抄録
近年,骨吸収・骨形成に関与する細胞レベルでの検索は目覚ましいものがあり,「細胞培養」の技術向上によるところが大きい.しかしながら顎骨の初代培養による骨芽細胞のcharacterを検索した報告は極めて少ない.著者らは顎骨へのメカニカルストレスの少ない授乳期ラットにおいて,下顎骨由来の骨芽細胞群と頭蓋冠由来の骨芽細胞群を酵素消化法により取り出し,両者のcharacterを比較検討をする目的で,1)ALp染色,2)ALp活性,3)蛋白量,4)蛋白量あたりのALp活性について測定を行い,以下のような結果を得た.
1)ALp染色は,下顎骨由来の骨芽細胞群が頭蓋冠由来の骨芽細胞と比べ,細胞の染色性が高かった.
2)ALp活性は,下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が0.572±0.094nmol/μl頭蓋冠由来の骨芽細胞群の平均値は,0.288±0.044nmol/μlであった.t検定を行ったところ下顎骨由来の骨芽細胞群が,頭蓋冠由来の骨芽細胞群と比べ有意に(p<0.01)高値であった.
3)蛋白最は下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が0.353±0.080μg protein/μl,頭蓋冠由来の骨芽細胞群が0.312±0.040μg protein/μlであった.t検定を行ったところ,下顎骨由来の骨芽細胞群と頭蓋冠由来の骨芽細胞群との間に有意差は認められなかった.
4)蛋白量あたりのALp活性は,下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が1.636±0.140nmol/μg protein,頭蓋冠由来の骨芽細胞群の平均値が0.923±0.080nmol/μg proteinであった.またt検定の結果,下顎骨由来の骨芽細胞群が頭蓋冠由来の骨芽細胞群に比較し,有意に(p<0.01)高値であった.