小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
小児の歯肉形態に関する研究-乳歯列期から混合歯列期における歯肉・歯槽形態の変化
高橋 真朗
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 32 巻 5 号 p. 1015-1041

詳細
抄録

乳歯列期及び混合歯列期における小児の辺縁歯肉から付着歯肉にかけての形状変化を解明するために模型計測を行った.対象は歯年齢IIA期の小児50名とし,同一小児のIIIA期歯列石膏模型と比較検討した.計測にあたっては三次元計測機,X-Yプロッターを用いた.また計測部位は,上下顎左側各歯の近・遠心隅角部,歯頸最下点部ならびに歯間乳頭部とし,それぞれの辺縁歯肉の位置,辺縁歯肉最大豊隆部,辺縁歯肉陥凹点,歯間溝の状態,さらに第2乳臼歯歯頸最下点部から2mm,4mm,6mm,8mm,10mm下方における水平断面を計測項目とした.
1)辺縁歯肉の位置は歯頸最下点部で低位を,また歯間乳頭部で高位を示し,各歯種の近・遠心隅角部においても位置の違いが観察された.
2)辺縁歯肉最大豊隆部は各歯種の遠心隅角部で大きく,歯頸最下点部で小さい傾向にあった.また,歯年齢の変化により豊隆部の垂直的変化も観察された.
3)歯肉陥凹点は明瞭に観察される症例と不明瞭な症例とがみられ,歯種では切歯部に比較して,臼歯部において明瞭であった.また,陥凹点の垂直的な位置変化も観察された.
4)辺縁歯肉の縦の陥凹は霊長空隙のみられる部位において著明に観察された.
5)水平断面の観察では歯年齢の変化により歯槽の切歯部での吸収が,臼歯部での膨隆が観察された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top