法を確立した.今回は,口腔習癖を有する小児5名を対象に,口唇とその周囲の筋の活性化と筋力の向上を目的に筋機能訓練を指導し,訓練と並行して,坐位および仰臥位における安静時ならびに嚥下時の上口唇圧を計測した.そして訓練による上口唇圧の変化を調べ,以下の結果を得た.
    1)安静時上口唇圧の平均値は,訓練開好前で1.26g/cm2(坐位),1.38g/cm2(仰臥位)であり,訓練開始3カ月後では2.41g/cm2(坐位),2.18g/cm2(仰臥位)であった.訓練の継続に伴い,安静時の平均上口唇圧およびその時間圧力積に増加傾向が認められた.
    2)嚥下時最大上口唇圧の平均値は,訓練開始前で3.1g/cm2(坐位),2.6g/cm2(仰臥位)であり,訓練開始3カ月後では8.6g/cm2(坐位),7.8g/cm2(仰臥位)であった.嚥下時においても,安静時と同様に増加傾向を示した.しかし各計測毎において,嚥下時の口唇圧の圧変化(波形)および最大口唇圧には著しいばらつきが認められた.
    3)上口唇圧の増加傾向を示した小児は,日常生活においても口唇閉鎖の時間の増加,口唇の弛緩の改善がみられたが,歯列の改善は認められなかった.
  • 水野 弥生, 宮野 ひろ子, 大森 郁朗
    1991 年 29 巻 3 号 p. 485-491
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は酸性フッ素リン酸溶液(以下APF溶液と略す)によるフッ素の歯面塗布を行う際の前処理としてのマイルドエッチングの効果を再確認し,併わせて可及的に低いフッ素濃度でエナメル質の化学的強化を効果的に行い得るAPF溶液を選定することを目的に行った.
    ヒト小臼歯を対象として,それらに0.05Mリン酸で1分間マイルドエッチングを行った後,0.05%F, 0.1%F, 0.5%F, 1.0%Fおよび1.2%Fを含むAPF溶液を4分間作用させた.フッ素を含まない石灰化液に浸漬させた後,エナメル質表層の化学的性状とそれらの耐酸性を調べ,以下の結果を得た.
    1)マイルドエッチング後にエナメル質表層に各濃度のFを含むAPF溶液を作用させた場合,マイルドエッチングを行わなかったものと比べて,健全エナメル質に顕著な侵襲を与えること無く,作用させたフッ素濃度に対応してエナメル質表層に有意に多くのフッ素を取り込ませることを確認した.
    2)試料をpH4の酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液に24時間浸漬させて行った耐酸性試験では,マイルドエッチングを行い各濃度のFを含むAPF溶液を作用させたそれぞれの試料は,どのフッ素濃度でも,それを行わなかったものに比べて有意に高い耐酸性を示した.また,マイルドエッチング後に0.5%F以上のFを含むAPF溶液を作用させた試料間では耐酸性に有意な差は見られなかった.
  • 山田 千春, 山崎 恵, 石渡 由美子, 大森 郁朗
    1991 年 29 巻 3 号 p. 492-505
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    多数の歯が先天的に欠如している部分性無歯症9症例について永久歯の欠如傾向を調べるとともに,多数歯の欠如が歯列型と骨格型に与える影響を側方頭部X線規格写真を使って検討した.上下顎を通じて欠如が多かったのは上顎第二小臼歯,次いで上顎第二大臼歯と下顎中切歯であった.欠如傾向は左右対称性であり,概ね系統発生学的退化現象に基いていた.側方頭部X線規格写真の角度分析と長さ分析から,8症例に中顔面部の劣成長が認められた.また4症例は下顔面高/上顔面高比が著しく小さく咬合高径の低下が見られ,下顎下縁平面角が小さい値を示していた.それ以外の5症例では下顔面高/上顔面高比は標準値を示し,咬合高径に異常は認められなかった.
