小児歯科学雑誌
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32 巻 , 1 号
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  • 武田 康男, 竹辺 千恵美, 野中 歩, 福元 直美, 平野 洋子, 堀内 信子
    1994 年 32 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    北九州市立総合療育センターにおける口唇口蓋裂早期指導システムを概説し,出生時家族カウンセリングの重要性に関して説明と考察を行った.また初診時の実態について報告した.
    1)当システムを受診した口唇口蓋裂児は118名で,その中の114名にHotz床を装着した.生後1ヵ月以内に44例(35.1%)が受診している.
    2)受診主訴は「哺乳障害」が最も多く46例,40%近くを占めた.紹介経路では総合病院のNICUや産院が多かった.
    3)出生時の経管栄養経験は全症例の33%にみられた.裂型間には経験の有無の差はなかったが,硬軟口蓋裂が経管使用期間が長かった.
    4)初診時の発育状況をカウプ指数でみると,症例の25.1%がやせすぎであった.
    5)118名中,39名が家族カウンセリングを受けた.カウンセリングは出産日に3例,生後2日目までに16例,10日目までに37例が受けた.参加家族の構成は「両親」16例,「両親と祖父母ほか」13例,「母親のみ」6例であった.
    6)出産直後,ストレスの為に不適応状況にある母親と家族に対してはカウンセリングの方法を適用することが大変重要である.カウンセリング時の家族からの質問内容では,「言語」,「手術」,「Hotz床」に関するものが多く,なかでも「言語」を中心とするこどもの発達が家族の最も高い関心事であった.
    以上の結果から出産直後の家族カウンセリング,多方面にわたる発達評価と治療を中心とした当センターのシステムは口唇口蓋裂児とその母親や家族にたいする早期指導の一つのモデルを提示していると考える.
  • 国松 仁志, 三好 作一郎, 佐藤 敦子, 清水 保
    1994 年 32 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本人は乳歯列の癒合歯が西洋人よりも多いと言われているが有意差検定されたものではない.また癒合歯頻度の少ない西洋では癒合歯は常染色体性優性遺伝するとされている.さらに日本では癒合歯が増加の傾向があるとの報告もある.これらを調査するために,佐世保市の3-6歳児4422名(男子2245:女子2177名)の歯列を観察し,癒合歯のある者124名(男子:66名;女子58名),うち両側性に癒合歯のある者14名(男子:6名;女子8名)を得た.
    これらをDuncan & Helpin ら西洋白人の頻度(0.5%)とX2-検定すると極めて高い有意差が認められた.日本人は西洋人よりも乳歯列癒合歯の頻度が多いといえる.また両側性癒合歯の頻度は日本人は西洋人の16倍もの高い値であった.西洋で一般化されている常染色体性優性遺伝説は確認することが出来なかった.逆に常染色体性劣性遺伝であるような例が多かった.最近20年間に癒合歯が増加傾向にあるとの説も裏付けることが出来なかった.先天的欠如歯を最近は癒合歯の完全形と見なして頻度が増えている場合や,癒合歯を見落としている場合がある.さらに重要なことはわずかな標本集団から母集団平均(日本人の頻度)を推定するにはもっと慎重でなければならないと考える.異常歯列があった場合には家族を調査し,確実な家系図を作るよう提案するものである.
  • 齋藤 高弘, 島村 和宏, 谷津 正則, 藤野 訓正
    1994 年 32 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼児の生活習慣と齲蝕の増齢的変化との関係を知る目的で,奥羽大学附属病院小児歯科外来を受診した2歳から5歳までの4年間連続して観察でき,全乳歯が存在していた小児68名(男児38名,女児30名)を対象とした.齲蝕の診査はほぼ1年毎に定期診的に行い,2歳時と5歳時の齲蝕経験歯数を目的変数とし,説明変数は初診時健康記録から齲蝕罹患に関係があると考えられる20項目を選び,林の数量化理論第I類にて要因分析を行い,以下の結果を得た.
