抄録
血液検査は生体の代謝状態を理解するために必要不可欠なものであり,その正常値を把握することは大変意義がある。しかし,その値も年齢によって変動するため,ヒトでは離乳期,幼児期,学童期,思春期,成年期,壮年期,老年期に相当するラットを用いて血液検査を行い,次のような結果を得た。
1)ビリルビンは離乳期,成年期で高値を示す。
2)総蛋白量は年齢とともに増加する。
3)GOT,GPT,LDH,CPKは年齢とともに増加し,思春期および老年期で高くなる。ALPは離乳期,学童期,思春期で高値を示す。γ-GTPは離乳期で低く,学童期で高値を示す。
4)コレステロールは離乳期および老年期で高値を示す。トリグリセライドは年齢とともに増加し,壮年期後減少する。
5)糖質は成年期まで年齢とともに増加する。
6)BUN,クレアチニンは離乳期,思春期で高値を示す。尿酸は離乳期で高い値を示す以外はほぼ一定の値を示す。
7)Na,Clはほぼ一定の値を示す。K,Pは離乳期で高くその後減少する。Caは離乳期思春期,成年期で高値を示す。
8)C-PTHは思春期,成年期,老年期で高値を示す。N-PTHは離乳期で高値を示す。CTは年齢的変動はみられない。1,25(OH)2VDは幼児期,成年期,壮年期で高値を示す。