    欠如歯が骨格型に及ぼす影響として上顎前歯部および小臼歯部の欠如は中顔面部の劣成長を引き起こし,臼歯部の欠如が咬合高径の低下を生じるような場合には下顎骨の前方回転を引き起こすと考えられた.これらの症例のうち部分性無歯症が顎関節症発症の原因と考えられた1症例について検討を行った.この症例は11歳0カ月で顎関節症を発症し,第一大臼歯2歯の欠如のため,早期に著しい咬合高径の低下が生じていたと考えられた.
    このことから成長期の部分性無歯症の患者の咬合管理においては,特に歯槽骨の低形成を補足するような咬合高径を与えることの重要性が指摘された.
  • 細矢 由美子, 中村 則子, 後藤 讓治
    1991 年 29 巻 3 号 p. 506-517
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    牛乳歯切削エナメル質に対するレジンの接着性について,サーマルサイクリング試験の影響をエッチング時間別に観察した.
    40%正燐酸ゼリーで,0,10,20,30及び60秒間エッチングを行った.レジンは,クラレ社製Photo BondとPhoto Clearfil Aを使用した.サーマルサイクリング試験後に剪断接着試験を行い,接着強さを測定するとともに,剪断試験後のエナメル質面とレジン面をSEMで観察し,下記の結論を得た.
    1)接着強さが最も高かったのは,エッチング時間が30秒(78.99±10.93MPa)の場合であった.
    2)エッチングなし群とすべてのエッチング時間群間の接着強さに有意差がみられ,エッチング群が高かった.
    3)エッチング群については,エッチング時間が30秒の場合とエッチング時間が10秒,20秒及び60秒の場合の接着強さ間に有意差がみられ,いずれの場合も30秒で高い値を示した.
    4)サーマルサイクリング群と非サーマルサイクリング群の接着強さをエッチング時間別に比較すると,エッチング時間が20秒の場合を除き,非サーマルサイクリング群の方がサーマルサイクリング群より高い値を示した.エッチング時間が20秒の場合のみについて,両群間の接着強さに有意差がみられ,サーマルサイクリング群の方が高かった.
  • 市川 史子, 長坂 信夫
    1991 年 29 巻 3 号 p. 518-525
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    人の乳歯エナメル質においてRetziusの成長線は不明瞭だが,発育障害を伴うと明瞭に認められる.その発育障害線が,形成された時期を,新産線を基準にして明らかにし,既往歴と合わせて検討した.
    資料として,障害児より得られた抜去乳前歯で,表面にエナメル質形成不全のないものを用いた.方法は,未脱灰切片標本を作製し,光学顕微鏡・偏光顕微鏡にて観察を行った.その内,新産線以外に発育障害線のみられたもの15症例について検討した.新産線と,Schourの人の歯の年齢的基準をもとに,発育障害線の時期を算出し,妊娠中と出生後の既往歴を保護者よりアンケートと問診により調査し検討した.その結果,
    1. 15症例の内,出生前のみに発育障害線が発現した症例はなく,出生後のみに発現した症例は12例,出生前と出生後の両方に発現した症例は3例である.
    2. 出生後のみに発現した12症例の内,発育障害線に一致して,既往歴の認められるのは,5症例である.
    3. 出生前と出生後の両方に発現した3症例の内,発育障害線に一致して既往歴の認められるのは,2症例で,2症例とも出生前,出生後共に,既往歴が認められる.
    4. 発育障害線が,多数(10本以上)認められた症例は6症例である.
  • 苅部 洋行
    1991 年 29 巻 3 号 p. 526-543
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列期における第1大臼歯の萌出の場の発育と顎骨内での第1大臼歯の萌出動態との関連性,および萌出の場の大きさが乳歯列に与える影響を検討する目的で,小児26名の乳歯列前期および後期の歯列石膏模型,左右の45°オブリークセファログラムを用い,萌出の場をモアレトポグラフィーにより観察し,以下の結論を得た.
