小児歯科学雑誌
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31 巻 , 1 号
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  • 岡本 圭一, 篠田 圭司, 長谷川 信乃, 田村 康夫
    1993 年 31 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本教室では,一定基準における歯および歯列の形態を定量的に検討することを目的として,コンピュータ画像解析装置を応用した模型分析システムを開発し,その精度について検討した.
    装置としてCCDカメラ(PIAS社製,PX390A)を計測平面に対して垂直で,距離350mmになる状態で規格し固定し,サンプリング(画像入力)を行った.画像解析装置(PIAS社製,LA525MS),パーソナルコンピュータ(NEC社製,PC-9801RX)およびデジタイザ(PIAS社製,D3110)を用い,サンプリングした画像を処理し,カラープリンタ(シャープ社製,IO735X)にてプリントアウトし,記録・保存した.
    その結果,以下の結論を得た.
    本システムを用いて距離計測を行い,サンプリング時のシステムの精度を検討した結果,画面中央から上下端部へ行くにしたがって実際の距離よりも小さくなる傾向にあった.しかし最大誤差-2.97%,平均誤差-0.45%で,特に中心部10×6cmでの寸法精度は高いものであった.ノギスを用いて模型計測を行った場合と比較して画像解析装置を用いて計測を行った場合は-4.01%の誤差がみられた.またノギスを用いた場合,5回の計測で測定変動が認められたのに対し,本システムではほとんど認められなかった.
    以上,本システムを用いた計測は高い寸法精度であり,スタディモデルを用いた歯列の診査・診断に有効であることが示唆された.
  • 成田 優一, 鵜飼 紀久代, 飯沼 光生, 吉田 定宏
    1993 年 31 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒトの摂食行動にかかわる吸啜から咀嚼への転換を理解する目的で我々は比較生物学的に,モルモットの仔獣を用い,出生直後よりケージ内の摂食行動を観察し,さらに顎運動および口腔内圧を測定し,それらのパターンの分類を試みた.また吸啜期・咀嚼期およびその移行期を客観的に判断できる指標を確立し,この指標に基づいたモルモットの摂食行動の生後変化を検討した.
    その結果,モルモットの摂食行動は,生後7日までは全て母乳のみを吸っており,その後母乳と固形食の両方によって摂食行動を営み,生後26日以後には全てのモルモットは,固形食のみを摂取するようになった.顎運動からみると,生後9日までは単純な開閉運動のみであったが,経日的に側方運動を伴うモルモットが増加し,生後26日で全てのモルモットが側方運動を伴う運動のみとなった.また口腔内圧でも生後9日までは,陰圧のみであったが,経日的に陰圧と陽圧が記録されるモルモットが増加し,生後26日で全てのモルモットは陰圧と陽圧を生じる運動のみになった.
    以上の結果より,単純な開閉運動ならびに陰圧のみの時期,また側方運動を伴い陽圧も伴った時期とがほぼ一致していたことから,前者の時期が吸啜運動を,後者では咀嚼運動がなされていると考えられた.このように,口腔内圧と顎運動のパターンを基礎に吸啜と咀嚼の指標として用いることが可能であると判断された.
  • 久保山 博子, 尾崎 正雄, 松根 由佳, 横尾 健次, 進士 久明, 本川 渉
    1993 年 31 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列期の正常咬合および不正咬合者の咬合状態を知るために,Hellmanの歯齢IIA期(3歳-5歳)の,男子85名,女子71名,合計155名の石膏模型を用いて,分析を行ったところ,以下のような結果を得た.
    1.咬合状態の発現頻度は,正常咬合が56.8%,過蓋咬合29.0%,開咬7.7%,切端咬合4.6%,および反対咬合1.9%の順で,正常咬合が最も多かった.
    2.全群においてターミナルプレーンの関係は,M-M Typeが最も多く,次いでV-V Type,D-D Typeの順であった.また,V-V _Typeは年齢が増すにつれて減少していた.
    3.正常咬合群では,V-V Typeが,開咬群では,M-M Type,D-D Typeが,切端咬合群では,M-M Typeが,過蓋咬合群では,D-D Typeが,反対咬合群では,M-M Typeが最も多かった.
