小児歯科学雑誌
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外傷後に歯根嚢胞を発症した幼若永久歯に対して意図的再植術を行った一症例
新谷 誠康金本 優香大嶋 隆祖父江 鎭雄
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1995 年 33 巻 1 号 p. 163-168

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抄録
外傷後の幼若永久歯に発症した歯根嚢胞に対して,意図的再植術を応用した.
患歯の下顎右側中切歯をできる限り歯根膜を傷つけないように注意深く抜歯し,嚢胞上皮を掻爬・摘出した. 同時に,抜去歯根管内を生理食塩水で洗浄後に水酸化カルシウム配合製剤による根管充填を行った. 根管充填後,歯を抜歯窩に挿入し,角型アーチワイヤーと光重合型コンポジットレジンを用いて暫間固定した. 固定装置は2週間後に除去し,その経過を観察した.
術後9か月を経過したが,臨床的にもX線的にも異常な所見は認められない. 現在,再植歯根尖部には硬組織による閉鎖(アピカルブリッジ:apical bridge)を認め,根尖部のX線透過像も消失して良好な経過をたどっている.
以上の結果は,根尖病巣を伴った幼若永久歯の治療法としての意図的再植術の有効性を示唆している.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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