小児歯科学雑誌
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乳歯列と永久歯列の関連性について
第7報 モアレトポグラフィによる口蓋形態について
高橋 美保子関本 恒夫牧 志寿子苅部 洋行大出 リエ子土居 久美子斉藤 文子坂井 正彦菊池 進
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1992 年 30 巻 1 号 p. 51-60

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抄録

乳歯列から永久歯列を予測するために,正常咬合の乳歯列がその後永久歯列において正常咬合に推移した21症例とAngle I級の不正咬合に推移した12症例の乳歯列期,永久歯列期の経年歯列石膏模型(上顎)を資料として,モアレトポグラフィにより口蓋の形態を観察し,以下の結論を得た。
1.口蓋幅では,乳歯列期,永久歯列期とも,正常咬合群と不正咬合群で違いは認められなかった。
2.口蓋長では,乳歯列期の乳犬歯部口蓋長,第1乳臼歯部口蓋長,永久歯列期の第2小臼歯部口蓋長において不正咬合群が正常咬合群に比べて短く,乳歯列から永久歯列へかけての変化量も少なかった。
3.口蓋高では,乳歯列期の乳犬歯部口蓋高で不正咬合群が正常咬合群に比べ浅かった。
4.口蓋容積では,乳歯列期では違いはみられなかったが,永久歯列期では永久犬歯前方口蓋容積で不正咬合群が正常咬合群に比べ小さかった。
5.以上のことより永久歯列において,正常咬合となるものと不正咬合となるものでは,乳歯列期において特に前方部の口蓋形態に違いがみられ,不正咬合に推移するものでは前方部の口蓋形態は短く浅い傾向が認められ,咬合誘導上,重要な情報源となると思われた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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