抄録
今回,著者らはC2を有する乳前歯30本,幼若永久前歯25本の隣接面窩洞に対し,GRAFT LC IIを用いて修復し,臨床的に経過を観察し,以下のような結果を得た.
1.1年経過して辺縁適合性が不良なものは,乳前歯では2例(3.3%),幼若永久前歯では5例(10.0%)であった.
2.1年経過して形態的変化の認められないものは乳歯では28例(93.3%),幼若永久歯では22例(88.0%)であった.
3.修復物の着色・変色はほとんどみられず,着色・変色のみられたものは乳歯,幼若永久歯ともに2例であった.
4.辺縁部の変色は,まったく認められないものが乳歯では27例(90.0%),幼若永久歯では24例(96.0%)であった.
5.二次齲蝕は,乳歯,幼若永久歯ともに修復後3か月より1例みられ,幼若永久歯では1年目にさらに1例認められた.
6.修復時の歯髄反応は認められないものがほとんどで,乳歯において1例(3.3%)歯髄処置を必要とした.
7.1年経過後のリコール時の歯髄反応において何ら異常の認められなかったのは,乳歯では26例(86.7%),幼若永久歯では23例(92.0%)であった.
8.以上の結果を考えあわせ,GRAFT LC IIは小児歯科の日常の臨床における乳歯および幼若永久歯の修復において有効であることが示唆された.