    1)齲蝕罹患状況は,2歳時と比較し,5歳時ではdf者率で27.4%,df歯率で28.1%,dft指数で5.6歯,それぞれ増加していた.
    2)2歳時および5歳時共に偏相関係数が大きかったのは,間飲回数,間食回数,歯みがき回数,出産年齢,授乳方法,兄弟人数,家族構成,保護者の職業,通院時間および主訴などであった.
  • 小方 清和
    1994 年 32 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の生理的歯根吸収に伴う小児の咬合機能変化を明らかにする目的で,Hellmanの歯年齢IIAからIIIBまでの小児を対象とし,下顎第2乳臼歯を規格的に撮影し,X線フィルムから歯根吸収の分類を行った.さらに,歯根吸収段階と歯年齢における下顎第2乳臼歯の咬合力,咬合接触面積,咬合圧ならびに後継永久歯胚までの距離を比較検討した.そして,咬合力と咬合接触面積,咬合力と後継永久歯胚までの距離との関係を求めた結果,以下の結論を得た.
    1)咬合力と咬合接触面積は,いずれも歯根吸収程度の進行および歯年齢の進行に伴い,減少する傾向を示した.
    2)咬合圧は,歯根の約1/2が吸収される段階までの変化は乏しかったが,歯根の約3/4が吸収される段階では減少する傾向を示した.しかし,各歯年齢における咬合圧は,減少する傾向を示さなかった.
    3)下顎第2乳臼歯から後継永久歯胚までの距離は,歯根の約1/4が吸収される頃から著しく減少し,また,各歯年齢ではIIC以降の減少が顕著であった.
    4)下顎第2乳臼歯の咬合力増加に伴い,咬合接触面積および後継永久歯胚までの距離は統計学的に増加することが認められた.以上より,乳歯の生理的歯根吸収の変化は,小児の咬合機能に影響することが示唆された.
  • 井口 享
    1994 年 32 巻 1 号 p. 40-54
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯断髄後の切断部歯髄表層におけるカルシウム沈着の機序を解明するために,断髄処置後の幼犬乳歯の歯髄を組織学的に検討した.断髄後の歯髄を,組織学的特徴により,壊死層,好塩基性層(von Kossa陽性層)および生活歯髄の3層に分類した.
    術後1時間より断髄部表層に壊死層が形成され,微小血栓を伴う血管壊死が認められた.壊死状血管の血管腔には,von Kossa染色により黒褐色を呈する粒子状のカルシウムの出現を認め,これらは1時間30分,3時間,6時間と経時的に血管壁から血管周囲組織へと流出,拡散していた.更に,血管外遠隔基質へとカルシウム沈着は広がり,術後12時間では壊死組織直下に好塩基性層を形成していた.術後7日に好塩基性層直下の生活歯髄浅層に線維化が生じ,術後10日から14日においては骨様象牙質が線維組織内に形成され,これらは成長し,術後21日から28日に象牙質橋が形成された.以上より,断髄後のカルシウム沈着の機序は,断髄処置による血管壊死およびこれにより生じた微小血栓による血流のうっ滞による血管透過性の上昇により,血清中のカルシウムの血管外流出と拡散が起こり,これにより好塩基性層が形成されるものと推察された.
  • 西田 郁子, 牧 憲司, 森本 彰子, 橋本 敏昭, 今村 隆子, 児玉 昭資, 赤嶺 秀紀, 名越 恭子, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,著者らは咬合面にC2を有する乳臼歯25本,幼若永久臼歯25本に対し,GRAFT LC IIを用いて修復し,1年間の臨床経過を観察した.
    1.修復後1週目より辺縁の不快症状はみられたが,1年経過して辺縁適合性に何ら異常のみられないものは乳臼歯で21例,幼若永久臼歯で23例あった.
    2.乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復1週目より修復時と比べ形態変化,破損している部分がみられた.1年経過して何ら異常の認められないものはどちらも21例であった.
