小児歯科学雑誌
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小児歯科診療におけるDiazepam経口投与鎮静法の応用
柳瀬 博福田 理荻田 修二河田 典雄近藤 義郎黒須 一夫
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1995 年 33 巻 5 号 p. 867-875

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抄録
不安感や恐怖心の強い小児に対するdiazepam0.3mg/kgの経口投与鎮静法の効果について検討した. すなわち予備研究では,健康成人男子9名を対象に血中diazepam濃度推移ならびに注射刺激に対するカテコールアミン濃度の変化について検討した. 臨床研究では,2~8歳の歯科治療に対し,不安感や緊張感が強かったり,不適応行動を示す健常児25名を対象に小児歯科における経口投与鎮静法の臨床的有効性について検討した.
その結果,
1.diazepamの平均血中濃度は投与60分後に403.6ng/mlと最も高い値を示していた.
2.血中CAの変動ではNAとADで未投与時では基準値に対し,増加を示すのに対し,投与60,90分後ではNAは全過程通じて基準値との間に差は認められず,ADではほとんど全ての過程で低い値を示していた.
3.行動評価得点ではdiazepam応用時は偽薬応用群,未投与群に比べ,有意に低い得点を示し,場面別の有効率では,diazepam応用群では「浸麻時」を除く全ての場面で60%以上の有効率を示すのに対し,偽薬応用群では全ての場面で20%以下の低い有効率を示していた.
4.臨床的有用性において未投与時の行動が評価IIの患児は真薬群77.7%の有用率に対し,偽薬群では22.2%を示し,両群間に有意差が認められた. また評価IIIまたはIVの患児は真薬群43.8%の有用率に対し,偽薬群で0%を示し,両群間に有意差が認められた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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