小児歯科学雑誌
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歯冠部硬組織の成熟度に関する臨床的研究
牧 憲司葛立 宏児玉 昭資古谷 充朗今村 隆子野沢 典央木村 光孝
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1994 年 32 巻 4 号 p. 847-852

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抄録
著者らは歯冠部硬組織の萌出後の成熟について検索するために九州歯科大学付属病院小児歯科外来を受診した6歳児,10歳児,13歳児の計42名を対象に下顎第一大臼歯の口内撮影法を行い,得られたデンタルフィルムから,photodensitometry法により歯冠部硬組織の石灰化度をAl当量に換算し次の結果を得た.
1)歯冠部硬組織の石灰化度の平均値は男児で6歳4.02±0.38mmAl,10歳4.92±0.51mmAl,13歳5.73±0.76mmAl,女児は6歳4.18±0.41mmAl,10歳5.08±0.49mmAl,13歳5.67±0.57mmAlであった.
2)男女間の歯冠部硬組織の石灰化度についてt検定を行ったところいずれの年齢でも有意差は認められなかった.年齢間についてt検定を行ったところ,6・10歳,6・13歳では後者が前者に対し有意に高値(p<0.01)であった.10・13歳間においても年齢の高い後者が前者に対し有意に高健(p<0.05)であった.
3)年齢と歯冠部硬組織の石灰化度の相関係数r=0.712であった.回帰直線式は,年齢をX軸にとり,歯冠部硬組織の石灰化度をY軸にとるとY=0.26X+2.55であった.
4)測定の再現性について基礎的検討事項として6歳インド人小児頭蓋骨を使用しi)焦点,被写体ならびにフィルムの位置づけによる歯冠部硬組織の石灰化度のばらつきii)エックス線照射線量の変化による歯冠部硬組織のばらつきについて変動係数を求めたところ,i)に関して3.04%,ii)に関しては3.25%と測定値のばらつきの少ないことが確認できた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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