小児歯科学雑誌
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乳歯列と永久歯列の関連性について
第6報 乳前歯と永久前歯の排列状態の検討
牧 志寿子関本 恒夫斉藤 文子土居 久美子大出 リエ子苅部 洋行高橋 美保子辻 裕子坂井 正彦菊池 進
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1992 年 30 巻 1 号 p. 39-50

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抄録
乳歯列と永久歯列の関連性を求めるために,経年的な資料を用いて,乳中切歯と永久中切歯の排列状態について観察,分類した。さらに排列状態の一致した症例の歯,歯列弓,および歯槽基底の形態的特徴について検討し,以下の結論を得た。
1.乳歯列において,上顎では乳中切歯が直線的にならぶもの,下顎では翼状に回転しているものが最も多く認められた。また永久歯列においては,上顎では中切歯が逆翼状に回転しているもの,下顎では翼状に回転しているものが最も多く過半数を占めていた。
2.中切歯の排列状態による歯,歯列弓,歯槽基底の形態的違いは,上顎中切歯捻転度と上顎側切歯の大きさでみられ,特に上顎側切歯の大きさは中切歯のwingingに関連が深いと思われた。
3.乳歯列と永久歯列で中切歯の排列状態が一致した割合は,上顎では34.3%,下顎では51.4%で下顎の方が一致する割合が多く,タイプ別では上顎ではCタイプ,下顎ではAタイプで一致率が高くなっていた。
4.一致した症例では,上顎の乳中切歯,永久中切歯の捻転度が大きく,乳犬歯間歯列弓長径が短い傾向がみられた。
5.上顎の一致した症例では特に歯列弓,歯槽基底の幅径において,乳歯列と永久歯列の間で相関が高かった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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