抄録
福岡一歯科大学付属病院小児歯科外来において経験した,男児10名,女児17名,計27名における埋伏歯の牽引症例について,埋伏歯の原因,状態,処置経過などの集計をおこなった.処置歯は,乳歯3歯,永久歯29歯,合計32歯である.処置部位として一番多かったのが上顎中切歯で14例,次が上顎犬歯の10例であった.埋伏歯の原因は不明のものが22例で,そのうち19歯は萌出方向が異常であった.上顎埋伏中切歯における傾斜角度は,90°以上のものが4歯認められたが,すべて順調な誘導経過をたどっている.
この結果より,摘出すべき範囲であるとされている90° 以上の傾斜角度をもつ埋伏歯であったとしても牽引誘導を積極的におこなってみる必要があるのではないかと考えられた.処置開始時の歯根の完成度であるが2歯のみ歯根が完成しており,その他は全て未完成であった.処置開始年齢は上顎中切歯は平均8歳6ヵ月,上顎犬歯は平均10歳10ヵ月であった.誘導期間は上顎中切歯が平均14ヵ月,上顎犬歯が平均17ヵ月であった.誘導期間は,症例により埋伏状態やその周囲の状態が異なっているため,差が認められたと考えられる.誘導終了後の観察期間であるが,患児が予後観察に対して協力的か否かでその期間がまちまちであった.処置歯を観察する重要性を保護者に機会があるごとに何度となく説明しておくことが必要だと考えられた.