    1)萌出の場の長さは,上顎では2.11mm,下顎では1.65mm増加していた.
    2)萌出の場の体積は,上顎では58.86%,下顎では24.13%増加していた.
    3)萌出の場の最高部の近遠心的位置変化は,上下顎とも遠心に移動する傾向がみられ,頬舌的位置変化では上顎では頬側に,下顎では舌側に移動する傾向がみられた.
    4)萌出の場の発育と第1大臼歯の萌出動態との関連性については,上顎では萌出の場ができてから第1大臼歯の萌出が伴ってくるのに対して,下顎では乳歯列前期で第1大臼歯の歯軸傾斜角度と萌出の場の大きさには関連性があったが,後期では少なかった.
    5)萌出の場が乳歯列に与える影響については,歯槽基底の後方への発育と萌出の場の増加に関連性が認められた.しかし,歯列弓の大きさ,歯間空隙量との関連性は明らかにできなかった.
    6)乳歯列の観察を行う場合,第1大臼歯の動態やその萌出の場の3次元的な発育変化を含めた観察が咬合誘導上重要である.
  • 村上 照男, 梶山 啓次郎, 横田 盛, 鈴木 陽, 松田 政登, 原田 保
    1991 年 29 巻 3 号 p. 544-551
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    不正咬合を持った患者の個成長を調べるため,初診時,乳歯列反対咬合で,その後下顎永久前歯の萌出が完了した時も反対咬合を呈していた13名の日本人女児のその間約2年6カ月の成長を計39枚の側貌頭部X線規格写真を用いて調べた.
    その結果,次のような知見を得た.
    1)S点を基準とした座標軸上では,高さにおいてはオルビターレを除き,すべての項目で有意な変化が認められたが,深さではナジオンと下顎永久中切歯の項目を除き有意な変化はなかった.
    2)角度計測では上下顎永久中切歯歯軸角と下顎永久中切歯歯軸角に関する項目は有意な変化を示したが,その他の項目に有意な変化はなかった.
    3)距離計測のうち,下顎枝高に有意な変化はなかったが,その他は有意な増加を示した.又,上顎骨長よりも下顎骨長,顔面の深さよりも高さ,下顎枝高よりも下顎骨体長の方がそれぞれ有意に距離が増加していた.
    4)乳歯列完成期と下顎中切歯交換期での成長変化量の差は永久中切歯に関する項目にのみ有意差があったが,その他の項目では差がなかった.そして,上下顎永久中切歯のほとんどは,萌出前に一旦角度の減少をきたし,その後,萌出中に増加した.
    以上より乳歯列反対咬合者で下顎永久前歯が萌出した時も反対咬合を呈していた日本人女児は,永久中切歯を除けば角度の変化はなく,顔の深さよりも高さの成長が盛んであるが,成長方向と量は途中で変化を来さないことがわかった.
  • 小笠原 正, 粟津原 洋子, 穂坂 一夫, 平出 吉範, 渡辺 達夫, 笠原 浩
    1991 年 29 巻 3 号 p. 552-559
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    学習理論に基づいて著者らが開発したブラッシング指導法を用いて,運動障害を合併していない発達障害者53名を対象に延べ165回(1人平均3.1回)の指導を行い,その結果について分析した.
    1.指導を繰り返すにしたがって,平均OHI-Sが低下し,保護者の意識も改善されることが認められた.
    2.継続的に指導し,ブラッシング行動の変容を試みた結果,ブラッシング・スコアによる評価においては,50.9%の者に上達が認められた.
    3.ブラッシング・レベルで行動変容の状態を検討したところ,指導後は,「全体的に磨ける」者が9.4%から28.3%へと著しく増加した.
    4.遠城寺式乳幼児分析的発達検査における基本的習慣の発達年齢が3歳未満の者は,新たな課題の認知が困難であるが,3歳以上になると認知できる傾向が認められた.
    5.指導時に認知できない課題は,習慣としては定着せず,指導として価値のないことが示唆された.
