小児歯科学雑誌
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30 巻 , 1 号
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  • 細矢 由美子, 池田 靖子, 後藤 讓治
    1992 年 30 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    牛乳歯切削エナメル質に対し,Scotch BondとSiluxを用いた場合の接着強さに及ぼすサーマルサイクリング試験の影響をエッチング時間別に観察した。さらに既報のPhoto BondとPhoto Clearfil A使用時における結果との比較も行い,下記の結論を得た。
    1)接着強さが最も高かったのは,エッチング時間が60秒の場合(63.61±19.64MPa)であった。
    2)エッチングなしの場合とエッチング時間が20秒,30秒及び60秒の場合の接着強さ間に有意差がみられ,いずれもエッチングなしの場合が低い値を示した。
    3)エッチング時間が10秒の場合とエッチング時間が20秒,30秒及び60秒の場合の接着強さ間に有意差がみられ,いずれの場合も10秒で低い値を示した。
    4)サーマルサイクリング群と非サーマルサイクリング群の接着強さをエッチング時間別に比較すると,エッチング時間が10秒と20秒の場合における両群間の接着強さに有意差がみられ,サーマルサイクリング群の方が低かった。
    5)サーマルサイクリング群について,Silux群とPhoto Clearfil A群間の接着強さをエッチング時間別に比較すると,エッチング時間が10秒と30秒の場合の両群間の接着強さに有意差がみられ,いずれの場合もPhoto Clearfil A群が高かった。
  • 小出 武, 山賀 まり子, 大下 智友美, 篠原 稔, 西村 幸雄, 岡本 建澤, 稗田 豊治
    1992 年 30 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    可撤式矯正用床装置が齲蝕を引き起こすことはよく知られている。このような床装置の歯牙接触面にフッ素徐放性レジンを応用すれば床装置と接触するエナメル質に生ずる齲蝕を抑制することができる。
    本研究では,床装置に応用したフッ素徐放性レジンの有効性について検討するために,床装置による矯正治療を必要とする患児18名について,市販のフッ素徐放性レジン(Teethmate FTM; TF, Kuraray社)を応用した矯正用床装置を装着し,唾液フッ素濃度およびエナメル質フッ素濃度を測定し,以下の様な結果を得た。
    1)矯正用床装置装着前から放出されたフッ素量は,概ね使用したフッ素徐放性レジン量に比例していた。
    2)唾液中のフッ素濃度は,TFの塗布範囲を歯牙部から口蓋部にまで拡大した場合には装着後平均6.5日目までは装着前と比べ僅かな上昇を認めたが,装着後平均34.8日目では装着前と変わらなかった。TFの塗布範囲を歯牙部に限局した場合には装着後平均6.4日目でもフッ素濃度の上昇は認められなかった。
    3)エナメル質のフッ素濃度は,床装置と接触する歯面で僅かな上昇を認めたが,対照群と比べ有意差は認められなかった。
  • 竹辺 千恵美, 野中 歩, 平野 洋子, 福元 直美, 堀内 信子, 武田 康男
    1992 年 30 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    北九州市立総合療育センター通園に在籍し種々の障害を持つ幼児457名を対象に,疾患重複数と歯科初診時の口腔所見(齲蝕罹患状況,齲蝕罹患型),口腔清掃状況(歯垢指数,歯磨き回数),生活習慣(間食回数等),食形態,飲料方法,頸定,運動レベル,同胞数について調査した。対象者の疾患重複数の内訳は,単一疾患群238名,二重疾患群156名,多重疾患群63名で,歯年齢は乳前歯萌出期44名,乳臼歯萌出期287名,乳歯列完成期126名であった。重複数を基準に,各歯年齢に関し調査項目間の関係について検討したところ以下の結果を得た。
    1)重複数と頸定,運動レベルとの間には強い関連性が認められ,重複数が多いほど,運動レベルは低かった。
    2)重複数と食形態,飲料方法との間には強い関連性が認められた。
    3)重複数が増えるほど,齲蝕罹患率は高くなる傾向を示し,齲蝕罹患型(落合の分類)はIII,IV型の占める割合が増加した。
    4)重複数の多い重症児群が間食回数や就寝前間食の摂取率が少ない傾向を示した。一方,就寝前飲料では重症児群の摂取率が高くなった。
    5)重複数と歯磨き回数,歯垢指数との間には関連性を認めなかった。
    6)同胞数が多くなると歯磨き状況が悪化し,齲蝕罹患率も増加傾向を示した。
  • 空田 安博, 岡 裕美子, 竹下 尚利, 矢野目 鎮照, 松田 容士子, 古谷 充朗, 木村 光孝
    1992 年 30 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンの残留モノマーは充填後の歯髄刺激の原因の1つとして考えられている。重合したコンポジットレジンから溶出した残留モノマーを定性,定量した研究は多くあるが,コンポジットレジン中の残留モノマーを直接定性,定量した研究は少ない。そこで3種類の光重合型コンポジットレジン(PCB,CCP,P5)を4種類の照射器(LIGHT VL-I,VL-2,Daylight Lamp II, LUXOR)によって重合し,その残留モノマー(Bis-GMAとTri-EDMA)を定性,定量し,重合開始剤であるカンファーキノンを調べ,次のような結果を得た。
