小児歯科学雑誌
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Treacher Collins Syndromeの患児の歯科治療と歯科的所見
野中 和明立川 義博佐々木 康成松本 敏秀柳田 憲一山崎 要一中田 稔
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1994 年 32 巻 1 号 p. 162-169

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抄録

Treacher Collins Syndromeは,頬骨・下顎骨の形成不全と耳介・外耳道などの形成不全および聴力障害を主症状とする常染色体優性遺伝疾患である.その成因は第一および第二鰓弓の発達障害によるもので,その異常が顎頭面領域に多く生じることで,歯科学的にも注目すべき先天性異常の1つである.今回我々が遭遇した初診時3歳の男児では,以下のような興味深い所見が認められた.
1)逆蒙古様眼裂および下眼瞼の欠損.
2)耳介・外耳道低形成および伝音性難聴.
3)下顎骨の矮小化および鳥貌.
4)高・狭口蓋および巨口症.
5)ランパントカリエスおよび嚥下障害.
6)精神発達遅滞があり,外来通院での歯科治療を遂行するに十分な協力状態を得ることができず,全身麻酔下での齲蝕治療を行った.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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