小児歯科学雑誌
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乳臼歯II級窩洞に応用したコンポジットレジンの臨床成績
真柳 秀昭門馬 祐子神山 紀久男
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1993 年 31 巻 1 号 p. 69-80

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抄録
東北大学歯学部付属病院小児歯科外来に通院中の小児患者61名の乳臼歯II級窩洞に低粘稠性コンポジットレジンClearfil SCIIを充填し(平均充填時年齢は5歳9ヵ月),最短6ヵ月,最長6年2カ月を経過した153歯について,臨床的観察を行った結果,以下のような知見を得た.
1)経過良好例は101例,66.0%で,その内の約8割は既に後継永久歯と正常に交換した.不快事項の発生例は52例,34.0%であった.
2)不快事項発生例の内,31例は再処置になったが,4例は経過観察中,17例は交換期に生理的脱落あるいは抜去された.
3)充填時年齢が低いほど不快事項の発現頻度は高く,その多くは再処置が施された.6歳以降に充填された症例では不快事項の発現は少なかった.
4)不快事項は充填後の比較的早い時期に発現する傾向を示した.
5)歯種・部位によって不快事項の発現頻度に差を認めなかった.
6)不快事項の中で発現頻度の高かったものは,二次齲蝕とレジンまたは歯質の摩耗による段差であった.これらは,特に上顎第1乳臼歯において多発した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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