小児歯科学雑誌
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漢民族小児の歯科疾患と歯科的特質に関する実態調査-歯列咬合状態
野中 和明大谷 裕子佐々木 康成中田 稔小野 博志石川 雅章神山 紀久男祖父江 鎭雄長坂 信夫小椋 正Hui Deng石 四箴劉 大維Stephen H. Wei斎藤 徹武井 勉天野 秀昭信家 弘士塩野 幸一清水 久喜王 歓張 野薫 建輝胡 徳渝Joseph C. Y. ChanLily S. M. Tong
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1993 年 31 巻 3 号 p. 527-535

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抄録
著者らは,1990年に中国大陸の中でも漢民族によって構成される地域のうち都市部(北京)・農村部(四川省楽山市水口郷村)および香港の三地域で,漢民族小児の口腔疾患実態調査を行った.そして現地調査において得られた歯列咬合状態について分析したところ,次のような結果を得た.
1.歯列空隙に関しては,叢生の割合が楽山においては他の2地域より高かった.また,3歳で高く6歳では減少がみられたが,12歳児・15歳児では増加した.
2.歯の位置異常に関しては,転位が増齢的に増加する傾向にあった.
3.咬合異常に関しては,3歳児・6歳児は過蓋咬合の割合が高く,12歳児・15歳児では上顎前突の割合が高い傾向にあった.
4.咬耗に関しては,3地域の3歳児・6歳児・12歳児・15歳児とも高頻度でみられた.
5.中国人小児の咬合異常としては,過蓋咬合から上顎前突の傾向がみられ,日本人小児の咬合の異常としては,切端咬合から下顎前突の傾向があった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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