    4.正常咬合群では,年齢が増すにつれてV-V Typeが減少し,M-M Typeが3歳児に比較して5歳児では増加していた.過蓋咬合群では,年齢が増すにつれてD-D Typeの示す割合が増加していた.
    5.全群において上顎の総歯間空隙量は,3歳児と比較して5歳児の方が少なくなっていたが,下顎では3歳児より5歳児の方が多かった.また,上顎総歯間空隙量は正常咬合ならびに過蓋咬合両群とも,M-M Typeにおいて最も多く,過蓋咬合群では正常咬合群より多かった.下顎総歯間空隙量は両群間に著明な差はなかったが,上顎と違ってM-M Typeにおいて最も少なかった.
  • 小出 武, 山賀 まり子, 稗田 豊治
    1993 年 31 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    米国のSouthern Research Technologiesで作製されたIFRDを入手し,in vitroでIFRDのF徐放能を90日間測定したところ,90日目でも徐放量は減少せず,安定したFの徐放を示すことが明らかになった.In vitroで30日間IFRDを作用したヒトエナメル質へのF取り込み量は対照群と比べ増加した.さらに,同面の耐酸性について検討したところ,30日間IFRDを作用したヒトエナメル質の耐酸性は対照群と比べ有意に高くなっていた.また,30日間IFRDを作用した後,脱灰時にもIFRDを作用したヒトエナメル質の耐酸性はさらに高くなっていた.以上のことから,IFRDは,エナメル質に強い脱灰抑制能を付与させることが明らかになった.
  • 甲原 玄秋, 丹羽 公一郎, 青墳 裕之, 佐藤 研一
    1993 年 31 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和63年10月より平成4年3月末までの3年5ヵ月の間に千葉県こども病院歯科を受診した先天性心疾患を有する患児61名を対象に齲蝕罹患状況を中心に実態調査を行った.当科への紹介患者は重度のチアノーゼを有する患児も多く,72.1%は当院循環器科よりの紹介であった.患者年齢は1歳より17歳までで,7歳未満が69%を占めた.心疾患の齲蝕罹患率は高く,昭和62年歯科疾患実態調査(厚生省)と比較すると1から6歳,8歳,9歳において一人平均df歯数は高い値を示した.病型別ではチアノーゼ型心疾患群はファロー四徴,三尖弁閉鎖,両大血管右室起始が多く,非チアノーゼ型心疾患群は心室中隔欠損,心房中隔欠損が多かった.両群における一人平均df歯数には差を認めなかった.チアノーゼの程度は血中酸素飽和度で評価した.その程度と齲蝕罹患率に相関関係は認めなかった.治療手段の頻度は普通治療,強制治療,全身麻酔治療の順であった.無酸素発作,感染性心内膜炎に対する対応,β 遮断剤,抗凝固剤などに注意しつつ,根管治療,歯冠修復,抜歯などの処置を行ったが,特別な合併症は発生しなかった.患者家族の口腔衛生に対するアンケート調査では,適切な口腔管理は充分行われていなかった.先天性心疾患児においては齲蝕罹患率の高さ,不十分な口腔衛生,治療の困難性などより乳幼児期からの口腔衛生指導が重要と思われた.
  • 向山 賢一郎
    1993 年 31 巻 1 号 p. 39-55
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯肉色の変化は, 歯周組織の状態を示す重要な所見の一つである.今日まで様々な角度からのアプローチがなされているものの歯周疾患の発現する前段階の小児期については必ずしも明確にされてはいない.そこで, 臨床的に正常歯肉と判断された3歳から14歳までの小児109名, および18歳から28歳までの成人21名を対象に, 上顎前歯部について三刺激値直読型色差計CD-270を用い測色学的検討を行った.
    1)色差計にイメージファイバーを組み込むことにより, 再現性が向上し, 臨床的測色が簡便に可能となった.
    2)ステージ別の測色値においては, L*値では混合歯列期(IIIB期)に低下のピークを示し, a*値では混合歯列期(IIIB期)に増加のピークを示した.しかし, b*値では全時期を通じ大きな変化は認められなかった.