    1.カンファーキノンの吸収スペクトルは390nmから515nmまでの間に強い吸収帯があり,最大吸収波長が470nmに存在した。また照射器の波長分布については全器種とも波長分布はほぼ400nmから550nmの間にあった。
    2.全ての光照射器において残留Bis-GMA率ではP5がPCB,CCPより常に高値を示した。
    3.残留Tri-EDMA率ではLIGHT VL-I,VL-2,Daylight Lamp II,LUXORにおいて常にPCBが高値を示し,次いでP5,CCPの順であった。
    4.残留モノマー率は光照射器の光強度に依存する傾向を示した。
    この残留モノマーの問題は,たとえ残留モノマーが表層ばかりでなく深部に存在していたとしても咀嚼にともなう衝撃によって表面に出てくる可能性がある。このようなことからコンポジットレジンの残留モノマーに関して,様々な条件下で残留モノマー率を測定して行かなければならない。
  • 牧 志寿子, 関本 恒夫, 斉藤 文子, 土居 久美子, 大出 リエ子, 苅部 洋行, 高橋 美保子, 辻 裕子, 坂井 正彦, 菊池 進
    1992 年 30 巻 1 号 p. 39-50
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列と永久歯列の関連性を求めるために,経年的な資料を用いて,乳中切歯と永久中切歯の排列状態について観察,分類した。さらに排列状態の一致した症例の歯,歯列弓,および歯槽基底の形態的特徴について検討し,以下の結論を得た。
    1.乳歯列において,上顎では乳中切歯が直線的にならぶもの,下顎では翼状に回転しているものが最も多く認められた。また永久歯列においては,上顎では中切歯が逆翼状に回転しているもの,下顎では翼状に回転しているものが最も多く過半数を占めていた。
    2.中切歯の排列状態による歯,歯列弓,歯槽基底の形態的違いは,上顎中切歯捻転度と上顎側切歯の大きさでみられ,特に上顎側切歯の大きさは中切歯のwingingに関連が深いと思われた。
    3.乳歯列と永久歯列で中切歯の排列状態が一致した割合は,上顎では34.3%,下顎では51.4%で下顎の方が一致する割合が多く,タイプ別では上顎ではCタイプ,下顎ではAタイプで一致率が高くなっていた。
    4.一致した症例では,上顎の乳中切歯,永久中切歯の捻転度が大きく,乳犬歯間歯列弓長径が短い傾向がみられた。
    5.上顎の一致した症例では特に歯列弓,歯槽基底の幅径において,乳歯列と永久歯列の間で相関が高かった。
  • 高橋 美保子, 関本 恒夫, 牧 志寿子, 苅部 洋行, 大出 リエ子, 土居 久美子, 斉藤 文子, 坂井 正彦, 菊池 進
    1992 年 30 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列から永久歯列を予測するために,正常咬合の乳歯列がその後永久歯列において正常咬合に推移した21症例とAngle I級の不正咬合に推移した12症例の乳歯列期,永久歯列期の経年歯列石膏模型(上顎)を資料として,モアレトポグラフィにより口蓋の形態を観察し,以下の結論を得た。
    1.口蓋幅では,乳歯列期,永久歯列期とも,正常咬合群と不正咬合群で違いは認められなかった。
    2.口蓋長では,乳歯列期の乳犬歯部口蓋長,第1乳臼歯部口蓋長,永久歯列期の第2小臼歯部口蓋長において不正咬合群が正常咬合群に比べて短く,乳歯列から永久歯列へかけての変化量も少なかった。
    3.口蓋高では,乳歯列期の乳犬歯部口蓋高で不正咬合群が正常咬合群に比べ浅かった。
    4.口蓋容積では,乳歯列期では違いはみられなかったが,永久歯列期では永久犬歯前方口蓋容積で不正咬合群が正常咬合群に比べ小さかった。
    5.以上のことより永久歯列において,正常咬合となるものと不正咬合となるものでは,乳歯列期において特に前方部の口蓋形態に違いがみられ,不正咬合に推移するものでは前方部の口蓋形態は短く浅い傾向が認められ,咬合誘導上,重要な情報源となると思われた。
  • 森主 宜延, 川崎 広時, 奥 猛志, 小椋 正
    1992 年 30 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎窩に対する下顎頭の位置判定を行う新たな分析方法を開発し,思春期顎関節症患者35名,70顎関節FCR画像により検討した結果,その有効性が示されたので報告する。
    1.下顎窩にたいする下顎頭の位置関係について,定性(前後的,上下的)ならびに定量的評価可能な分析方法を提示する。この方法は,閉口時に評価が可能であり,再現性は,定性的評価においての評価結果は,100%であり,定量的評価においては,XY座標値の標準誤差平均を考慮することにより有効であることが示された。
    2.閉口時の下顎頭の位置評価の標準値を提示した。
  • 木村 光孝, 牧 憲司, 稲川 祐成, 渡辺 博, 若杉 淳二郎, 曽我 富美雄, 横本 満, 矢野目 鎮照, Raymond L. Bra ...
