小児歯科学雑誌
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乳幼児の摂食機能発達第2報:咬反射,吸啜および咀嚼の筋電図学的検討
尾本 和彦
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1993 年 31 巻 4 号 p. 657-668

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抄録

咀嚼・嚥下に関与する筋活動の発達的特徴を明らかにするために,1名の健常男児の咬反射誘発時,吸啜時,固形食摂取時における咀嚼関連筋の筋電図記録を出生直後より36か月まで縦断的に行ったところ次のような結論が得られた.
咬反射誘発時に咬筋や側頭筋などの閉口筋には一定のリズムで放電が認められたが,舌骨上筋群などの開口筋には放電は認められなかった.しかもこの時下顎は閉鎖されたままの状態であった.また咬反射や吸啜反射が明瞭に認められる4か月頃までは,側頭筋Cycleが測定日によって変動が著しかったが,5か月以降原始反射が消失するにつれて咬反射や吸啜のCycleは安定するようになった.咀嚼が閉始した8か月頃から乳歯列の完成した36か月までの間,咀嚼時の側頭筋Cycleはほとんど変化しなかった.さらに咀嚼時の側頭筋Cycle(621±89msec)は吸啜時の側頭筋Cycle(463±38msec)よりも統計学的に有意に大きかったが,咬反射時の側頭筋Cycle(622±44msec)との間には有意差が認められず,従って咀嚼リズムと咬反射リズムとの間に何らかの関連性があることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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