1993 年 31 巻 3 号 p. 466-469
萌出途上の幼若永久歯に対する小窩裂溝填塞材料として開発したフッ化カルシウム1%配合リン酸四カルシウムセメントの効果を,臨床実験により検討した.実験群の齲蝕発生率は,6ヵ月後で14%,12ヵ月後で17%,18ヵ月後で28%であった.一方未処置対照群の齲蝕発生率は,6ヵ月後で17%,12ヵ月後で34%,18ヵ月後で41%であり,いずれの観察時期においても実験群の方が齲蝕発生率は低かった.4CPセメントで填塞したことによる齲蝕減少率は6ヵ月後で20%,12ヵ月後で50%,18ヵ月後で33%であった.以上の結果,フッ化カルシウム1%配合リン酸四カルシウムセメントは,レジン系の小窩裂溝填塞材が適用できるまでの間,暫間的に使用する齲蝕予防材料として有効であることが判明した.