    6.部分的に磨く能力のある3歳レベル以上の者には,高い指導効果が認められた.
    7.レディネスを評価し,プログラム学習に基づいたブラッシング指導は,個々の発達段階とブラッシング・レベルに応じた効果的な指導ができ,きわめて有用であると考えられた.
  • 細矢 由美子, 安藤 匡子, 高風 亜由美, 池田 靖子, 加島 知恵子, 後藤 讓治
    1991 年 29 巻 3 号 p. 560-568
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔清掃状態,食後経過時間,ブラッシング後経過時間,歯磨剤使用の有無が齲蝕活動性試験結果に及ぼす影響について調査した.
    調査の対象は,3歳から17歳6カ月(平均年齢7歳3カ月)の小児100名(男児49名,女児51名)である.齲蝕活動性試験法としては,ミューカウント,RDテスト“昭和”,カリオスタットTMを用いた.
    調査の結果,下記の結論を得た.
    1.口腔清掃状態が齲蝕活動性試験結果に及ぼす影響については,カリオスタット48時間値のみに影響がみられた.
    2.ブラッシング後経過時間が齲蝕活動性試験結果に及ぼす影響については,カリオスタット48時間値のみに影響がみられた.
    3.食後経過時間とブラッシング時の歯磨剤使用の有無は,今回用いた齲蝕活動性試験のいずれの結果にも影響を与えなかった.
  • 阿部 和久, 山崎 要一, 田中 武昌, 緒方 哲朗, 早崎 治明, 中田 稔
    1991 年 29 巻 3 号 p. 569-575
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    コンピュータ断層像上の埋伏歯と,実際の埋伏歯との三次元的な位置の相違を正しく認識するために,ヒト小児乾燥頭蓋骨に歯根の彎曲した歯を埋伏歯として付着させ,基準点を埋め込んだシーネを装着して,断層幅,断層間隔共に,1mmにてコンピュータ断層撮影を行なった.得られた二次元画像を組み合わせて三次元座標値を求め,実測値と比較することにより,以下の結論を得た.
    1)口蓋点および上顎左側乳前歯から埋伏歯までの距離を,実測値と計算値との間で比較したところ,その差は-0.03~+1.66mmであった.
    2)埋伏歯の体積について,その差は27mm3であった.
    3)埋伏歯の三次元再構築により,歯根彎曲,歯の外形の状態を任意の方向から表示することができた.
    4)埋伏歯と近接する口蓋点や,上顎左側乳前歯との三次元的位置関係について,任意の方向から表示し,観察することができた.
  • 國武 哲治, 松本 敏秀, 二木 昌人, 裵 宗玄, 中田 稔
    1991 年 29 巻 3 号 p. 576-581
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,第一大臼歯歯胚の萌出度を客観的かつ簡便に評価することにより,その萌出時期の異常を早期に発見することにある.資料は,1979年12月より1989年6月までの間に,九州大学歯学部小児歯科外来を受診した3歳から11歳までの健常児2245名から得られたパノラマ断層写真2806枚を用いた.X線フィルム上で,第二乳臼歯を明示して4本の基準線を設定し,それに対する第1大臼歯の萌出度を5段階に分類し,
    各萌出度に対する歴齢の標準値を求めた.その結果,次のような結論を得た.各萌出度間における月齢分布に有意差が認められた.また左右差はみられず,上顎よりも下顎のほうが,また女児の方が男児に比較して,早い時期に萌出に伴う変化が認められた.
    また,異なる診査者,同一診査者における再現性,および被写体の位置づけに関する問題も検討したところ,本法の結果には影響を及ぼさないと思われた.
    そこで,調査の結果を基にして標準表を作成し,それを用いて,要観察症例を早期に抽出する事が可能となった.以上により本評価方法は,簡便で有用な方法であることが示唆された.