    3.修復物の着色,変色に関しては1年経過して何ら異常の認められなかったものはどちらも24例であった.
    4.辺縁部の変色は,乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復後6ヵ月目よりみられた.1年経過して変色が認められなかったのは乳臼歯で24例,幼若永久臼歯で22例であった.
    5.二次齲蝕は,乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復後3ヵ月目よりみられ,1年経過後何ら異常のなかったものは21例であった.
    6.修復時歯髄反応を示したものは乳臼歯,幼若永久臼歯ともにみられなかった.7.1年経過してリコール時に何ら異常のみられないものは乳臼歯で23例,幼若永久臼歯で24例であった.乳臼歯では修復後1年目,幼若永久歯では3ヵ月後に歯髄処置が必要なものが1例つつみられた.
    以上の結果より,光重合型複合レジンGRAFT LC IIは,乳臼歯および幼若永久臼歯の1級窩洞の修復に有効であることが示唆された.
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1994 年 32 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    照明光照度が非接触型望遠型分光光度計の測色値に及ぼす影響について観察する事を目的に本研究を行った.
    測色計は,日立製作所製色彩分析装置C-1020を用いた.測色は,自然光を遮蔽したコンパクトルーム内で行った.部屋の照明には,東芝ライテック社製D65蛍光ランプを用い,さらにD65キセノンランプであるSeric社製人工太陽照明灯Solax XC-100をspot lightとして用いた.標準白色板を用い,spot light使用の有無別にC-1020の望遠レンズのコンバータが1機の場合と,小範囲の測色を可能とする為にコンバータを2機用いた場合について,分光反射率と測色値の比較を行った.さらに,spot light使用の有無別にコンバータ1機と2機の両条件下において,24歳女性の頬部皮膚色の測色を行うと共に,コンバータ2機の条件下で,下唇色と歯肉色の測色を行い,分光反射率と測色値の比較を行った.
    観察の結果,下記の結論を得た.
    1)照明光の照度変動が立体角分光反射率に及ぼす影響は大きく,照度変動により測色演算結果は大きく変化した.
    2)非接触型望遠型分光光度計を用いた場合の測色値は,照明光照度,spot light併用の有無,望遠レンズのコンバータの数並びに測色面積による影響を受けていた.
  • 葛 立宏, 石 廣香, 牧 憲司, 大里 泰照, 聾 瑞泰, 加来 昭典, 今村 隆子, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本論文は,学童期小児における下顎底部皮質骨の成長発育過程の流れを民族・食生活・風土の異なる日本・中国の2国間で比較検討する目的で,九州歯科大学附属病院小児歯科外来と北京医科大学口腔医学院小児牙科外来を受診した正常咬合を有する9歳児から12歳児までの小児80名を対象に,パノラマエックス線写真上で下顎底部皮質骨の計測を行い,拡大率に従い,補正後次のような結果を得た.
    1.下顎底部皮質骨の厚さの平均値は日本人小児では,9歳2.24±0.19mm,10歳2.30±0.41mm,11歳2.41±0.32mm,12歳2.51±0.47mm,中国人小児は,9歳2.67±0.21mm,10歳2.90±0.29mm,11歳2.90±0.33mm.,12歳2.98±0.30mmであった.男女別にみた下顎底部皮質骨の厚さの平均値は,日本人小児では,男児9歳2.26±0.15mm,10歳2.10±0.26mm,11歳2.44±0.41mm,12歳2.51±0.57mm,女児9歳2.21±0.24mm,10歳2.50±0.45mm,11歳2.38±0.26mm,12歳2.50±0.41mm,中国人小児では,男児9歳2.75±0.22mm,10歳2.84±0.34mm,11歳2.96±0.44mm,12歳2.75±0.14mm,女児9歳2.59±0.18mm,10歳2.95±0.25mm,11歳2.84±0.20mm,12歳3.22±0.21mmであった.左右別の下顎底部皮質骨の厚さの平均値は,日本人小児では,左側9歳2.19±0.18mm,10歳2.28±0.36mm,11歳2.50±0.26mm,12歳2.53±0.45mm,右側9歳2.28±0.31mm,10歳2.32±0.54mm,11歳2.32±0.46mm,12歳2.49±0.59mm,中国人小児では,左側9歳2.56±0.32mm,10歳2.76±0.32mm,11歳2.86±0.44mm,12歳2.96±0.37mm,右側9歳2.78±0.36mm,10歳3.03±0.30mm,11歳2.94±0.42mm,12歳3.00±0.36mmであった.
