小児歯科学雑誌
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34 巻 , 3 号
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  • 二木 昌人, 野沢 美夕起, 藤崎 みずほ, 長田 恵美, 中田 稔
    1996 年 34 巻 3 号 p. 551-559
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳臼歯II級のコンポジットレジン充填70例について,充填直後,6か月後,12か月後の状態を,USPHSのRyge criteriaをもとにした視診・触診と,咬翼法によるエックス線診査により臨床的に評価した。窩洞は従来のBlackのアマルガム窩洞に準じたが,咬合面窩縁部にラウンドベベルを付与すること,隣接面歯肉側壁の象牙質部分にグラスアイオノマー系裏層材を使用することを原則とした。レジン充填は,3M社製P-50®またはトクヤマ社製Palfique Light Posterior®および付属の接着システムを使用して行った。1年経過後までの結果は,すべての診査項目について材料間の差は認められず,脱落,辺縁着色,変色,術後疹痛,歯髄症状,二次齲蝕については全くみられなかった。また,隣接面適合,摩耗,表面滑沢性についても概ね問題なく経過していた。充填直後の問題としては17歯(9か所)で接触点の回復がやや不良であったが,6か月後の診査ではすべてにおいて回復していた。処置後経過においては,レジンの破折が6か月後,12か月後でそれぞれ3歯に認められ,うち4歯が再修復となった。また辺縁適合のやや不良なものが,6か月後で15歯,12か月後でさらに9歯に認められた。しかしながら,これらは充填時の過剰充填によって早期に辺縁部の微小破折が起こったものと考えられ,辺縁部の研磨調整のみで以後良好な経過を示す場合が多かった。
  • 松澤 光洋
    1996 年 34 巻 3 号 p. 560-569
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,乳歯と永久歯の歯根膜細胞(HPLF-Y,HPLF)に対するインスリン様増殖因子I(IGF-I)の細胞増殖,ALPase活性および細胞外基質タンパク質合成に与える影響について比較検討し,次の結果を得た。
    1)IGF-1添加によるwell当たりのDNA量は,両細胞ともに培養12日目まで有意な増加を認め,特にHPLF-Yで顕著であった。
    2)細胞の増殖期,集密期,休止期におけるIGF-I添加時のDNA当たりの3H-TdRの取り込み量は,HPLF-Yでは特に増殖期で,HPLFでは集密期と休止期で有意な増加を認めた。
    3)IGF-I添加によるALPase活性の応答は,各々のIGF-I非添加群を100%とすると,HPLF-Yでは培養10日目に89%,12日目に52%の有意な減少を認め,HPLFでは培養10日目に196%,12日目に116%の有意な増加を認めた。
    4)35S-Metで標識された両細胞の産生タンパク質を陰イオン交換クロマトグラフィで分離後,各分画を比較した結果,HPLFではIGF-I添加,非添加群で35S-Metの取り込み量に差は認められなかったが,HPLF-YではIGF-I添加群のII ,III,IVの分画で35S-Metの取り込み量の減少を認めた。さらに各分画をSDSPAGEで分離して得たオートラジオグラムでは,HPLF-YでIGF-I添加により各バンドで35S-Metの取り込み量が減少したのに対し,HPLFでは増加していた。以上の結果より,IGF-I添加によってHPLF-Yは分化を抑制して増殖を誘導するのに対し,HPLFは細胞外基質形成の増強によって分化を誘導する傾向が示唆された。
  • 細矢 由美子, 柏原 陽子, 冨永 礼子, 西口 美由季, 後藤 讓治
    1996 年 34 巻 3 号 p. 570-580
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1994年度に,長崎大学歯学部小児歯科診療室で永久歯歯冠修復処置を受けた患児284名に対して行われた永久歯歯冠修復処置669例について,応用状況を調査した。1984年度の調査と比較した結果,下記の結論を得た。
