小児歯科学雑誌
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乳臼歯II級コンポジットレジン充填に関する臨床的研究
-充填直後より1年経過までの臨床成績-
二木 昌人野沢 美夕起藤崎 みずほ長田 恵美中田 稔
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1996 年 34 巻 3 号 p. 551-559

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抄録

乳臼歯II級のコンポジットレジン充填70例について,充填直後,6か月後,12か月後の状態を,USPHSのRyge criteriaをもとにした視診・触診と,咬翼法によるエックス線診査により臨床的に評価した。窩洞は従来のBlackのアマルガム窩洞に準じたが,咬合面窩縁部にラウンドベベルを付与すること,隣接面歯肉側壁の象牙質部分にグラスアイオノマー系裏層材を使用することを原則とした。レジン充填は,3M社製P-50®またはトクヤマ社製Palfique Light Posterior®および付属の接着システムを使用して行った。1年経過後までの結果は,すべての診査項目について材料間の差は認められず,脱落,辺縁着色,変色,術後疹痛,歯髄症状,二次齲蝕については全くみられなかった。また,隣接面適合,摩耗,表面滑沢性についても概ね問題なく経過していた。充填直後の問題としては17歯(9か所)で接触点の回復がやや不良であったが,6か月後の診査ではすべてにおいて回復していた。処置後経過においては,レジンの破折が6か月後,12か月後でそれぞれ3歯に認められ,うち4歯が再修復となった。また辺縁適合のやや不良なものが,6か月後で15歯,12か月後でさらに9歯に認められた。しかしながら,これらは充填時の過剰充填によって早期に辺縁部の微小破折が起こったものと考えられ,辺縁部の研磨調整のみで以後良好な経過を示す場合が多かった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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