小児歯科学雑誌
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光重合型コンポジットレジンGRAFT LC IIの臨床的評価(第3報)
西田 郁子牧 憲司森本 彰子橋本 敏昭今村 隆子児玉 昭資赤嶺 秀紀名越 恭子木村 光孝
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1994 年 32 巻 1 号 p. 55-64

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抄録
今回,著者らは咬合面にC2を有する乳臼歯25本,幼若永久臼歯25本に対し,GRAFT LC IIを用いて修復し,1年間の臨床経過を観察した.
1.修復後1週目より辺縁の不快症状はみられたが,1年経過して辺縁適合性に何ら異常のみられないものは乳臼歯で21例,幼若永久臼歯で23例あった.
2.乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復1週目より修復時と比べ形態変化,破損している部分がみられた.1年経過して何ら異常の認められないものはどちらも21例であった.
3.修復物の着色,変色に関しては1年経過して何ら異常の認められなかったものはどちらも24例であった.
4.辺縁部の変色は,乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復後6ヵ月目よりみられた.1年経過して変色が認められなかったのは乳臼歯で24例,幼若永久臼歯で22例であった.
5.二次齲蝕は,乳臼歯,幼若永久臼歯ともに修復後3ヵ月目よりみられ,1年経過後何ら異常のなかったものは21例であった.
6.修復時歯髄反応を示したものは乳臼歯,幼若永久臼歯ともにみられなかった.7.1年経過してリコール時に何ら異常のみられないものは乳臼歯で23例,幼若永久臼歯で24例であった.乳臼歯では修復後1年目,幼若永久歯では3ヵ月後に歯髄処置が必要なものが1例つつみられた.
以上の結果より,光重合型複合レジンGRAFT LC IIは,乳臼歯および幼若永久臼歯の1級窩洞の修復に有効であることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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