小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
レーザードップラー血流計による幼若永久歯の歯髄血流測定法の検討
篠口 杏子白川 哲夫三浦 真理小口 春久
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 29 巻 4 号 p. 688-697

詳細
抄録
レーザードップラー血流計を用いて幼若永久歯の歯髄血流を無侵襲的に測定し,歯根の形成段階別に歯髄血流の変化を検討するとともに,歯髄の生死を決める判断基準および電気歯髄診との関係について検討した.
その結果,生活歯において,歯髄血流波形に心拍と同期した規則的な拍動が認められ,歯根未完成歯では,歯根完成歯と比較して血流量が多い傾向が認められた.また電気歯髄診で反応が認められなかった歯根未完成歯においても歯髄血流測定が可能であった.
一方,硬組織でのレーザー光の散乱や歯肉血流の影響により,失活歯であっても血流測定値がゼロにならない場合があり,歯髄の生死を正確に診断するためには,血流量の比較だけでは不十分であることが明らかになった.そこで,歯髄血流と心電図を同時に測定し,両者の波形についてスペクトル解析を行った.
その結果,生活歯の歯髄血流においては心拍のスペクトル成分に一致したスペクトルが認められたが,失活歯においては認められず,生活歯と失活歯を明確に判別することが可能であった.
レーザードップラー血流計を心電計と併用し,それぞれの波形についてスペクトル解析を行うことにより,確実な歯髄の生死の診断が可能であることが明らかになった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top