    1992 年 30 巻 1 号 p. 69-79
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成長期にある生後3週齢のWistar系雄ラットを,カルシウム欠乏食で飼育し,虚弱骨を惹起させた。その虚弱下顎頭に対して,生理活性物質であるカルシトニン,活性型ビタミンD3を同時併用投与し,作用機序との関連を細胞レベルで検索した。結果は以下のとおりである。
    1)骨芽細胞はカルシウム欠乏食群に比べ増加傾向にあり,細胞内小器官が良く発達していた。所々細胞間距離に開大が認められ,凝ラーゲン原線維も著明に観察され,活性の高い様相を示す細胞が多数認められた。
    2)骨細胞は成熟したタイプのものは少なく,幼若なタイプと成熟したタイプの中間型のものが多かった。さらに,カルシウム欠乏食群の深部に認められた特異的な形態を呈するものはほとんど認められなかった。
    3)破骨細胞はカルシウム欠乏食群に比べ減少傾向にあり,骨面から遊離したものが多くそのruffled borderも扁平化を呈し,旺盛な骨吸収は押えられていた。
    4)幼若な骨芽細胞あるいは破骨細胞様多核細胞が多数集団を形成し,細胞の成熟が十分でないところが多くみられた。
    以上のことから,カルシウム不足に陥った成長期下顎頭に対するECTとVD3の直接的な作用は,骨構築にとって補助的なもので,虚弱骨の回復にはカルシウムとの併用が不可欠であることが示唆された。
  • 難波 みち子, 関本 恒夫, 坂井 正彦
    1992 年 30 巻 1 号 p. 80-91
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列の歯間空隙と歯の交換との関連性を知る為に,難波は乳歯列を総空隙量により,I型(いわゆる空隙型),II型(中間型),III型(いわゆる閉鎖型)に分類し,各々の形態的特徴と永久歯の排列との関連性を検討した。その後さらに経年的観察を行い,永久歯列が完成した28例について検討を行い,次の様な結果を得た。1.乳歯列から永久歯列への変化では,I型は上顎下顎ともに,歯列周長,歯槽基底長径A-M1,幅径d-dに差が認められなかった。総空隙量,discrepancy量は永久歯になると減少していた。II型は上顎下顎ともほとんどI型と同様な結果を示した。III型では上顎下顎とも永久歯列の前方部の歯槽基底長径が短くなり,幅の広い半円形となった。2.各空隙型と永久歯列の排列状態との関連性をみると,上顎ではI型75%,II型64.3%,III型50%,下顎ではI型80%,II型92%,III型ではすべてが正常となった。3.I型と正常咬合群,III型と不正咬合群の歯列弓,歯槽基底は類似していた。4.乳歯列における空隙の変化最は,上顎ではI型が一番減少した。下顎ではII型が減少し,III型はわずかに増加した。5.Leeway spaceは下顎の3型に有意差が認められた。
  • 壷内 智郎
    1992 年 30 巻 1 号 p. 92-106
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,歯科に対する不安の強い小児患者を事前にスクリーニングする目的で,著者らのこれまでの疫学調査結果をもとに質問紙法による評定尺度を考案した。質問紙は,保護者用と子供用の2種類で,回答・記入は保護者が行った。そしてその評価を行うべく,まず本質問紙の信頼性と妥当性の検討を行い,つぎに質問紙の回答結果と患児の口腔内状態および患児の歯科治療時の行動(情動と体動)との関連性についての検討を行い,以下の結果を得た。
    1.本質問紙法の有効性について検討を行い,高い信頼性と妥当性を得た。
    2.患児の歯科不安は母親の不安や患児の歯科治療経験に誘発される可能性が強く,臨床的にも問題となることが示された。
    3.心拍数は不安度の増大に伴い変化率の上昇を認め,皮膚温は低不安群に比べ高不安群の方が変動が大きかった。
    4.体動に関しては,手足において高不安群の方が表出率が高く,頭顔面部より手や足のほうが不安の兆候となる動きが表出されていることが示唆された。
    以上より,本質問紙から推察された不安度により低不安群と高不安群の患児の口腔内状態の特徴や治療時の行動特性を示し得た。すなわち,今回考案した歯科不安に関する質問紙が歯科不安を測定する尺度として有効であり,歯科不安の強い患児を事前にスクリーニングするのに有用であることが示唆された。
  • 西村 美智子, 陳 慧貞, 三浦 容, 松村 誠士, 下野 勉
    1992 年 30 巻 1 号 p. 107-114
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    現在までに,多くの齲蝕活動性試験が個人の口腔内の状態の把握や,将来の齲蝕発生を予測するために開発されてきた。本研究では,齲蝕活動性試験のひとつであるカリオスタットの乳歯隣接面齲蝕の早期発見ならびに予防のためのスクリーニングテストとしての有効性を検討した。対象者は,本学小児歯科を受診した58名の患児(2-8歳:平均年齢4.3歳)であった。通常の口腔内検診で両隣接面共に健全と診断された77乳歯隣接面から市販フロスを用いてプラークを採取し,カリオスタット試験液に投入した。その試験液を37℃ で48時間培養後色見本を参照して色判定し,隣接面の齲蝕活性度とした。また,隣接面齲蝕の診断には,咬翼法エックス線法を併用した。