  • 木村 光孝, 牧 憲司, 木村 京子, 太田 和子, 今村 隆子, 高江洲 旭, 秀島 治, Raymond L. Braham
    1991 年 29 巻 3 号 p. 582-593
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3週齢のWistar系雄ラットに虚弱骨を惹起させた後,高カルシウム(高Ca)飼料と生理活性物質(ECT)の併用療法を実施し,下顎頭に及ぼす影響を走査電顕的に検索し,次のような結論を得た.
    1.軟骨層についてみると,Ca欠乏飼料群は対照群(標準飼料)に比べ,軟骨小腔は石灰化球が基質として癒合しているものの,軟骨小腔壁面では疎な部分が多く,軟骨小腔の各区画は不明瞭な所が増加していた.
    Ca欠乏飼料・高Ca飼料群は軟骨層は薄くなり,ECT併用療法群では軟骨小腔の区画は明瞭な部分が増加し,軟骨小腔壁面も索状を呈した所が増加した.
    2.骨梁を観察すると,
    Ca欠乏飼料群は骨吸収像は増加し,骨細管の開口部はその輪郭が不明瞭な所が増加した.Ca欠乏飼料・高Ca飼料群に比べ,ECT併用療法群では骨小腔を囲む周囲の基質は一定方向に走行するコラーゲン原線維束の出現が増加した.また骨細管は軟骨小腔壁にも多数開口して認められた.
    以上のことから虚弱骨に対する高Ca・ECT群の併用療法では軟骨層の成長および骨構築の促進所見が認められた.
  • 尾崎 正雄, 石井 香, 吉田 穰, 本川 渉
    1991 年 29 巻 3 号 p. 594-606
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    福岡歯科大学小児歯科所蔵の昭和58年~昭和62年までに撮影された頭部X線規格写真により,1歳6カ月~10歳6カ月までの小児(男子217名,女子266名,計483名)の顎・顔面の成長に関する断面的研究を行った.S-N平面を基準平面とした量的計測と角度的計測を行い,暦年齢を基準とした分類により各部の成長を観察したところ次のような所見を得た.
    1.小児における顎・顔面の成長は深さよりも高さの成長がまさっていた.
    2.高さでの変化を年齢的にみると,4歳~6歳にかけて成長率が増加してくる.またこの成長率の増加は,女子の方が男子よりも早く起っていた.
    3.深さでの変化は高さでの変化と比較すると,成長率の増加は緩やかであった.
    4.男女の量的計測結果を比較すると,男子の方が計測値が大きかった.この傾向は高さにおける計測結果に強く現れていた.
    5.約30年前に行われた小野の報告と著者らの調査結果を比較したところ,著者らの計測値における下顎角の方が大きかった.また,この傾向は女子の方が強かった.
  • 今村 基尊, 山本 妙子, 小野 俊朗, 今村 節子, 会田 栄一, 黒須 一夫
    1991 年 29 巻 3 号 p. 607-613
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯隣接面齲蝕の診査に咬翼法X線写真を用いることで,齲蝕検出率が高まることはよく知られているが,患者の被爆線量から,頻回撮影することも好ましくない.咬翼法X線写真の撮影回数を減らすために,補助手段としてデンタルフロスによる診査の併用を考え,咬翼法X線写真による診査の結果とデンタルフロスによる診査の結果との関係について検討し,次の結論を得た.
    1)咬翼法X線診査の結果とデンタルフロスによる診査の結果との一致率は,67.1%~94.3%であった.
    2)上下顎第一乳臼歯遠心面・第二乳臼歯近心面において,フロスにより異常を感じたならばまず齲蝕があったが,フロスによりsmoothと感じても齲蝕がないとは診断しがたい.
    3)フロスによる乳歯側方歯群の隣接面齲蝕の診査は,咬翼法X線写真の補助的診査として用いることができると考えられた.