    1.永久歯に対する歯冠修復応用状況は,1984年度はコンポジットレジン充填の応用頻度(52.4%)が最も高く,次いでアマルガム充填(22.5%),インレー(18.6%),既製金属冠(3.9%)の順であった。一方,1994年度の応用頻度は,コンポジットレジン充填(76.7%),インレー(11.1%),グラスアイオノマーセメント充填(6.7%),既製金属冠(2.8%)の順であった。
    2.臼歯部の隣接面を含む窩洞に対する応用頻度は,1984年度はインレー(64.4%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(21.1%),アンレー(7.9%),アマルガム充填(6.6%)の順であった。一方,1994年度の応用頻度は,コンポジットレジン充填(53.9%),インレー(40.9%),アンレー(2.9%),グラスアイオノマーセメント充填(2.3%)の順であった。
    3.1984年度と比較し1994年度では,臼歯部におけるコンポジットレジン充填の応用頻度が特に増加していた。また,1994年度にはアマルガム充填の使用は皆無であり,グラスアイオノマーセメント充填が新たに使用されていた。
  • 加我 正行, 野崎 真也, 辻口 鎮男, 高野 光彦, 橋本 正則, 小口 春久
    1996 年 34 巻 3 号 p. 581-586
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    各種象牙質接着性レジンの歯髄に対する親和性を調べるため,ヒト歯肉由来線維芽細胞を使用し,寒天重層法にて細胞毒性を検索した。その結果,ボンディング材は光未照射では,大きな毒性を示したが,光照射10秒間で細胞毒性が著しく減少した。光照射20秒間で細胞毒性が消失した。コンポジットレジンは,光未照射では大きな毒性を示した。しかし,実験に使用したいずれのコンポジットレジンも光照射20秒間で細胞毒性が認められなくなった。レジンは光照射時間が長くなると,その細胞毒性が減少した。この結果から象牙質接着性レジンシステムに使用されるボンディング材とコンポジットレジンは充分に光照射をすると生物学的に安全であることが示唆された。
  • 岩永 真紀, 畑 弘子, 神山 紀久男
    1996 年 34 巻 3 号 p. 587-594
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    定期検診に対する受診者側の意識,患児の日常の口腔衛生状態,定期検診時の口腔内状態と親の認識度について把握し,定期検診における問題点を探る目的で,定期検診のため来院した患児(2歳0か月~8歳11か月)の保護者,およびその担当医を対象にアンケート調査を行い,以下の結果を得た。
    1)定期検診が必要であるとした回答は87.8%あった。また,定期検診の間隔は6か月が良い,とする回答が87.4%あった。
    2)定期検診時の診査で希望する内容として齲蝕の検診をあげた人が多く97.2%であった。予防処置に対する希望は69.5%,歯磨きの指導は37.8%であった。また,食事指導はわずか5.7%にすぎなかった。定期検診を受けることにより,安心感が得られるという回答が94.7%と多かった。
    3)定期検診後,次の検診までの間に,何らかの問題が生じたという回答が41.9%あり,そのうち直ちに受診したのはわずか20.4%であった。
    4)齲蝕予防上最も大切なのは歯磨きであると考えていた回答者が69.9%あった。
    5)未就学児のうち仕上げ磨きが行われているのは82.0%,就学児では54.2%であった。
    6)当小児歯科での治療開始後も間食の取り方が以前と変わらないとした回答が52.4%あった。
    7)定期検診時の診査で,修復物の脱落が認められた患児は15.0%,新生齲蝕は26.4%,二次齲蝕は8.9%,歯肉炎は13.0%あった。
  • 斎藤 薫, 畑 弘子, 神山 紀久男
    1996 年 34 巻 3 号 p. 595-602
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学附属病院小児歯科外来受診患者の内,下顎に乳前歯癒合ないし先天欠如を認める歯列とその後継永久歯を対象に,患側と健側での癒合,先天欠如以外の歯の形態的変異の発現,後継永久前歯の歯冠幅径と萌出時期を患側と健側で比較した。
