抄録
Bloch-Sulzberger Syndromeは,全身および口腔内にさまざまの異常をきたす先天性異常のひとつであり,特有の皮膚症状の変化を呈することから,色素失調症(incontinentiapigmenti)とも呼ばれている. 家族内発症の症例が多く,また男児より女児に圧倒的に多く発症することなどから,X連鎖性優性遺伝形式であると言われている. 稀な症候群であるが,歯の萌出遅延や先天性欠如などが報告されていることから,歯科学的にも注目すべき遺伝性疾患の一つである. 今回我々が3歳時から12歳時まで経年的に経過観察した女児では,以下のような興味深い所見が認められた.
1)顔面,上腕および舌尖部における褐色の色素斑
2)頭頂部の円形様脱毛症
3)弱視傾向.