    3)部位別の測色値においては, L*値では乳頭, 辺縁部歯肉に比べ付着歯肉部の方が低い値を示したのに対し, a*値では逆に付着歯肉部の方が高い値を示した.また, b*値では部位の差はほとんど見られなかった.
    4)性差においては, 乳歯列期(IIA期)ではa*値が有意の差を持って女児の方が高い値を呈したが, 混合歯列期(IIC期-IIIB期)では差が見られなかった.また, 永久歯列期(成人)ではL*値が有意の差を持って男性の方が高い値を呈した.
  • 楽木 正実, 大土 努, 新谷 誠康, 大西 智之, 張 美華, 祖父江 鎭雄, 宇根 成実
    1993 年 31 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    リン酸四カルシウム(4CP)粉末をもちいたセメントを萌出途上の幼若永久歯の小窩裂溝填塞剤として応用するために,エナメル質への接着性を有するセメント硬化液を試作した.さらにこの4CPセメント自体が口腔内でどのように変化するかを知ることを目的として,硬化体を蒸留水ならびに再石灰化溶液中に浸漬し,経時的変化をX線結晶学的に検討した.数平均分子量の異なる2種類のポリアクリル酸(PAA-L,H)の配合量を変化させて,理工学的性質を測定した結果,数平均分子量5000のPAA-L25%,数平均分子量12000のPAA-H5%,クエン酸15%,酒石酸5%からなる硬化液が理工学的に最もすぐれていると判断された.この硬化液と4CP粉末を粉液比1.1で練和したとき,硬化時間4分,圧縮強さ634kgf/cm2,接着強さ7.2kgf/cm2を示した.フッ化物として,フッ化カルシウムは30%まで,フッ化ストロンチウムは2%まで配合しても使用可能であった.X線回折の結果,4CPセメント硬化体中の4CPは経時的にハイドロキシアパタイト(HAp)に転換した.この反応は,再石灰化溶液中でよりすみやかに生じ,浸漬28日後には硬化体中の4CPはすべてHApに転換していた.フッ化物の配合は,この転換を促進した.
  • 塩野 幸一, 清水 久喜, 小椋 正
    1993 年 31 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鹿児島大学小児歯科外来では,咬合誘導は,永久歯咬合の完成を迎えるまでの連続線上で考える必要があることから,当大学の矯正科と共通の理念と技法および料金システムのもとで咬合誘導外来を開始した結果,以下の結論が得られた.
    1.主症状別では反対咬合(53.8%)が最も多く,次が叢生(25.5%)で,次いで上顎前突(7.9%)であった.
    2.不正要因別では骨格型が最も多く,次が機能型で,次いでDiscrepancy型であった.
    3.咬合誘導の臨床は地域特性や社会環境を考慮して行なう必要があると思われた.
    4.不正咬合以外の主訴で来科し,その後咬合誘導の管理下に入ったものは103名で31 .3%認められ,小児歯科における特徴を示したと思われるため,今後は,より効果的な方法論の改良が必要であると考えられた.
  • 真柳 秀昭, 門馬 祐子, 神山 紀久男
    1993 年 31 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東北大学歯学部付属病院小児歯科外来に通院中の小児患者61名の乳臼歯II級窩洞に低粘稠性コンポジットレジンClearfil SCIIを充填し(平均充填時年齢は5歳9ヵ月),最短6ヵ月,最長6年2カ月を経過した153歯について,臨床的観察を行った結果,以下のような知見を得た.
    1)経過良好例は101例,66.0%で,その内の約8割は既に後継永久歯と正常に交換した.不快事項の発生例は52例,34.0%であった.
    2)不快事項発生例の内,31例は再処置になったが,4例は経過観察中,17例は交換期に生理的脱落あるいは抜去された.
    3)充填時年齢が低いほど不快事項の発現頻度は高く,その多くは再処置が施された.6歳以降に充填された症例では不快事項の発現は少なかった.
    4)不快事項は充填後の比較的早い時期に発現する傾向を示した.
    5)歯種・部位によって不快事項の発現頻度に差を認めなかった.
    6)不快事項の中で発現頻度の高かったものは,二次齲蝕とレジンまたは歯質の摩耗による段差であった.これらは,特に上顎第1乳臼歯において多発した.
