小児歯科学雑誌
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歯ブラシの頬粘膜刺入による頬脂肪体ヘルニアの1例
内上堀 征人内藤 真理子古沢 ゆかり大里 泰照秦 満木村 光孝
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1996 年 34 巻 3 号 p. 725-729

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抄録

顎顔面部および口腔の外傷は,日常の臨床で比較的遭遇する疾患であり,小児においては,軟組織に限局するものも,多く見られる。今回報告する器物をくわえての転倒や転落による頬脂肪体ヘルニアは,乳幼児独特のものであるが,報告例は少ない。患児は4歳4か月の男児で,歯口清掃中に転倒し,歯ブラシで頬粘膜を損傷した。その後,同部に赤黄色の腫瘤の出現をみたため,同日九州歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した。腫瘤はくるみ大で,左側頬粘膜耳下腺乳頭後方部の裂創から,連続して認められた。外傷による頬脂肪体ヘルニアの診断にて,同日,局所麻酔下に組織隙への復位および創面の閉鎖を行った。術後,合併症も認められず,現在に至るまで経過は良好であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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