    形態変異では,乳中切歯,乳側切歯(以下A,B,乳犬歯はCと略す)癒合24例中,患側の21歯と健側いずれかの11歯に,BC癒合17例では,患側のAに6歯,健側に7歯の変異を認めた。また,B欠如では両側に変異を認めた。調査群と対照群の乳歯列,永久歯列では共にX2検定で有意差を認めた。
    歯冠幅径では,調査群では患側と健側に1mm以上差のある症例を多く認めた。歯種別では,B欠如で側切歯欠如の全例で患側の中切歯,犬歯が健側同名歯より大きく,BC癒合で側切歯欠如の10例中,患側が大きかったのは中切歯で5例,犬歯で4例で,小さかったのは各々1例,3例あった。AB癒合で中切歯欠如の5例中,患側側切歯,犬歯共に健側が大きいのが2例あり,AB癒合から歯数正常の14例中7例では,患側の中切歯のほうが大きかった。
    萌出時期では,BC癒合で側切歯欠如の10例中,患側犬歯が1年以上早期に萌出をしたのは3例あり,B欠如で側切歯欠如となった7例では6例あった。
  • 新谷 誠康, 楽木 正実, 唐 栄銀, 大西 智之, 小村 隆志, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1996 年 34 巻 3 号 p. 603-611
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    リン酸四カルシウム(4CP)を基剤とし,硬化液にオレイン酸あるいはユージノールを用いた根管充填用セメント(それぞれCPOとCPE)を試作し,イヌの歯の根管に過剰充填したときの根尖周囲組織の反応について検討した。その結果,いずれのセメントで根管充填した歯根の根尖周囲組織にも硬組織が形成されたが,CPOでは特に根尖部での炎症も軽度で,歯根や歯槽骨が吸収される所見も認められず,CPEよりも生体親和性に富んだ反応を示した。これらの所見はCPOが根管充填用セメントの基礎として活用できる可能性が高いことを示唆している。
  • 森主 宜延, 石倉 行男, 舛元 康浩, 小椋 正, 堀 準一
    1996 年 34 巻 3 号 p. 612-623
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    多用されている既製品マウスガードの問題点について,大学アメリカンフットボール部ならびに高等学校ラグビー部とボクシング部選手合計92名を対象に,アンケート調査,咬合圧力,ならびに装着前後の音声分析に至る総合的検討を行うと共に,カスタムメイドの必要性とカスタムメイドに必要な基本的問題を検討し以下の結論を得た。
    1.アンケート調査結果から,すでに使用していたアメリカンフットボール選手の回答から,使用しているマウスガードに対する理解は低く,59.4%が不満を抱いていた。その主な回答は,違和感であった。ラグビー部の回答からも同様な結果が得られ,更に,話しづらいと呼吸しづらいが共に57.9%と高頻度を示した。
    2.マウスガード装着あるいは非装着時の咬合圧力測定結果は,装着時は非装着時と比較し積分咬合圧力,咬合面積は顕著に減少するものの,咬合面積当たりの平均咬合圧力は,増加していた。
    3.マウスガード装着あるいは非装着時の声の音声分析による比較では,話しづらいと訴えた如何に関わらず,後舌,前舌母音共に不明瞭な声となる結果を得,特に話しづらいと訴えた者は,この傾向が顕著であった。
    以上の結果から,既製品マウスガードは,使用への意欲がそがれる問題点が多く,衝撃減衰能からして咬合時の接触歯への強い影響が疑え,発声に関する問題点も明示された。更に,カスタムメイドマウスガードの設計にあたり,前歯唇面,口蓋側の形態と厚さについて今後検討の必要性が示唆された。
  • 福田 理, 栁瀬 博, 田中 泰司, 河合 利方, 戸田 久美子, 中野 崇, 黒須 一夫
    1996 年 34 巻 3 号 p. 624-629
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の歯科治療時における笑気吸入鎮静法の応用が,尿中カテコールアミン変動に及ぼす影響を検討するため,笑気吸入鎮静法下で歯科治療を実施した小児17名(笑気群)と非鎮静下の歯科治療を実施した小児33名(対照群)計50名を4~6歳児,7~9歳児に分け,術前,術後の尿中カテコールアミン濃度とその変化率について比較を行った。その結果の概要は以下の通りであった。