  • 渡部 茂, 大西 峰子, 今井 香, 河野 英司, 浅香 めぐみ, 五十嵐 清治
    1993 年 31 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の食物咀嚼に唾液がどの様に関与しているかを知るために,食物咀嚼時間,および食物咀嚼によって分泌される唾液量について検討を行った.使用した食物はクッキー,タクアン,ソーセージ,マッシュポテト,リンゴ,ライスの6種である.5歳児で健全乳歯列を持つ男女各10人に対し実験を行った.唾液分泌量は,食物を通常通り咀嚼させ,嚥下の時期がきたら嚥下させず,あらかじめ計量してあるビーカーに吐き出させ,この重量から始めの食物の重量を差し引くことによって求めた(Chewing spit法).
    その結果,食物10gに対する平均の咀嚼時間はクッキーが最も長く(124.2±100.6秒),最も短いのはライス(32.6±19.9秒)であった.この10g咀嚼時間は始めの食物の水分量との間に負の相関がみられた(γ=-0.85,P<0.05).これは小児の食物咀嚼時間に食物の水分量が何らかの影響を与えていることを示唆するものと思われた.唾液分泌量に男女差はみられなかった.6種類の食物による平均唾液分泌量は3.6±2.7ml/minであった(クッキーが最も多く,ライスが最も少なかった).しかし食塊を吐き出した後,口腔内に食渣として残った食物量の平均値は13.7±6.4%であったので,今回得られた唾液分泌量の値は実際より若干下回るものと思われた.
  • 今井 香, 渡部 茂, 大西 峰子, 浅香 めぐみ, 五十嵐 清治
    1993 年 31 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    食物咀嚼中に分泌される唾液量のうち,食物の味によるものがどの程度あるかについて検討を行った.健全乳歯列を有する5歳児14名,女児16名を対象とし,食物の一口量,一口量咀嚼時間を各被験者について求めた.そして同じ一口量を通常通り一口量咀嚼時間だけ咀嚼させた場合と,それらを粉砕したものを噛まずによく味わったときに分泌される唾液量を比較した.唾液分泌量は吐き出した食塊から始めの食物の重量を差し引いて求めた.またガム咀嚼によって分泌される唾液量についても経時的に測定を行った.
    その結果,クッキー,ライス,リンゴ,タクアンを味わったときに分泌される唾液量は通常通り咀嚼したときに分泌される唾液量のそれぞれ95.1±31.6%,71.2±17.8%,97.0±35.3%,87.9±40.6%で4種の食物の平均値は約88%であった.ガム咀嚼において分泌される唾液量を30秒ごとに計測した結果,30-60秒間の分泌量が最大値を示した.5分後には最低値を示し,ガムの味による分泌量は約73%であった.これらの結果から食物咀嚼時に分泌される唾液量は,歯根膜や歯周組織に対する機械的刺激よりは,食物の味によるものが大きいことが示された.
  • 岡本 圭一, 長谷川 信乃, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1993 年 31 巻 1 号 p. 91-101
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本教室で考案した‘Occlusogram’を用い,成長に伴う上下顎対合関係の変化を観察することで,小児歯科臨床における本方法の有用性について検討を行った.
    被験者には個性正常咬合を有する乳歯列期,混合歯列前期,混合歯列後期各14名,永久歯列期15名の計57名を用いて計測した.つまり各歯列期におけるOcclusogramを作成し,距離計測,角度計測,ターミナルプレーン量,オーバージェット,歯列長径・幅径を検討した.
    その結果,OcclusogramによりOCR(Occlusogram Real),OCP(Occlusogram Profile),OCC(Occlusogram Real with Occlusal Contacts)の3種で異なった観察が行え,咬合平面上における上下顎の対合関係の観察が可能となった.歯列群別に成長による歯列および上下顎対合関係の変化を検討した結果,
    1)上下顎とも歯列弓幅径は有意に増大し,歯列の成長に伴い歯列弓長径は減少していた.
    2)上下顎とも切歯点から臼歯点までの距離は歯列の成長に伴い有意に増大していた.
    3)歯列の発達により上顎臼歯点と比較して下顎臼歯点は有意に近心に移動していた.