    2.t検定の結果,男女間の下顎底部皮質骨の厚さは,日本人小児では,9歳から12歳まで有意差は認められなかったが,中国人小児の12歳で,女児が男児に有意に高値を示した.年齢間では日本人小児では9歳から12歳いずれの年齢間でも有意差は認められなかった.中国人小児では,9歳・12歳間において年齢の高い後者が前者に対し有意に高値であった.左右間の有意差は,両国小児のいずれの年齢でも有意差は認められなかった.
    3.両国間の下顎底部皮質骨の厚さのt検定の結果,中国人小児が日本人小児比べて9歳,10歳,11歳(p<0.01),12歳(p<0.05)と有意に高値であった.
  • 新谷 誠康, 木下 昭弘, 木下 弥生, 大西 智之, 楽木 正実, 祖父江 鎭雄, 宇根 成実
    1994 年 32 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    イヌ歯髄に直接覆髄すると修復象牙質の形成を促す作用のあるリン酸四カルシウム-クエン酸セメント(4CPC) ,その主たる構成成分であるリン酸四カルシウム(4CP)およびハイドロキシアパタイト(HAP)をイヌ歯髄細胞と共に3日,7日,10日間培養し,そのアルカリホスファターゼ(ALPase)活性,DNA合成およびタンパク合成におよぼす影響について検討した.それらの結果,3群ともにALPase活性およびタンパク合成は細胞のみを培養した対照群より有意に高い値を示し,DNA合成は有意に低い値を示した.特に,10日間培養した場合,4CP群のALPase活性は対照群の9.4倍に,4CPC群は4.6倍に,HAP群は4.5倍に達した.
    以上の結果から,4CP,4CPCおよびHAPには象牙芽細胞の分化を促す作用があり,その作用は4CPにおいて最も強いものと思われた.また,4CPCを直接覆髄した場合に認められる修復象牙質の形成は,おもに4CPの作用であると推察された.さらに,本実験系は,イヌ歯髄に4CPCを直接覆髄したin vivoの実験結果を反映しており,薬剤が歯髄に与える影響をスクリーニングするための非常に有用な実験系であることが明らかになった.
  • 勝又 由紀, 斉藤 徹, 山田 恵子, 神山 紀久男
    1994 年 32 巻 1 号 p. 89-99
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和57年4月から昭和63年3月までの6年間に東北大学歯学部付属病院小児歯科を受診した患児を対象とし,上下顎D,Eの低位について調査した.被検者数は男児449名,女児476名,計925名であった.低位の判定には隣在歯を基準とする方法を用い,石膏模型上でDE間,E6間で辺縁隆線の高さが隣在歯より1mm以上低くなっている歯を低位乳臼歯とした.低位歯保有者率は14.5%であり,男女差はなかった.年齢別にみて発現頻度が高いのは6-8歳であった.個別の低位保有歯数では1歯のものが最も多く,最高歯数は6歯であった.低位歯は上顎よりも下顎に多く,EよりもDに多く認められた.下顎では男児は左右差を認めなかったが,女児では左側がやや多かった.低位歯を2歯以上保有する場合,両側性が88.7%を占め,このうち左右対称性が65.5%であった.低位発見時の発現歯の状況としては乳歯冠による修復が43.5%と著しく多く,このうち45.5%には歯髄処置がなされていたが,特に断髄が多かった.また,低位が顕著な症例,男児13名14歯,女児5名5歯について,当該歯とその周囲歯の位置的関係を三豊社製三次元計測機MXF 203 MICROPAK 550Kを用いて測定し,その経時的変化を調査した.低位が最も重症なものでは4.44mmの高低差が認められた.低位歯の隣在歯間距離の減少は1-2mmが56.3%と最も多かった.低位が顕著な症例では歯髄処置や乳歯冠での修復処置が施されているものが多かった.