    4~6歳児の各CA濃度の術前値と術後値間の比較において,対照群では,AD,NA,DAの全てにおいて術後値が術前値に比べ有意に増加する傾向を示した。しかし,笑気群では,術後ADが術前に比べ,有意に増加する傾向を示したのみであった。7~9歳児の各CA濃度の術前値と術後値間の比較において,対照群では,術後AD値が術前に比べ,有意に増加する傾向を示したが,笑気群では,全ての指標で術前,術後値に統計的な差は認められなかった。両年齢群とも,笑気群の変化率が対照群に比して全ての指標において小さく,特に,4~6歳群では,全てにおいて統計的な有意差が認められた。
    以上の結果,小児に対する笑気吸入鎮静法の応用は,交感神経一副腎髄質系の反応を抑制し,術中のCA分泌を抑制する効果があり,その傾向は,低年齢児に顕著であることを示している。
  • 松本 道代, 南 貴洋, 今井 和美, 山中 裕子, 藤原 卓, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1996 年 34 巻 3 号 p. 630-634
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低分子デキストラン標品の齲蝕抑制効果をin vitroおよびin vivoの実験系において検討した。その結果,低分子デキズトランが80%近くを占める供試標品は,Streptococcus sobrinus 6715株由来のGTaseによるスクロースからの非水溶性グルカン合成を促進するものの,同菌株のスクロース依存性平滑面付着に対し明確な抑制効果を示した。しかし,その効果は高濃度で減弱する傾向が認められた。このデキストラン標品の抗齲蝕作用をS. sobrinus 6715株を感染させたSPFラットを用いた動物実験において検定したところ,プラークの沈着と齲蝕の発生を有意に抑制した。
  • 大西 智之, 楽木 正実, 新谷 誠康, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1996 年 34 巻 3 号 p. 635-640
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の小窩裂溝に対する齲蝕予防填塞材料として開発されたリン酸四カルシウムセメント(4CPセメント)の理工学的性質およびエナメル質におよぼす影響について検討した。また,萌出途上の第一大臼歯を対象として,ヒト口腔内における4CPセメントの歯への保持状態を調べた。その結果,4CPセメントは牛歯エナメル質に対してきわめて強い接着性を示すだけでなく,同エナメル質に人工的に形成された白斑病巣に対して明確な再石灰化作用を促すことが示された。また,4CPセメントはヒト口腔内においても,エナメル質に強く接着し,長期間保持することが明らかとなった。以上の結果は,萌出途上の第一大臼歯の齲蝕予防填塞材として4CPセメントが十分に応用できる可能性の高いことを示唆している。
  • 篠田 圭司, 松田 成彦, 仲岡 佳彦, 長谷川 信乃, 田村 康夫
    1996 年 34 巻 3 号 p. 641-649
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    機能的反対咬合が咀嚼筋活動にどのような影響を及ぼしているのか検討する目的で,混合歯列期で機能的反対咬合を有する小児19名(前歯反対咬合8名,片側反対咬合11名)と,対照群として同期の個性正常咬合を有する小児10名を用い,咀嚼運動時の咀嚼筋活動の比較を行い,以下の結論を得た。
    1)咀嚼時の総筋活動量に占める各筋の割合について検討した結果,機能的反対咬合を有する小児では,対照群に比べ異なった筋活動パターンを示した。
    2)対照群では側頭筋,咬筋ともに作業側が平衡側に比較し大きい筋活動量を示したのに対し,前歯反対咬合群では,側頭筋,咬筋ともに作業側と平衡側とで筋活動量に差はみられなかった。
    3)片側反対咬合群では,患側と非患側咀嚼で,咀嚼筋活動に差がみられた。特に側頭筋において,患側咀嚼では作業側が大きい活動を示したのに対し,非患側咀嚼では平衡側が大きい活動を示した。
    4)咀嚼筋活動を二つの活動パターンに分類し評価した結果,片側反対咬合群における患側咀嚼ではより対照群に近い筋活動パターンを示したのに対し,前歯反対咬合群および片側反対咬合群の非患側咀嚼では,対照群の咀嚼パターンとは異なるパターンを示すものが多くみられた。
