小児歯科学雑誌
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第1第2鰓弓症候群1症例の形態おび機能的所見
三輪 全三引田 香苗榎本 万里子斎藤 亮飯島 英世小野 芳明小野 博志
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1995 年 33 巻 5 号 p. 1131-1138

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抄録
第1第2鰓弓症候群は,広義には胎生期に同部位に由来して発生する器官,組織の奇形を有する先天性疾患の総称であるが,これに含まれるTreacher Collins症候群やGoldenhar症候群などの類似疾患とは臨床像が若干異なることから,狭義の第1第2鰓弓症候群としても取り扱われる.今回,著者らは東京医科歯科大学歯学部付属病院小児歯科外来を訪れた,同症例と診断されている7歳1か月女児の顎顔面の形態および機能について調べた結果以下の所見を得た.
1)顎顔面形態の左右非対称
2)下顎骨低形成による過蓋咬合と遠心位咬合(鳥貌)
3)左側外耳道閉鎖と耳介奇形,副耳,伝音性難聴
4)エックス線写真上での左下顎枝の完全欠如と咀嚼筋群の一部欠如
5)左側咀嚼筋(側頭筋および咬筋)筋電図の不活動性と不規則性
6)顎運動路の左側への牽引と大きな後退量
今後の治療として患側(左)の顎関節と下顎枝の再建,咬合の再構築などを患児の成長発育や心理面を考慮し,他科との連係で適時に行なう必要がある.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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