小児歯科学雑誌
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中国人小児の歯科疾患と歯科的特質に関する研究
中国人小児の食生活の実態について
天野 秀昭信家 弘士長坂 信夫神山 紀久男小野 博志祖父江 鎭雄中田 稔小椋 正Hui Deng石 四箴劉 大維Stephen H. Y. Wei斉藤 徹石川 雅章武井 勉野中 和明大谷 裕子塩野 幸一清水 久喜王 歓張 野董 建輝胡 徳渝Joseph C. Y. ChanLily S. M. Tong
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1993 年 31 巻 4 号 p. 606-640

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抄録

日本および中国共同の調査団として,1990年に中国人小児の食生活に関するアンケート調査を北京市,四川省楽山市および香港において行い,総計1,051名の回答を得た.
1.北京市および楽山市では3歳群および6歳群の昼の養育は幼稚園等で行う集団保育の傾向が強く,特に北京市では食事を家以外で食べるものが80%以上であった.
2.よく噛んで食べると答えたものは各地域ともに3歳群および6歳群で約70%以上であったが,楽山市では飲み込むまでに噛む回数が少ないものが多い傾向がみられた.
3.歯を磨かないものは,各地域ともに3歳群では60%,6歳群で約40%から50%と多かった.
4.摂取食品は香港でのみ結果が得られた.主食は白飯,麺類および食パンが多く,肉類,卵・乳・豆,野菜および果物は多種のものが食されていた.
5.おやつの回数は北京市および楽山市では0回と1回のものが多く,おやつの時間は楽山市ではほとんど決められていなかった.
6.おやつの内容は,楽山市および北京市のおやつはあまいものが多かった.
7.飲物は北京市でオレンジジュース,コーラ等の市販飲料が低年齢児でも飲まれており,中国の都市部での傾向と思われた.
以上,各地域それぞれの食生活環境が認められたが,各地域ともに口腔衛生環境はあまり良好ではなく,食生活の変化に対応した口腔衛生教育の必要性が認識された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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