    以上より次の結果が得られた。(1) 各乳歯隣接面の齲蝕活性度は〓〓〓で高く上下顎共齲蝕罹患率と同じパターンを示した。(2) 齲蝕に罹患している乳歯隣接面の齲蝕活性度の平均値は,1.6±0.4(S.D.)で健全な乳歯隣接面では1.0±0.2(S.D.)となり齲蝕罹患部位の隣接面の方が有意に高かった。(p<0.001)(3) 各乳歯隣接面を齲蝕活性度別に分類し,それぞれの齲蝕罹患率を求めると齲蝕活性度が高い程,齲蝕罹患率も高かった。(4) カリオスタットの乳歯隣接面齲蝕のスクリーニングテストとしての有効度を特異度,敏感度を算出して検討すると2-5歳児では,齲蝕活性度1.5の時,最大有効度を示し,6歳児では,2.0の時であった。
  • 大下 智友美, 小出 武, 深尾 正, 山賀 まり子, 犬石 隆人, 稗田 豊治
    1992 年 30 巻 1 号 p. 115-122
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    矯正治療において,ブラケット装着歯に齲蝕を認めることがある。このような齲蝕を予防するために,一定量のフッ素を徐放するとともに,ブラケット下の歯面とブラケット周囲の歯面に保護層を作るフッ素徐放性光重合型ボンディング材が米国において開発された。本研究では,このボンディング材(Ormco社,米国,FluoroBondTM)をブラケット装着時のボンディング材として使用し,本ボンディング材の有効性を検討するために,in vivoにてエナメル質のフッ素の取り込み量を測定するとともに,in vitroで同ボンディング材を作用させたエナメル質の耐酸性について検討し,以下の結果を得た。
    1)フッ素徐放性光重合型ボンディング材を用いてエナメル質にブラケットを装着し,in vivoで作用させたところ,ボンディング材塗布部エナメル質の他に,その周囲エナメル質でもフッ素の取り込みが認められた。
    2)同ボンディング材とエナメル質を接触させ,in vitroで作用させたところ,同エナメル質は強い耐酸性を獲得した。
    3)同ボンディング材を用いてブラケットを装着し,in vitroで作用後,人工脱灰を行ったところ,ブラケット周囲エナメル質でも脱灰の抑制が認められた。
  • 中川 さとみ, 藤居 弘通, 町田 幸雄, 中川 種昭, 山田 了, 奥田 克爾, 高添 一郎
    1992 年 30 巻 1 号 p. 123-134
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯周病原性細菌の中から成人性歯周炎局所に高率に存在し,しかも血清抗体価の上昇が認められると報告されているPorphyromonas gingivalisおよびFusobacteriummucleatumについて血清抗体価と年齢,歯周局所の菌数および臨床所見との関連性について検索した。
    本研究では被検者を幼児期,学童期,思春期,成人グループに分類した。それぞれのグループで歯齦炎群10名,正常群10名ずつ選択し,さらに成人性歯周炎患者10名についても観察を行った。被検者から歯齦縁下試料および血液を採取し,菌の同定とELISA法による抗体価の測定を行った。その結果,以下の結論を得た。
    1)思春期歯齦炎群のP. gingivalisに対するIgG抗体価は成人歯齦炎群の値と有意な差が認められず,境界値を超える被検者の割合は幼児期および学童期歯齦炎群に比較し有意に多かったが,成人歯齦炎群や成人性歯周炎群とは有意な差が認められなかった。また,IgM抗体価においても思春期歯齦炎群はその前後の時期に比べ,有意に高く,境界値を超える被検者の割合もすべてのグループの中で一番多かった。これらのことから思春期はP. gingivalisの歯周局所への定着が生じ易くなる時期と考えられる。
    2)F. nucleatumにおいて成人性歯周炎群のIgG抗体価は思春期および成人歯齦炎群と有意な差は認められなかった。
  • 真部 滋記, 田村 康夫, 美島 達平, 宋 政文
    1992 年 30 巻 1 号 p. 135-149
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の発達に伴う筋活動の変化を観察する目的で,筋電図から相互相関関数を応用した筋電位伝導速度(MFCV)について検討し,さらにFFT解析による筋活動のパワースペクトルについても併せて検討した。被検者は歯列の成長により,乳歯列期小児5名,混合歯列前期小児5名,混合歯列後期小児5名,永久歯列期成人20名(男性10名,女性10名)の4群に分類した。被検筋および被検運動として,肘関節を約90°に固定した時の上腕二頭筋および咬頭嵌合位における咬筋の等尺性収縮を指示し,電極は直列連動型電極を使用した。また成人10名を対象に,収縮強度の変化がMFCVおよびパワースペクトルに及ぼす影響についても検討を行い,以下の結論を得た。