  • 丹羽 弥奈
    1994 年 32 巻 1 号 p. 100-109
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    マイクロサンプリング法を応用して,抜去歯による上顎第一大臼歯20歯のエナメル質表層フッ素(F)濃度,酸溶解性,Ca/P(重量比)につき,頬・舌側面近遠心部の4部位に対し,0.8-20μmの深さにおいて測定し,次の結果を得た.1)エナメル質表層F濃度は,各深さ共に頬側面遠心部が最も高く舌側面近心部が最も低くかった(p<0.05).2)酸溶解性は,深さを増すにしたがい,増加する傾向にあった.3)エナメル質表層F濃度が高いほど酸溶解性が低い傾向にあった.4)各部位の4層におけるCa/Pの平均値は2.02-2.13と,ほぼ一定の値を示した.5)脱灰の深さは,4層までの平均値で約20μmであった.また,CD(Ca溶出量から算出した値)とOD(SEM像から算出した値)との間に有意な相関を認めた(p<0.01).以上のことより,上顎第一大臼歯のエナメル質表層F濃度は歯面部位別な濃度差の存在が認められた.このことは,唾液の流れ,wear(すりへり),プラークの存在など,萌出後の影響が多大に関与していることが示唆された.
  • 丹羽 弥奈
    1994 年 32 巻 1 号 p. 110-119
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成人男子20名の口腔内診査と唾液中F濃度の測定と共に,口腔内に存在している上顎第一大臼歯を対象に,マイクロサンプリング法を用いて同一時期に形成されたと思われる頬・舌側面近遠心部4部位のフッ素(F)濃度,酸溶解性,Ca/P(重量比)について検索し,次の結果を得た.
    1)実験対象者である成人男子20名の口腔内は,DMF歯率9.77%,DMF歯面率23.30%,PI19.50%であった.
    2)耳下腺唾液中のF濃度は0.008±0.002ppmであった.
    3)口腔内上顎第一大臼歯におけるエナメル質表層F濃度は,抜去歯と同様,各深さ共に,頬側面遠心部が最も高く,舌側面近心部が最も低かった.
    4)口腔内歯と抜去歯のエナメル質表層F濃度を比較すると,エナメル質表面より内層に向かうにつれて口腔内歯のF濃度の方が高かった.
    5)抜去歯,および口腔内歯共に,エナメル質表層F濃度が高いほど,酸溶解性が低い傾向にあった.
    6)各部位の4層におけるCa/Pの平均値は1.89-1.96とほぼ一定の値を示したが,抜去歯よりも口腔内歯の方が低い傾向にあった.
  • 草野 幸子, 西田 郁子, 牧 憲司, 襲 瑞泰, 石井 克旺, 大里 泰照, 吉永 久秋, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 1 号 p. 120-128
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児は成長発育期で,健康を維持するため食生活は重要な要因である.近年,加工食品を中心とした外食産業に依存する割合が多く,骨組織形成にも影響を及ぼすと考えられている.そこで,今回著者らは外食産業による試料からその栄養価を測定し,主として骨組織に関連する無機質について検討を行い,次のような結論を得た.
    1)カルシウム,マグネシウム,鉄などの含有量が少なく,特にカルシウムは所要量の1/3-1/4しか含まれないものもあった.マグネシウムも所要量の1/4しか含まれないものもあり,これを一食として食べる時にはカルシウム,マグネシウム,鉄などは非常に不足する.一食として考えることはできず,軽食としてしか考えられない.