    以上の結果より,機能的反対咬合を有する小児でも,反対咬合の部位により筋活動パターンが異なること,また機能的反対咬合小児は咀嚼筋活動の機能的分化が障害されている可能性が示唆された。
  • 上津 誠司, 下岡 正八
    1996 年 34 巻 3 号 p. 650-663
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    仰臥位で治療を受けている小児患者の視野に入る歯科医師が「おくちをあいて」,被験児の母親が「いいこにしてね」そして歯科衛生士が「がんばったね」と被験児に話しかけるテスト映像を作製した。テスト映像で三者それぞれが話し始めるまでを視覚刺激,話しかけている間を視聴覚刺激とし,ビジコンアイカメラで被験児の眼球運動を測定,分析し,以下の結論を得た。
    1.最終停留点は,歯科医師23名(48.9%)それ以外が24名(51.1%),母親10名(21.3%)それ以外が37名(78.7%),歯科衛生士13名(27.7%)それ以外が34名(72.3%)であった。
    2.歯科医師走査群36名(76.6%)非走査群は11名(23.4%),母親走査群30名(63.8%)非走査群は17名(36.2%),歯科衛生士走査群24名(51.1%)非走査群は23名(48.6%)であった。
    3.最終停留点で歯科医師に停留していた被験児と歯科医師走査群,母親に停留していた被験児と母親走査群の割合では各々有意水準1%で,歯科衛生士に停留していた被験児と歯科衛生士走査群の割合では有意水準5%で,それぞれ有意な差を認めた。
    以上より仰臥位で治療を受けている小児患者の視野に入る歯科医師,母親そして歯科衛生士三者それぞれが小児患者に話しかけたとき,話しかけている人を多く見ることがわかった。
  • 水上 美樹, 千木良 あき子, 綾野 理加, 山下 篤子, 松尾 美紀, 足立 マリ子, 井上 美津子, 向井 美恵
    1996 年 34 巻 3 号 p. 664-672
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼児の食べ方と齲蝕罹患との関連を知る目的で,保健所の歯科相談室に来所した乳歯列完成期の健常な3歳児667名とその保護者を対象に調査を行った。調査内容は齲蝕を中心にした口腔内診査と食行動に関する保護者へのアンケートである。調査結果を基に,齲蝕経験歯数と齲蝕罹患型および食行動6項目(食事への意欲,遊び食べ,咀嚼状態,丸のみ,吸啜様のチュチュ食べ,口腔内への食物の貯留)について検討し,以下の結果を得た。
    1)齲蝕罹患者率は52.5%であり,罹患部位は臼歯部のみに齲歯がある者の割合が多い傾向にあった。
    2)食行動の6項目のうち,丸のみとチュチュ食べがみられると回答した者は他の4項目に比べ少ない傾向にあった。
    3)齲蝕罹患型と口腔内への食物の貯留の有無との間に有意な関連性がみられた。また,貯留のよくある者は広範性の齲蝕に罹患している者が多い傾向にあった。
    4)df-歯数と食行動との関連において,食物の貯留がよくあると回答した者は,df-歯数7歯以上の者の割合が高く,一人平均df-歯数も,時々貯留がある者やほとんど貯留がない者に比べて有意に高かった。
    5)食物の貯留の有無を除く他の5項目の食行動と齲蝕罹患型およびdf-歯数との間には有意な関連性は認められなかった。
  • 張簡 崇智, 黒川 泉, 下岡 正八
    1996 年 34 巻 3 号 p. 673-688
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新潟県北魚沼郡広神村の同一個体432名を対象に,9年間の経年的調査結果を資料とし,第一大臼歯と乳歯齲蝕との関連性を検討した。第一大臼歯萌出後,齲蝕に罹患するまでの年数で群分けし,群ごとに乳歯列期にさかのぼり経年的な乳歯齲蝕を調査した。そして,乳歯の歯種別齲蝕状況との間で多変量解析(数量化II類)を行い,第一大臼歯が健全であるための乳歯齲蝕の歯種別要因を検討し,次のような結果を得た。
    1.0年健全群・1年健全群は,第一大臼歯萌出4年前から萌出年まで一人平均df歯数が全体の平均値より高く,3年健全群・4年健全群は逆に低かった。
    2.乳歯歯種別の健全歯と齲蝕歯(処置,未処置,欠損)の割合は,第一大臼歯の健全期間が長い群ほど乳歯列期を通し,健全歯が高い傾向を示した。