    1)MFCVは成人で性差は認められなかったものの,咬筋,上腕二頭筋とも収縮強度の増大に伴い上昇した。また群別で検討した場合,咬筋のMFCVは成人に比較し乳歯列期小児で小さい値を示した。
    2)発達に伴いピーク周波数は低域にシフトする傾向を認め,一方ピーク強度,周波数域については増大および拡大する傾向を認めた。
    3)被検筋間で比較すると,MFCVについては咬筋が上腕二頭筋に比べ大きい値を示し,ピーク周波数および周波数域についても咬筋が高周波域に位置していた。
  • 田村 康夫, 宋 政文, 成田 優一, 美島 達平
    1992 年 30 巻 1 号 p. 150-157
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究はヒト乳児を用い,哺乳運動がどの様に行われているか,特に各咀嚼筋群の吸啜行動への参加と協調性について検討することを目的に行った。
    実験には健康状態の良好な生後4カ月と5カ月の無歯期の乳児2名を用い,哺乳時の咀嚼筋活動を片側の側頭筋前腹,咬筋,口輪筋および舌骨上筋群を用い観察した。また本教室で特別に作製した哺乳瓶を使用し,吸啜時の吸引圧(吸啜波)も同時記録すると共にビデオカメラにて哺乳時における乳児の行動についても観察した。結果は以下のとおりであった。
    1)吸啜波は圧出相,吸引相および嚥下相に分けることができ,嚥下相は陽圧と陰圧の単純な吸啜サイクルを2~4波形繰り返した後出現していた。
    2)圧出相ではまず口輪筋が働き次いで咬筋,側頭筋が働き,吸引相では口輪筋,舌骨上筋群が活動していた。嚥下には主に口輪筋と舌骨上筋群が活動し,咬筋も協調していた。
    3)吸啜中の顎の運動を観察すると圧出相では顎は前上方へ移動し,吸引相では後下方へ移動するパターンを示していた。
  • 谷 博司, 朝田 芳信, 加納 邦弘, 栗原 洋一
    1992 年 30 巻 1 号 p. 158-163
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    マウス齲蝕発症実験における近交系マウスの系統差の究明を目的とし,齲蝕発症に系統差を認めた近交系マウス唾液で被覆した合成ハイドロキシアパタイトディスクへの,mutans streptococci JC- 2(血清型c)のショ糖非依存性菌体付着反応への影響を検索し下記の結果を得た。
    1.マウス生化学的遺伝標識である唾液蛋白に相違のあるC3H/He,BALB/cおよびC57BL/10マウスの唾液被覆HA板への菌体吸着に系統差は見られなかった。
    2.齲蝕実験では,BALB/c(♂),C57BL/10(♂)は齲蝕感受性で,C3H/He(♂)齲蝕抵抗性を示し,齲蝕発症に系統差があることが確認された。
  • 笹井 浩司, 周 瑞瑛, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1992 年 30 巻 1 号 p. 164-171
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期における咬合機能の発達を検討する目的で一般臨床で成人た広く用いられている咬合音診査を応用するため,その臨床実験として乳歯列期より永久歯列期までの158名について咬合音採得を行い,そのうち明瞭な咬合音を示した130名について波形の検討を行った。咬合音の採得は両側眼窩下部より市販の咬合音採得用マイクを用いた口外法で行った。被検者には術者の指示により任意タッピングを指示し,各人約30波形の採得を行い,そのうち16波形の加算平均波形を個人データとした。採得された波形についてデンタルステージ別ならびに咬合異常の有無における波形の相違の検討を行い,波形概形および持続時間,最大振幅について検討を行った。その結果,
    1)波形概形の検討では,正常咬合群ではII C~III A,III Bにかけてスライディングサウンドが優勢を占めたが,正常咬合群ならびに咬合異常群ともにIII BからIII Cにかけてインパクトサウンドの比率が著しく増大した。また咬合異常群ではすべてのデンタルステージにおいて正常群に比ベインパクトサウンドの出現率は低かった。
    2)正常咬合群においては左右差および歯列の成長に伴った咬合音持続時間ならびに咬合音最大振幅の有意な変化を認めなかったが,持続時間に比べ最大振幅における被検者間変動は大きく認められた。
    3)正常咬合群と咬合異常群との比較においては,最大振幅において有意な相違は認められなかったが,持続時間において咬合異常群に有意な延長を認めた。
  • 平田 順一, 今井 麗, 大浜 綾子, 田中 好美, 久松 貴子, 比嘉 南美, 高梨 登, 赤坂 守人
    1992 年 30 巻 1 号 p. 172-185