    4)上顎切歯点を基準として上下顎の犬歯は遠心頬側方向に移動し,上下顎の臼歯点は近心頬側方向に相対的に移動していた.
    以上の結果より,Occlusogramは視覚的ならびに定量的な評価が可能であり,歯科臨床上,特に咬合誘導の診査・診断に有効であることが示唆された.
  • 堀川 容子, 岡本 圭一, 長谷川 信乃, 篠田 圭司, 殿内 真知子, 周 瑞瑛, 松下 繁, 田村 康夫
    1993 年 31 巻 1 号 p. 102-109
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    片側下顎第2乳臼歯の晩期残存により,顎関節症を引き起こしたと考えれた2症例について,晩期残存歯の抜歯のみによる治療および観察を行った結果,症状(顎関節痛,開口障害,顎関節雑音)の消退と同時に歯列および咬合において特徴的変化が観察された.すなわち
    1)正中偏位の改善
    2)上下顎歯列の非対称の改善
    3)左右咬合関係の非対称の改善
    4)上顎歯列弓に対する下顎歯列弓のバランスのとれた位置へのローテーションが認められた.
    以上より乳歯の晩期残存が永久歯の生理的な咬合変化を障害した場合,機能的咬合異常を引き起こし,その結果小児における顎関節症の原因となり得ることが示唆された.
  • 副島 嘉男, 谷口 邦久, 久芳 陽一, 山田 清夫, 本川 渉
    1993 年 31 巻 1 号 p. 110-120
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は,発症率1万分の1以下で10万分の1とも言われている極めて稀な象牙質異形成症(dentin dysplasia)TypeIIの2症例を経験したので,その臨床的口腔内所見について報告した.
    1)患児は10歳6ヵ月と9歳11ヵ月の男児の2名であった.
    2)全身的所見として,症例1では,その発育が2年ほど遅れているようであるが,それ以外には異常は認められない.症例2では特記すべき異常はなかった.
    3)口腔内所見として,2症例ともに肉眼的には異常は認めなかったが,エックス線所見において,全歯牙にわたる歯髄腔の形態異常を認めた.歯髄腔の外形は,歯頸部に於ける根管腔の狭窄,アザミ様の歯髄腔を認めた.また,同歯髄腔内には多数の境界明瞭で粟粒大の円形な不透過像を認めた.大臼歯部においては,歯冠部歯髄腔は著しく歯軸方向に圧偏されており,また根管腔は狭窄像を呈していた.
    以上の所見から,2症例とも,Shieldsらによる象牙質形成異常の分類中における,dentine dysplasia typeIIと診断した.
  • 細矢 由美子
    1993 年 31 巻 1 号 p. 121-129
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Kabuki make-up syndrome (KMS)の女児1例の歯科治療を経験した.
    本症例では,KMSの臨床像の特徴である特異顔貌,低身長,皮膚紋理異常,骨格異常,精神薄弱のすベての所見がみられ,種々な全身的奇形を合併していた.
    歯科所見としては,歯牙先天性欠如(B B,_??__??__??_),すベての乳歯に対するエナメル質減形成,上唇小帯異常,高口蓋がみられた.上顎第2乳臼歯と下顎乳犬歯以外のすベての歯牙では,近遠心的歯冠幅径が小さく,上・下顎ともに歯列弓幅径が小さかった.terminal planeは,両側mesial step typeであり,前歯部及び臼歯部反対咬合と開咬がみられた.
    初診時のdef歯率は27.8であり,乳臼歯部の咬合面もしくは咬合面と頬面がC0-C2の齲蝕に罹患していた.
  • 壺内 智郎, 三浦 容, 上田 茂樹, 松村 誠士, 下野 勉
    1993 年 31 巻 1 号 p. 130-135
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    埋伏歯や過剰歯に関するこれまでの報告では,その発現率,好発部位,歯牙形態などについての報告が多く,その抜去時期や開窓時期について考察した報告は少ない.
    今回,我々は上顎正中埋伏過剰歯および逆性埋伏上顎中切歯を有する症例に遭遇し,正中埋伏過剰歯の抜去時期を考えることで,逆性埋伏上顎中切歯の歯根をほぼ正常な方向に誘導させることができたので報告する.