  • 奥 猛志, 清水 久喜, 豊島 正三郎, 森主 宜延, 小椋 正, 末永 重明, 野井倉 武憲
    1991 年 29 巻 3 号 p. 614-618
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,思春期の顎関節症患者の顎関節部に対して,前額断断層FCR撮影を用いることが,診断学的に有効であるかを検討することであった.前額断断層FCR撮影の診断学的有効性は矢状断断層FCR撮影との比較により検討され,以下の結果が得られた.1.前額断断層FCR撮影により下顎窩に対する下顎頭の位置および下顎頭の骨変化の診断は可能であった.しかし,関節円板の転位は診断不可能であった.2.前額断断層FCR撮影による診断と矢状断断層FCR撮影による診断との比較を行った結果,下顎窩に対する下顎頭の上下的位置の一致率は84.2%,下顎頭の骨変化の一致率は81.6%であった.以上の結果より,断層FCR撮影による顎関節部の診断は矢状断断層FCR撮影のみで十分可能であると考えられた.
  • 久芳 陽一, 副島 嘉男, 溝部 都孝, 本川 渉
    1991 年 29 巻 3 号 p. 619-625
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は,乳歯慢性根尖性歯周炎により下顎左側第2小臼歯の位置異常および炎症性濾胞性歯嚢胞を生じた7歳3カ月と8歳4カ月の女児の症例を経験した.
    症例1では根管充填時のX線写真所見では根管充填剤は根突部までは達せず,根尖の1/2の内側から根分岐部にかけて溢出しているのが認められた.根管充填9カ月,自覚症状はなかったが,下顎左側第2乳臼歯歯根相当部から歯肉頬移行部にかけて境界不明瞭な骨の膨隆が認められた.X線写真所見では溢出したビタペックスは消失し,下顎左側第2小臼歯の歯冠を含む境界明瞭な嚢胞と思われる透過像がみられた.
    症例2では根管充填時のX線写真所見では根充剤は根突孔外に溢出し,後継永久歯歯胚に達していた.7カ月後,症例1とほぼ同様の所見がみられた.
    処置としては,2症例とも先行乳歯の抜歯と開窓療法後,保隙装置を装着し位置異常を生じていた後継永久歯の萌出を誘導した.このように乳歯の歯髄処置の際には,後継永久歯歯胚がその根尖付近に非常に近接していることを念頭におき,特に乳歯の感染根管処置をおこなった場合には,将来濾胞性歯嚢胞の発生も予想されるため,予後診査の重要性,特に定期的な術後のX線写真による観察の必要性が示唆された.
  • 石渡 由美子, 水野 弥生, 宮野 ひろ子, 大森 郁朗
    1991 年 29 巻 3 号 p. 626-631
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小窩裂溝填塞材(以下,シーラントと略す)は小窩裂溝齲蝕の予防手段として,とりわけ小児歯科診療領域で広く用いられている.本研究で用いた光重合型フッ素徐放性シーラント(以下Teethmate-Fと略す)は,従来のシーラントの物理的齲蝕抑制効果に加えて,フッ素を約1wt%含有し,口腔内でフッ素を徐々に放出して,填塞小窩および周囲の歯質ヘフッ素を供給することによって,歯質の化学的強化をはかるシーラントである.本研究では一液性に改良されたTeethmate-Fを用いて,それを萌出後間もない幼若永久歯咬合面小窩裂溝に填塞し,平均1年3カ月経過後の保持状態,特に保持率を評価するとともに,齲蝕進行抑制効果を検討した.この結果,シーラントの完全保持率は78.0%であり,歯冠修復を要するまでに咬合面齲蝕の進行が見られたものは2%であった.
  • 加納 能理子, 猪狩 和子, 神山 紀久男, 幸地 省子
    1991 年 29 巻 3 号 p. 632-640
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ellis-van Creveld症候群は,軟骨形成不全による遠位顕性四肢短縮,外胚葉形成不全,多指症及び先天性心奇形を主徴とする希な症候群であるが,著者らはその1例を経験した.