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    癒合歯および先天性欠如歯が,乳歯列にどのような影響を及ぼしているのかを検討する目的で,種々の距離計測を行った上,3次スプライン関数にて歯列弓曲線を描き,フーリエ解析を行って検討した。資料は,Hellmanのdental age IIA期で,下顎歯列内の片側に癒合,欠如歯を有する異常歯列群42名と,対照群として正常歯列56名の歯列模型である。歯列弓の大きさは,異常歯列群のすべての計測部位において対照群より小さく特に下顎に有意な差を認める部位が多かった。上下顎前歯被蓋関係は,異常歯列群と癒合歯群において対照群より有意に大きく,異常歯列群の霊長空隙は,下顎において対照群より有意に大きく特に欠如歯群で大きかった。異常歯列群の歯間空隙の総和は,下顎において対照群より有意に大きく欠如歯群で最も著明であった。対照群,異常歯列両群の平均歯列弓曲線において,最も唇・頬側に出た部位は,対照群の上顎において乳中切歯間,異常歯列群では第二乳臼歯相当部であり,二つの群に形態的な差異があった。異常歯列群の歯列弓曲線を対照群の平均曲線の上に重ね合わせたところ,2度交叉するタイプが多かった。フーリエ解析の結果,寄与率の高い成分波は四次成分波までであり,対照群の男児の上顎は一次,下顎は二次,女児の上顎は四次,下顎は二次成分波が最も高い個体が多かった。また,異常歯列群では,男女児,上下顎ともすべて一次成分波の寄与率が最も高い個体が多かった。
  • 安富 豊, 松田 洋子, 宮崎 寿次, 中村 務, 弘田 克彦, 福井 公明, 太田 房雄, 西野 瑞穗
    1992 年 30 巻 1 号 p. 186-193
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutans(血清型c,e,f)に特異的に反応する単クロン抗体を作製し,この単クロン抗体を用いた酵素抗体法によりS. mutansを特異的,かつ迅速,簡便に検出定量する新しい齲蝕活動性試験を開発した。本論文では,まず,作製した単クロン抗体f-89(MAbf89)の各種口腔内連鎖球菌に対する反応特異性を示し,次に,このMAbf89を用いた酵素抗体法によって,標準検体および臨床検体中のS. mutansを検出定量するとともに,従来より行われている齲蝕活動性試験,カリオスタット法およびMSBB法と比較検討したので報告する。
    2.0~5.0歳児98名を対象として,上顎臼歯部頬側面から歯垢を採取し,臨床検体とするとともに,口腔内検診を行いdmf歯数を得た。
    得られた結果は次のとおりであった。
    1.MAbf89はS. mutans(c,e,f)以外のミュータンス群連鎖球菌およびその他の口腔内連鎖球菌とはほとんど交叉反応を示さずS. mutansにきわめて高い特異性を有していた。
    2.S. mutans標準検体について得られたMAbf89を用いた酵素抗体法による測定値は,CFU値と高い正の相関性を有し,検出限界はほぼ5×104CFU/mlであった。
    3.臨床検体について得られた酵素抗体法による測定値とコロニーを抗体染色すること(IBT変法)により得られたCFU値との間には高い正の相関性がみられた。
    4.臨床検体について得られた酵素抗体法による測定値と,カリオスタット法によるpH値およびMSBB法によるスコアとの間にはそれぞれ正の相関性がみられ,カリオスタット法よりMSBB法に,より高い正の相関性が認められた。
    5.臨床検体について得られた酵素抗体法,カリオスタット法およびMSBB法によるスコアとdmf歯数との間には, t 検定で酵素抗体法では, + と+ + , + と〓の間に有意差(p<0.05) , カリオスタット法では, + と+ + , + と〓の間に有意差(p<0.01) ,M S B B 法では, -と+ + , + と+ + , + と〓の間に有意差(p<0.05) , - と〓の間に有意差(p<0.01)が認められた。
    以上の結果から,われわれが開発中の単クロン抗体f-89を用いた酵素抗体法は,今後改良を加えることにより齲蝕活動性試験として十分臨床応用できるものと考えられた。
  • 品川 光春, 品川 知通子
    1992 年 30 巻 1 号 p. 194-201
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    初診患児の実態を調査するため,開院3年経過後の1987年6月から1988年8月までに来院した男児498名,女児502名,計1,000名について,初診時の問診表,新患記録ノートおよび診療録に基づいて検討した結果,以下のような結論を得た。
    1)平均年齢は4歳4カ月であった。
    2)主訴は齲蝕60.3%,疹痛14.3%,フッ化物塗布10.2%,歯並び5.0%,検診4.1%,ブラッシング指導2.0%,外傷1.6%,シーラント0.6%,その他1.9%であった。
    3)歯牙の異常は,全体の11.2%の患児にみられ,その種類は癒合歯3.6%,先天性欠如歯1.9%,石灰化不全歯1.8%,過剰歯1.6%,着色歯1.0%,短1小歯0.8%,その他0.5%であった。
    4)口腔習癖は,全体の29.4%の患児にみられ,その種類は指しゃぶり42.7%,歯ぎしり25.7%,咬爪癖15.8%,咬唇癖5.8%,舌癖4.1%,口呼吸3.2%,その他2.6%であった。
    5)歯列および咬合の異常は全体の41.9%の患児にみられ,その種類は前歯の前突23.4%,前歯部反対咬合16.7%,開口14.4%,下顎の叢生10.7%,1~2歯の反対咬合7.9%,切端咬合7.4%,上下顎の叢生5.6%,前歯の過蓋咬合5.3%,側方交叉咬合2.3%,その他6.3%であった。