    3.相関比は,4年健全群以外の他の健全群で4年前の値が最も高く,特に,0年健全群・1年健全群の相関が強かった。4年健全群は1年前との相関が強かった。
    4.0年健全群・1年健全群の4年前は,上下顎乳側切歯,第一乳臼歯,上顎乳中切歯との相関が強かった。また,健全期間が長い群は,第一大臼歯萌出4年前から萌出年の乳歯列期にわたり,上顎第二乳臼歯との相関が強かった。
    5.4年健全群の1年前からみた乳歯列期の上下顎乳側切歯,上顎乳犬歯の健全は,第一大臼歯を健全に保つ要因であることがわかった。
  • 島田 幸恵
    1996 年 34 巻 3 号 p. 689-697
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯萌出過程の歯周組織の変化について検索を行った。対象は,Hellmanの歯年齢IIC期からIIIC期までの小児40名(小児群),対照は,今回検索した小児と同様のポケットの深さを有する成人14名(成人群I)と,健康な歯周組織を有する成人12名(成人群II)とし,臨床診査および歯肉縁下細菌叢を検索した。対象部位は,上顎右側中切歯近心唇側歯肉である。その結果,小児群は,プロービングポケット深さの平均値が3.2±0.8mm,G.I.が1.9±0.5で全ての者に何らかの炎症所見が認められた。また,小児群と成人群を比較した場合,小児群の歯肉縁下細菌叢の総菌数に対するMotile rodsとSpirochetesの割合とペリオチェック®陽性率は,プロービングポケット深さ等の臨床結果に差が認められなかった成人群Iに比べ有意に低く,健康な歯周組織を有する成人群IIに近似していた。以上のことから,小児に認められた炎症は,プラークの付着とそれに伴う歯肉縁下細菌叢の変化によるものではなく,萌出というメカニズムそのものにより惹起されたのではないかと示唆された。さらに,小児の萌出に伴う歯肉溝の変化について検討した結果,G.I.に差がないにも関わらず,歯年齢,歯根形成度が進むと,歯肉溝が浅くなる傾向が認められた。これは,歯肉の炎症による影響よりも,萌出に伴う現象によって変化しているのではないかと考えられた。
  • 野中 和明, 西嶋 憲博, 石井 光治, 山崎 要一, 佐々木 康成, 中田 稔
    1996 年 34 巻 3 号 p. 698-706
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    無汗型外胚葉異形成症は,無汗症,減毛症および無歯症を3主徴としている。歯科学的には,歯の形態異常や先天性欠如を伴っており,しかも口腔内の粘液腺も欠如傾向にあるため口腔内が乾燥しやすく,咀嚼困難に陥りやすいなどの問題がある。そこで今回我々は,初診時年齢4歳6か月の患児についての歯科学的特徴や,咀嚼運動の改善を目的として可撤式保隙装置を装着して9か月後の下顎切歯点の運動軌跡,咀嚼筋活動および咬合力などの経時的変化について検索し,次のような所見を得た。
    1)発汗機能の消失傾向と自己体温調節の困難。
    2)眉毛や頭髪の疎毛化。
    3)猫耳傾向。4)_??__??__??_の先天性欠如と_??__??__??_の円錐歯化傾向。
    5)咀嚼困難。
    6)可撤式保隙装置の装着後の下顎切歯点運動パターン,咀嚼筋活動および咬合力の大きさの向上。
  • 鈴木 敦子, 村上 充子, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1996 年 34 巻 3 号 p. 707-713
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    混合歯列期の小児では,含歯性嚢胞により永久歯の萌出遅延および異所萌出をきたす症例が見られる。今回我々は,含歯性嚢胞による上顎中切歯の埋伏が見られた9歳男児に対して開窓法を施したところ,両側中切歯ともに口蓋側に萌出した。この異所萌出した永久中切歯に対して咬合誘導処置を行った。また,側切歯近心に異所萌出した左側犬歯は,左側側切歯と位置を交換して配列を行った。術後3年4か月経過した現在において嚢胞は治癒し,良好な咬合状態が確保されている。
  • 三好 憲裕, 角南 次郎, 西嶋 寛, 西嶋 克巳
    1996 年 34 巻 3 号 p. 714-718