    2)カルシウム,リンの割合をみると,ばらつきが非常に大きく,カルシウムの4-6倍のリンが含まれるものもあった.カルシウムとマグネシウムの割合についても,献立によりばらつきが非常に大きかった.
    3)鉄はいずれの場合も不足しがちであった.
    4)微量元素の亜鉛,銅,マンガンについては,亜鉛,銅が不足しがちであったが,マンガンはほぼ適正摂取量に近い量が摂取されていた.
  • 牧 憲司, 葛 立宏, 木村 京子, 大里 泰照, 石井 克旺, 鶴田 靖, 児玉 昭資, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,骨吸収・骨形成に関与する細胞レベルでの検索は目覚ましいものがあり,「細胞培養」の技術向上によるところが大きい.しかしながら顎骨の初代培養による骨芽細胞のcharacterを検索した報告は極めて少ない.著者らは顎骨へのメカニカルストレスの少ない授乳期ラットにおいて,下顎骨由来の骨芽細胞群と頭蓋冠由来の骨芽細胞群を酵素消化法により取り出し,両者のcharacterを比較検討をする目的で,1)ALp染色,2)ALp活性,3)蛋白量,4)蛋白量あたりのALp活性について測定を行い,以下のような結果を得た.
    1)ALp染色は,下顎骨由来の骨芽細胞群が頭蓋冠由来の骨芽細胞と比べ,細胞の染色性が高かった.
    2)ALp活性は,下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が0.572±0.094nmol/μl頭蓋冠由来の骨芽細胞群の平均値は,0.288±0.044nmol/μlであった.t検定を行ったところ下顎骨由来の骨芽細胞群が,頭蓋冠由来の骨芽細胞群と比べ有意に(p<0.01)高値であった.
    3)蛋白最は下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が0.353±0.080μg protein/μl,頭蓋冠由来の骨芽細胞群が0.312±0.040μg protein/μlであった.t検定を行ったところ,下顎骨由来の骨芽細胞群と頭蓋冠由来の骨芽細胞群との間に有意差は認められなかった.
    4)蛋白量あたりのALp活性は,下顎骨由来の骨芽細胞群の平均値が1.636±0.140nmol/μg protein,頭蓋冠由来の骨芽細胞群の平均値が0.923±0.080nmol/μg proteinであった.またt検定の結果,下顎骨由来の骨芽細胞群が頭蓋冠由来の骨芽細胞群に比較し,有意に(p<0.01)高値であった.
  • 岩崎 智憲
    1994 年 32 巻 1 号 p. 135-161
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    叢生者の咀嚼機能の発育様相を明らかにする目的で,経年的に得られた咀嚼筋筋電図を用いて正常歯列者群と叢生歯列者群の比較を行った.
    叢生歯列者群の筋電図積分値は,側頭筋優位から咬筋優位になるのが正常歯列老群より遅れた.
    叢生歯列者群の咀嚼リズムの長さは歯牙年齢の進行に伴い短縮傾向を示したが,正常歯列者群より長かった.また,叢生歯列者群は歯牙年齢の進行に伴い咀嚼リズムは安定してきたが,正常歯列者群より不安定だった.
    叢生歯列者群のsilent period出現頻度は,IVAで90%に達せず,正常歯列者群より低かった.また,叢生歯列者群のsilent period durationは歯牙年齢の進行に伴い短縮したが,正常歯列者群よりIIA-IIIB間で長かった.
    以上のことから,叢生歯列者の咀嚼機能の発育様相は正常歯列者と同様の様相を示すものの,正常歯列者より遅延する事が示唆された.
