小児歯科学雑誌
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鎖骨頭蓋異骨症の1例
船越 禧征鈴木 聡子満木 志おり嘉藤 幹夫大東 道治
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1994 年 32 巻 3 号 p. 580-586

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抄録

鎖骨頭蓋異骨症は鎖骨の欠損または形成不全,頭蓋骨の骨化遅延,歯および顎骨の発育障害を特徴とする先天性骨系統疾患である.口腔領域の異常として乳歯の晩期残存,永久歯の萌出遅延ないし埋伏,埋伏過剰歯の存在などがみられる.今回,6歳10ヵ月,女児の鎖骨頭蓋異骨症の症例を経験し,次の所見をえた.
1.大泉門の閉鎖不全と後頭部の縫合近くにウオルム間捜骨がみられた.
2.鎖骨はX線上,痕跡程度に認められ,骨盤は恥骨結合の著しい離開がみられた.また手根骨は第1,第2,第3中手骨に偽骨端核がみられた.骨年齢の遅れは認められなかった.
3.パノラマX線写真でみると乳歯の歯根吸収はほとんど観察されなかった.また乳中切歯の晩期残存,上下顎第1大臼歯の萌出遅延などがみられたが,埋伏過剰歯は認められなかった.永久歯の発育年齢は2年程度遅れていた.
4.歯の形態,数,大きさの異常は認められなかった.永久歯の石灰化度および萌出に関しては,かなり遅れがみられた.
5.模型分析では上下顎とも歯列弓の狭窄がみられた.
6.頭部X線規格写真の角度分析および距離分析の結果から上顎前歯の唇側傾斜と下顎前歯の舌側傾斜が観察された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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