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    唾石症は,しばしば遭遇する疾患であるが,小児においては比較的まれな疾患である。
    今回われわれは,顎下腺唾石の1例を経験し,唾石の探索を行った結果,以下のことが示唆された。
    1.唾石の位置による成熟度は,移行部,開口部,導管中央部の順に高いことが示唆された。
    2.ナイロン製の糸の迷入により,これをコアーとしたため唾石の移動が少なかったと考えられ,唾石の形成時期は,成熟度も考慮に入れると,移行部,開口部,導管中央部の順であることが予想される。
  • 橋本 敏昭, 牧 憲司, 赤嶺 秀樹, 木原 由香理, 鶴田 靖, 木村 光孝
    1996 年 34 巻 3 号 p. 719-724
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は4歳1か月の男児に打撲による上顎左側乳中切歯の脱臼を惹起した症例を経験した。臨床所見は,軽度の挺出と動揺,咬合痛,打診痛,歯肉溝からの出血が認められた。エックス線所見は,わずかに歯根膜腔の拡大を認め,骨折線や歯根の破折線は認められらなかった。柔軟性のあるワイヤーと短時間でできる接着性レジンを用い,上顎乳犬歯間にダイレクトポンディング法で整復固定を行った。
    約1か月後灰色に変色し歯髄電気診断に対し(-)に転じたため抜髄後,水酸化カルシウム製剤で糊剤根管充填を施し,固定を除去後予後観察を行った。約2年経過後,歯根の吸収は上顎左右乳中切歯ともに開始され順調に経過した。約3年経過後,上顎左側乳中切歯の歯根吸収は上顎右側乳中切歯と比較してわずかに遅延しているが臨床的不快症状やエックス線診査による炎症所見は認められなかった。後継永久歯との交換もスムーズに行われ,約4年経過後のエックス線写真では,上顎左右永久乳中切歯ともに歯根の形成に異常は認められず,長期にわたり現在に至るまで予後は良好である。
    以上のことから,外傷による乳前歯の脱臼は,保存可能かどうかを判断し,短時間で制作でき清掃性が良く,歯に生理的な動揺を与えられるよう配慮し,適切な処置により定期検診を続け,後継永久歯との順調な交換を期待し,長期間の経過観察が必要である。
  • 内上堀 征人, 内藤 真理子, 古沢 ゆかり, 大里 泰照, 秦 満, 木村 光孝
    1996 年 34 巻 3 号 p. 725-729
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎顔面部および口腔の外傷は,日常の臨床で比較的遭遇する疾患であり,小児においては,軟組織に限局するものも,多く見られる。今回報告する器物をくわえての転倒や転落による頬脂肪体ヘルニアは,乳幼児独特のものであるが,報告例は少ない。患児は4歳4か月の男児で,歯口清掃中に転倒し,歯ブラシで頬粘膜を損傷した。その後,同部に赤黄色の腫瘤の出現をみたため,同日九州歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した。腫瘤はくるみ大で,左側頬粘膜耳下腺乳頭後方部の裂創から,連続して認められた。外傷による頬脂肪体ヘルニアの診断にて,同日,局所麻酔下に組織隙への復位および創面の閉鎖を行った。術後,合併症も認められず,現在に至るまで経過は良好であった。
  • 西田 郁子, 秦 満, 瀬尾 令士, 牧 憲司, 太田 和子, 西川 康博, 吉永 久秋, 木村 光孝
    1996 年 34 巻 3 号 p. 730-739
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において,歯数の異常な症例に遭遇することは少なくない。また,歯数の異常が乳歯列や永久歯列,さらにはその咬合状態に与える影響は大きい。今回,9歳男児で_??__??__先??天_の性欠如と上顎正中埋伏過剰歯を同一口腔内に認めた稀な症例に遭遇した。さらに,先天性欠如歯,過剰歯により歯列不正,咬合不正を引き起こしていたが,咬合誘導装置により初診より3年6か月で治療を終了した。
    (1)患児は,9歳2か月男児であり,前歯部の審美障害を主訴に来院した。(2)HellmanのDental ageでは,IIIA期である。(3)_??__??__先??_天に性欠如が,上顎正中部に埋伏過剰歯が認められた。(4)_??__??__??_にわずかな叢生,_??__??__?正?_に中離開が認められた。(5)前歯部に交叉咬合が認められた。(6)クワドヘリックス,チンキャップ,III級ゴム,連続抜去法を用いた咬合誘導装置により初診より3年6か月で治療を完了した。
