小児歯科学雑誌
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小児の食物咀嚼に関する研究2. 食物を咀嚼したときと噛まずに味わったときに分泌される唾液量の比較
今井 香渡部 茂大西 峰子浅香 めぐみ五十嵐 清治
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キーワード: 食物, 味刺激, 唾液分泌量, 小児
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1993 年 31 巻 1 号 p. 86-90

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抄録
食物咀嚼中に分泌される唾液量のうち,食物の味によるものがどの程度あるかについて検討を行った.健全乳歯列を有する5歳児14名,女児16名を対象とし,食物の一口量,一口量咀嚼時間を各被験者について求めた.そして同じ一口量を通常通り一口量咀嚼時間だけ咀嚼させた場合と,それらを粉砕したものを噛まずによく味わったときに分泌される唾液量を比較した.唾液分泌量は吐き出した食塊から始めの食物の重量を差し引いて求めた.またガム咀嚼によって分泌される唾液量についても経時的に測定を行った.
その結果,クッキー,ライス,リンゴ,タクアンを味わったときに分泌される唾液量は通常通り咀嚼したときに分泌される唾液量のそれぞれ95.1±31.6%,71.2±17.8%,97.0±35.3%,87.9±40.6%で4種の食物の平均値は約88%であった.ガム咀嚼において分泌される唾液量を30秒ごとに計測した結果,30-60秒間の分泌量が最大値を示した.5分後には最低値を示し,ガムの味による分泌量は約73%であった.これらの結果から食物咀嚼時に分泌される唾液量は,歯根膜や歯周組織に対する機械的刺激よりは,食物の味によるものが大きいことが示された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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