    症例は,3歳6カ月の男児である.出生時より,低身長,胸郭形成不全,多指症が認められ,生後2カ月時に,Ellis-van Creveld症候群と診断された.
    全身所見として,低身長と手足の爪の低形成を認めるが,先天性心疾患はない.
    口腔内には,以下の所見が観察された. 1)口腔前庭の狭小2)小帯の数及び付着位置の異常 3)上下顎乳中切歯及び乳側切歯の先天性欠如およびその部分の歯肉の凹凸不整 4)現存乳歯の矮小および栓状乳犬歯,乳臼歯の歯冠形態の異常 5)上下顎歯列弓幅径の狭小,下顎歯列弓のV字型.
    X線写真上に,以下の所見が観察された.1)下顎骨正中部の癒合不全,上下顎乳前歯先欠部の歯槽骨縁の不規則な形態 2)上顎第一乳臼歯,上顎第二乳臼歯,下顎第一乳臼歯の単根, 下顎第一乳臼歯のタウロドント歯 3) 〓の先天性欠如〓の歯胚の石灰化遅延.
  • 松本 敏秀, 尾田 順民, 二木 寿子, 平野 洋子, 中田 稔
    1991 年 29 巻 3 号 p. 641-651
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1984年から1990年までの6年間に,九州大学歯学部附属病院小児歯科外来において含歯性嚢胞と診断された4歳10カ月から14歳10カ月までの小児16例を経験した.発見時の平均年齢は約10歳であり,男児に多く認められた.発見の機会は,無痛性の顎骨や歯肉の腫脹によるものが最も多く,次いで定期診査時に偶然発見されたものであった.発症部位は,25歯のうち,下顎第1小臼歯が12歯および下顎第2小臼歯が10歯であった.
    先行乳歯は,不明歯2歯を除き,すべてが何等かの齲蝕処置を受けた経験があり,23歯中21歯が,Hellmanの発育段階II A期からII C期にかけて歯髄処置ならびに歯冠修復処置を受けていた.それらの処置経過の判明した症例では,ほとんどが処置後3年から6年経過時のIII B期に嚢胞の発症をみた.このことからも,定期診査の重要性が示唆された.
    術前の歯列咬合診査により,咬合誘導の観点から,自然萌出を期待する症例,保隙処置が必要な症例,および動的咬合誘導が必要な症例の3群に,先行乳歯の抜去と嚢胞の開窓後の治療方針を分けた.現在も経過観察中の2例および本学歯科矯正科紹介の1例を除き,いずれの歯も歯列内の正常位置へ萌出誘導することができた.
  • 大多和 由美, 藤居 弘通, 中川 さとみ, 町田 幸雄, 寺岡 慧, 太田 和夫
    1991 年 29 巻 3 号 p. 652-659
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    免疫抑制剤“Ciclosporin”(Cyclosporin A,CYA)の口腔領域における副作用として歯齦増殖が指摘されている.そこで肝臓移植を受けCYAを服用中の日本人小児9名(平均年齢6歳10カ月)および対照として健常児11名(平均年齢7歳0カ月)について口腔内診査を行い,歯周組織の臨床的所見について両者を比較検討した.その結果,以下の結論を得た.
    1.Plaque indexおよびCalculus indexはCYA投与群,対照群とも同程度で,両者間に有意差は認められなかった.
    2.Probing pocket depth,Gingival indexおよび歯齦増殖度は1%の危険率でCYA投与群の方が有意に大きな値を示した.
    3.歯種別の臨床所見は,Plaque index,Calculus indexおよびGingival indexについては各歯種間で有意差は認められなかったが,Probing pocket depthは,乳中切歯と中切歯間では,中切歯の方が有意に大きい値を示し,中切歯と第一大臼歯間でも中切歯の方が有意に大きい値を示した.
    4.今回の調査においては,CYA投与量,血中濃度(trough level),肝臓移植後の経過日数と歯科的所見の間に特に関連性は認められなかった.
feedback
Top