  • 杉山 知子, 中村 美保, 根来 道恵, 筧 錦子, 桑原 未代子
    1996 年 34 巻 3 号 p. 740-745
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    唾石症は,唾液腺の腺体あるいは導管内に形成された結石に起因する疾患であり,幼児期においては稀である。今回われわれは,本邦報告症例の中では最年少と思われる3歳10か月児の耳下腺管内唾石症を経験したので報告した。また,本邦の10歳末満の唾石症で,年齢,性別,部位の明記された23症例についての文献的検討を行った。
    1)性差において,男性12症例,女性11症例で,有意の差は認められなかった。
    2)唾石の部位は,顎下腺20症例,耳下腺3症例で,舌下腺には認められなかった。
    3)初発症状の発現から受診までの期間については,1か月以内が多くみられた。
    4)唾石の摘出方法については,口腔内切開によって摘出されていた。
    5)摘出唾石の数は,1個が最も多かった。
    6)大きさについては,その長径において5mm以下が多かった。また,耳下腺唾石の2例については5mm以上であった。
  • 鳥羽 美加子, 林 千佳, 山田 恵子, 神山 紀久男
    1996 年 34 巻 3 号 p. 746-752
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷により脱落した上顎右側中切歯を再植固定し,その後4年6か月にわたり経過観察を行った。
    患児は5歳8か月の女児で,車付きの籠の中から転落して上顎前歯部を打撲,右側中切歯ならびに左側乳中切歯が脱落した。受傷2時間後に当科を受診したが,その際, 〓〓の完全脱落と周囲歯肉の裂傷を認めた。〓は,乾燥した状態で保管されており,その歯根形成量は1/3程度であった。
    歯髄の生活力を期待して,患歯は根管処置を行わず,生理食塩水で洗浄後歯槽窩に挿入しシーネで固定,その後経過観察を行った。視診では反対側同名歯と比較して異常な所見は認められず,また電気歯髄診断では時間の経過と共に高い反応を示すようになっていたが,4年6か月後の診査では,歯髄の反応は認められなかった。また,エックス線写真で,根の成長の停止,歯髄腔内に石灰化様の変化が認められた。しかし,歯の変色のような臨床所見は認められなかった。
  • 菊入 崇, 白川 哲夫, 和田 志麻, 三留 雅人, 野崎 真也, 小口 春久
    1996 年 34 巻 3 号 p. 753-761
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の外傷歯に対し,レーザードップラー血流計を用いて歯髄血流を測定し,外傷後の歯髄血流の回復過程と歯髄の生死の早期診断法に関して検討した。
    レーザードップラー血流計を歯髄血流の測定に用いる場合,その測定値は歯冠色や測定部位あるいはアーチファクトなどの様々な要因により影響を受けるため,測定値がそのまま歯髄血流動態を反映しているとは限らない。そこで,歯髄血流と心電図を同時に測定し,それぞれの波形に対しスペクトル解析を行い,歯髄血流に心拍と同期した拍動が存在するかどうかを診断法の判定基準に加えた。
    外傷歯のうち,のちに知覚が回復した症例については,受傷後,早期に歯髄血流の測定が可能であり,また血流に心拍と同期した拍動が確認された。一方,歯髄血流は測定されたものの波形に心拍と同期した拍動が認められなかった症例では,受傷後9か月を過ぎても最終的に知覚の回復はみられず,エックス線写真にて歯髄壊死と診断された。
    以上の結果からレーザードップラー血流計を心電計と併用し,それぞれの波形に対しスペクトル解析を行うことにより外傷歯に対し早期に信頼性の高い歯髄診断を行うことが可能であると考えられた。
  • 1996 年 34 巻 3 号 p. 764-766
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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