  • 牧 憲司, 渡辺 博, 竹下 尚利, 児玉 昭資, 村田 真知子, 名越 恭子, 木村 光孝
    1992 年 30 巻 1 号 p. 202-207
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Solitary bone cystは,長管骨,とくに上腕骨,大腿骨の近位骨幹端部に好発し,顎骨における発生頻度は少ないとされている。
    今回我々は右側下顎枝部の腫脹を主訴として九州歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した14歳の男子を臨床的および病理組織学的に診査し,右側下顎枝部のSolitary bone cystと診断し,以下のような所見を得た。
    1.患児は右側下顎枝部の内側に軽度の腫脹を主訴として来院し,家族歴,既往歴に特記すべき事項はなかった。
    2. 本症例は下顎枝に広範囲にわたり境界不明瞭な多房性のX 線透過像を呈し, 病巣周囲に硬化像を呈していた。
    3 . 処置および経過については, biopsy を実施し, 経過観察を行い, 術後4 カ月経過後,X 線写真で病変部の透過性病変の消失が見られた。術後1年6 カ月に至ると, 新生骨梁の添加の所見を呈し,ほぼ健側と同様なX線所見を呈していた。
  • 久保山 博子, 勝俣 真理, 久芳 陽一, 新村 健三, 本川 渉
    1992 年 30 巻 1 号 p. 208-216
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列において,真性乳歯過剰歯及び正常歯と過剰歯の癒合である双生歯についての報告は少ない。今回我々は,本学小児歯科外来を訪れた3歳9カ月男児の上顎左側乳犬歯部に真性乳歯過剰歯を,また右側乳犬歯部に双生歯を認める稀有な症例に遭遇した。
    家族歴,既往歴,全身所見においては,特記すべき事項は認められなかった。
    上顎左側乳側切歯と第一乳臼歯との問の2本の歯牙は,正常乳歯の特徴と一致しており,歯牙の形態,色調,大きさ,萌出時期,歯根の形成度,歯冠の形態,歯髄腔の形態より正常乳歯と真性過剰歯であると判断した。しかし,どちらが真性乳歯過剰歯であるかの判定は不可能であった。
    また上顎右側乳犬歯部においては,正常乳歯とほぼ同様な形態を呈していたが,歯冠幅径がやや広く,舌側には癒合線が認められた。これらの所見とX-ray所見より双生歯と判断した。パノラマX-ray,デンタルX-rayより上顎左側乳歯過剰歯の後継歯に過剰歯などの異常は認められず,上顎右側乳歯双生歯の後継歯にも異常は認められなかった。
  • 豊島 正三郎, 森主 宜延, 中山 清貴, 清水 久喜, 小椋 正
    1992 年 30 巻 1 号 p. 217-223
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Diphenylhydantoin性歯肉肥大症を有する障害児に対する歯科的治療方針の決定に関して,2症例をとおして検討した結果,以下の知見を得た。
    1.症例1について,施設の歯科衛生士によるPlaque controlが可能と判断し,歯肉切除を行った。その結果,再発もなく,経過は良好で,摂食障害,舌運動障害,歯列不正も改善した。また,肥大の程度と歯列不正の改善の程度の関連について分析を行ったところ,肥大の程度の大きい程,改善の程度も大きいことが示された。
    2.症例2について,施設の職員によるplaque controlが可能と判断し,歯肉切除を行った。その結果,経過は良好で,食欲不振,貧血傾向の改善にもつながった。
    3.以上のことにより,Diphenylhydantoin性歯肉肥大症の治療方針の決定には再発防止のため,保護者および施設職員によるPlaquec ontrol遂行の可能性が最も重要であるが,今回は歯肉肥大の他に,全身的障害あるいは口腔機能の障害が大きく,これらの障害も治療方針決定にあたっての一つの考慮すべき因子となると思われた。
  • 黒川 泉, 保科 学, 松井 大介, 鈴木 広幸, 小林 雅之, 下岡 正八
    1992 年 30 巻 1 号 p. 224-231
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    好酸球性肉芽腫は,細網内皮系の中でも組織球性細胞の増殖を主体とし,好酸球の浸潤を伴う肉芽腫性病変である。Letterer-Siwe病,Hand-Shuller-Christian病とともに同一疾患の異なる病型であるとして,Histiocytosis Xと呼ばれている。年長の小児に好発し,顎骨は好発部位である。歯周疾患の炎症反応や悪性腫瘍と類似しているため,ほかの疾患との鑑別が難しく,確定診断には病理組織学的所見が必要である。処置は,病巣の進行度により異なっている。予後は一般に良好であるといわれているが,Histiocytosis Xの他の病型に移行したり,再発した場合,原発巣よりさらに病巣が広がることもある。