    1)初診から2年8ヵ月経過観察を行った後,8歳11ヵ月で過剰歯の抜去,埋伏歯の開窓処置を施した.埋伏歯の萌出状態の経過観察を行い,3ヵ月後に牽引処置を開始した.
    2)開窓から1年8ヵ月で,歯根は彎曲することなくほぼ正常な歯軸方向へ形成され,埋伏歯の歯列内への誘導および歯軸の改善が完了したので保定処置に移行した.
    3)現在1年4ヵ月経過したが予後は良好であり,経過観察中である.
  • 石井 史郎, 野田 忠
    1993 年 31 巻 1 号 p. 136-146
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年, 根管治療における機械的根管拡大に超音波が利用されているが, 超音波の応用は根管壁の切削だけではなく根管内の洗浄効果も十分期待できる.特に, 超音波を使用した場合のチップの振動は, 根管内でキャビテーション効果を発揮させるとともに, 洗浄液の環流により, 根管を効果的に清掃することができる.
    そこで著者らは, 治療に対して協力的な患児の乳歯感染根管治療の根管洗浄に超音波振動を用い, その結果得られた臨床的効果について調査を行い, 以下の結論を得た.
    1. 治療開始から根管充填までの治療回数は3回以内であり, 治療回数を少なくするには有効な方法であった.
    2. 歯根吸収状態の変化を見ると, 長期的には特に異常と思われる症例はなかったが, 根管拡大, および超音波洗浄時に根尖を破壊している可能性があり, 作業長の決め方や, 操作法についての注意が示唆された.
    3. 術前に病的骨透過像が根尖部から根分岐部にわたって見られた症例でも, 治癒がみられ, このような症例に対しても超音波による根管洗浄法は有効な治療法であると思われた.
  • 吉田 美香, 鈴木 敦子, 松木 香, 村上 充子, 岸本 佳子, 青野 亘, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1993 年 31 巻 1 号 p. 147-155
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1982年5月から1992年10月までに,外傷により本学小児歯科を受診した患児242名(永久歯186歯,乳歯190歯)について外傷の実態調査を行った.また,受傷後3年以上経過した患児70名(永久歯45歯,乳歯61歯)について,外傷歯の予後診査を行い,以下の調査結果を得た.
    1)小児の外傷は乳歯列期では1歳から2歳,混合歯列期では8歳から10歳の男児に多かった.受傷原因の多くは転倒で,受傷部位は,乳歯,永久歯とも75%以上が上顎中切歯であった.乳歯では陥入などの歯の転位を,そして永久歯では硬組織の破折を伴う外傷が最も多かった.
    2)外傷を受けた乳歯の後継永久歯における後遺症の発生率は約33%で,歯牙破折を伴う乳歯外傷や乳歯の完全脱臼で高率に発生し,この後遺症の発生は,受傷年齢とは相関しないように思われた.
    3)外傷を受けた永久歯における予後不良は約22%で認められ,陥入により整復固定した転位歯や,完全脱臼した再植歯で高率に認められた.
    4)外傷歯の予後診査は,数年以上の長期にわたって,定期的に行う必要がある.
  • 竹澤 友子, 小峰 直行, 吉田 昌弘, 佐々木 雅子, 内村 登, 高森 俊治, 檜垣 旺夫, 渡辺 是久
    1993 年 31 巻 1 号 p. 156-161
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    患者は,3歳5ヵ月男児で上顎右側乳中切歯歯肉の膨隆を主訴に当科を受診した.
    エックス線所見では,乳中切歯の歯頸部から根尖部にかけて栂指頭大の境界明瞭な透過像を認め近心歯槽部には吸収像が認められた.生検によりエナメル上皮線維歯牙腫の確定診断を得,腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見は,歯胚の歯乳頭に類似する細胞成分に富んだ幼若な線維腫性組織内に歯堤上皮を含む歯原性上皮の索状あるいは小塊状の増殖が散在性に観察された.また上皮成分の増殖部に接して象牙質,骨様セメント質あるいはエナメル質に類似する歯原性硬組織の形成が認められた.術後再発はなく予後は良好であった.
  • 1993 年 31 巻 1 号 p. 164-210
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2013/01/18
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