小児歯科学雑誌
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カルシウム不足の成長期下顎頭に対するカルシトニン,活性型ビタミンD3の併用療法
木村 光孝牧 憲司稲川 祐成渡辺 博若杉 淳二郎曽我 富美雄横本 満矢野目 鎮照Raymond L. Braham
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1992 年 30 巻 1 号 p. 69-79

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抄録

成長期にある生後3週齢のWistar系雄ラットを,カルシウム欠乏食で飼育し,虚弱骨を惹起させた。その虚弱下顎頭に対して,生理活性物質であるカルシトニン,活性型ビタミンD3を同時併用投与し,作用機序との関連を細胞レベルで検索した。結果は以下のとおりである。
1)骨芽細胞はカルシウム欠乏食群に比べ増加傾向にあり,細胞内小器官が良く発達していた。所々細胞間距離に開大が認められ,凝ラーゲン原線維も著明に観察され,活性の高い様相を示す細胞が多数認められた。
2)骨細胞は成熟したタイプのものは少なく,幼若なタイプと成熟したタイプの中間型のものが多かった。さらに,カルシウム欠乏食群の深部に認められた特異的な形態を呈するものはほとんど認められなかった。
3)破骨細胞はカルシウム欠乏食群に比べ減少傾向にあり,骨面から遊離したものが多くそのruffled borderも扁平化を呈し,旺盛な骨吸収は押えられていた。
4)幼若な骨芽細胞あるいは破骨細胞様多核細胞が多数集団を形成し,細胞の成熟が十分でないところが多くみられた。
以上のことから,カルシウム不足に陥った成長期下顎頭に対するECTとVD3の直接的な作用は,骨構築にとって補助的なもので,虚弱骨の回復にはカルシウムとの併用が不可欠であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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