    今回,右側頬部腫脹を主訴として来院した3歳5カ月の女児で,右側下顎骨に単発で発生した好酸球性肉芽腫を経験した。全身所見,歯科的所見,ならびに臨床経過に関して検索を行った結果,以下のような知見を得た。
    1)初発症状は,炎症所見に類似しており,X線所見では悪性腫瘍を疑う像が認められた。病理組織所見より,組織球性細胞を主体とし好酸球,巨細胞が認められ,好酸球性肉芽腫の診断を受けた。
    2)末梢血液における分画は,すべて正常値内であった。
    3)化学療法により治癒し,5年経過した現在,再発もなく良好である。しかし,病巣は永久歯胚を含んでおり,治癒後萌出した第一大臼歯に形成不全が認められた。
  • 大下 智友美, 船越 禧征, 紅露 政利, 稗田 豊治
    1992 年 30 巻 1 号 p. 232-238
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外胚葉異形成症は,外胚葉の形成不全に由来し,かつ遺伝性が認められ,無歯症,粗毛,鞍状鼻,汗腺ならびに皮脂腺の欠如や不全などを有する疾患である。
    これらの患者の歯科的問題点として,歯の多数欠如による咀嚼機能障害,審美障害および発音障害などが生じるため,審美的改善を含んだ生理的機能回復を図ることが必要である.今回,私たちは,外胚葉異形成症と診断された兄弟の症例を経験し,以下の所見を得た。
    1)兄は皮膚生検によって無汗型と診断され,また弟も臨床症状より無汗型であることがうかがえた。
    2)兄弟とも上顎両側に乳中切歯,第二乳臼歯および中切歯の形成が認められ,下顎には歯ならびに歯胚の形成はみられなかった。
    3)萌出歯はいずれも栓状歯であった。
    4)下顎歯槽堤は萎縮しており老人様顔貌を呈していた。
    5)口腔粘膜については異常は認められなかった。
    6)頭部エックス線規格写真による分析の結果,上顎骨の劣成長が認められた。
  • 三好 憲裕
    1992 年 30 巻 1 号 p. 239-242
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    第一大臼歯の異所萌出のため,第二乳臼歯歯根の異常吸収をきたした症例の報告は散見するが,第一大臼歯歯根の異常吸収はきわめてまれである。今回,両側上顎第一大臼歯歯根の異常吸収の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は15歳女児。上顎両側第一大臼歯の自発痛を主訴で来院。
    パノラマX線において両側上顎第二小臼歯が埋伏し,左側上顎第一大臼歯の歯根は完全に吸収されていた。右側上顎第一大臼歯は,近心頬側根が完全に吸収され,口蓋根は部分的に吸収を受けていた。遠心頬側根は吸収を受けていなかった。処置として両側上顎第一大臼歯を抜歯し,両側上顎第二小臼歯の萌出を促した。
  • 富永 敏彦, 寳田 貫, 原田 桂子, 西野 瑞穗
    1992 年 30 巻 1 号 p. 243-257
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    左右側顎関節雑音, 肩凝りを主訴に来院した1 3 歳8 カ月男性に対して, 多角的に病態を把握する目的で各種検査を行った。既往歴として全身的には特記すべき事項はなかったが,11歳頃より肩凝りを覚え,10歳頃睡眠中にブラキシズムを行っていた既往があった。現症として開口時中期の左右側顎関節雑音および肩凝りを認めた。初診時の所見は次のとおりであった。
    1) 口腔内所見では, 2 栓状歯, 54未萌出に伴う76近心傾斜が認められた。
    2) パノラマX 線写真見では, 52|5/5先天性欠損, 5水平埋状が認められた。
    3) T スキャン所見では, 54|45/54|45セントリックストップの欠如および咬嵌合位の後方偏位が認められ,前方,側方滑走運動時において76|67/76|67の咬頭干渉が認められた。
    4)顎関節断層写真所見では,咬頭嵌合位で左右側下顎頭は後方偏位しており,MRI所見では左右側とも復位可能な関節円板前方転位と診断された。
    5)筋電図所見では,各筋は協調性に欠け咀嚼リズムは不安定であった。
    6) 矢田部ギルフォード性格検査では, 患者はC'型( C 型すなわち安定適応消極型の準型),母親はD型(すなわち安定積極型)と判定され,状態・特性不安インベントリーでは,患者,母親とも状態不安,特性不安ともに標準的であった。処置として,スタビライゼイションスプリントおよび接着性レジンを用いた4点接触にて,咬合の安定化,筋および顎関節の安静化を図った。約3カ月経過後,肩凝りには著変は認められなかったが顎関節雑音は著明に減少し,現在経過観察中である。思春期は顎口腔系が急激に成長発達し,情緒的にも不安定な時期であるため,臨床症状のみでなく,Tスキャン,MRI,筋電図,心理テストなどの各種診査は診断,治療,治癒の判定に非常に有用であることが示唆された。
  • 1992 年 30 巻 1 号 p. 262-328
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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