抄録
Unfilled SealantとFilled Sealantおよびコンポジットレジンに付属した2種類のいわゆる親水性ボンディング材を用いて,ヒト抜去小臼歯咬合面をリン酸エッチング後,ボンディング材を併用してフィッシャーシーラントを〓塞した.500回のサーマルサイクリングテスト後,被験歯を切断して色素浸透試験を行った.切片で,シーラント・エナメル質界面に色素が認められる部位をギャップが発生していると判断して,発生部位およびその頻度を調査した.
その結果,ボンディング材を使用しない場合は,Filled Sealantに比較してUnfilled Sealantのほうがギャップの発生が多く,接着性が劣っていた.しかしながら,ボンディング材を併用するとシーラント・ボンディング材の組み合わせにかかわらずほぼ同様の結果で,接着性の改善が認められた.ただし,裂溝底部の接着についてはボンディング材によって改善はみられたが,辺縁部や平滑部に比較して相対的にギャップの発生を多く認めた.接着性向上の原因としては,ボンディング材の流動性,歯質への浸透性,シーラントの光重合による重合収縮に対する緩和作用などが考えられた.
したがって,Preventive Resin Restoration(シーラントのみを含む)の際には,小窩裂溝部には積極的にボンディング材を併用してシーラントを〓塞したほうが,接着性が向上することが明らかとなった.