  • 野中 和明, 立川 義博, 佐々木 康成, 松本 敏秀, 柳田 憲一, 山崎 要一, 中田 稔
    1994 年 32 巻 1 号 p. 162-169
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Treacher Collins Syndromeは,頬骨・下顎骨の形成不全と耳介・外耳道などの形成不全および聴力障害を主症状とする常染色体優性遺伝疾患である.その成因は第一および第二鰓弓の発達障害によるもので,その異常が顎頭面領域に多く生じることで,歯科学的にも注目すべき先天性異常の1つである.今回我々が遭遇した初診時3歳の男児では,以下のような興味深い所見が認められた.
    1)逆蒙古様眼裂および下眼瞼の欠損.
    2)耳介・外耳道低形成および伝音性難聴.
    3)下顎骨の矮小化および鳥貌.
    4)高・狭口蓋および巨口症.
    5)ランパントカリエスおよび嚥下障害.
    6)精神発達遅滞があり,外来通院での歯科治療を遂行するに十分な協力状態を得ることができず,全身麻酔下での齲蝕治療を行った.
  • 三澤 正平, 富沢 美恵子, 野田 忠, 鈴木 誠
    1994 年 32 巻 1 号 p. 170-177
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来において,昭和54年9月から平成4年8月までの13年間に経験した乳歯列期のエプーリス11症例について臨床病理学的観察を行った.
    1.患児の年齢は,生後9ヵ月から5歳7ヵ月までであり,性別では,男児5例,女児6例であった.
    2.主訴は,歯肉の腫瘤を訴えるものが多かった.
    3.腫瘤発見から来院までの期間は,1年以内が多かった.
    4.発生部位は,上顎8例,下顎3例で,上下顎ともに乳切歯部であった.唇舌的にみると,唇側に6例,口蓋側に3例,唇舌両側にわたるもの2例であった.
    5.腫瘤の大きさは,すべて1cm未満であった.
    6.病理組織学的には,肉芽腫性エプーリス2例,線維性エプーリス6例,骨形成性エプーリス1例,先天性の2例は平滑筋腫性過誤腫であった.
  • 堀川 容子, 谷川 良謙, 棚瀬 精三, 越智 雅子, 加納 章夫, 田村 康夫
    1994 年 32 巻 1 号 p. 178-184
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した4歳4ヵ月の栄養障害型先天性表皮水疱症小児に対し歯科的検討を行った結果,次のような知見を認めた.
    1)口腔内診査およびエックス線所見から,乳歯は〓,永久歯は〓の合わせて15歯の先天性欠如.
    2)上顎左側乳犬歯,第一,第二乳臼歯および上顎右側第二乳臼歯の4歯に萌出遅延.
    3)萌出乳歯の形態異常とエナメル質の形成不全があること.
    4)乳前歯歯冠幅径は左側が小さく,左右差.
    5)顎顔面の左右非対称と劣成長.
    6)全身的な劣成長.
  • 朝隈 恭子, 塩野 幸一, 豊島 正三郎, 井上 浩一郎, 小椋 正, 坪水 良平
    1994 年 32 巻 1 号 p. 185-192
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    若年者の前歯部逆被蓋において,下顎前歯の唇側転位に咬合性外傷を伴い,11の歯肉退縮および動揺が認められた2症例について,被蓋を改善したところ,歯肉退縮が回復し動揺が消失した.
    そこで,これらの症例の臨床所見および治療経過を述べるとともに,若年者という時期に,前歯部逆被蓋を改善することによる,歯周組織の健康の回復・維持との関連性について検討した.その結果,前歯部逆被蓋に伴う歯肉退縮を回復するためには,矯正治療により下顎前歯を舌側傾斜することで,歯槽骨の厚みを確保し,付着歯肉の再生を計ると同時に,退縮部に十分なプラークコントロールを行うことが必須であると考えられた.このことは,成人にはない,若年者特有の発育という回復力を生かすことになり,さらに,生涯における,咬合の正常性の維持と歯周組織の健全性の維持につながると考えられた.
  • 1994 年 32 巻 1 号 p. 193-248
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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