小児歯科学雑誌
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本学歯学部附属病院小児歯科外来における乳臼歯埋伏についての臨床的考察
工藤 真幸今田 妃名子小口 春久
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キーワード: 乳歯, 埋伏歯, 診断, 治療, 予後
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1996 年 34 巻 4 号 p. 824-834

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抄録
昭和54年4月から平成5年9月までの14年5か月間に北海道大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した9128名の患児を対象として乳歯の埋伏について検討したところ,3歳4か月から8歳3か月までの男児5名,女児5名,計10名(0.1%)に認められた。埋伏歯はすべて第二乳臼歯で一歯のみの埋伏であった。部位としては上顎5例はすべて左側であり,下顎は左側3例,右側2例の計5例であった。治療方針立案のため,A.萌出障害物の有無,B.後継永久歯歯胚位置異常の有無,C.第二乳臼歯萌出スペースの有無,D.第二乳臼歯萌出方向異常の有無の4つの診断事項に基づいて検討し,プロトコールを作成し実際の治療法と比較したところほぼ一致し,その有用性が確認された。また,埋伏の原因としては嚢胞が1例,歯牙様硬組織と後継永久歯歯胚の著しい位置異常を合併したものが1例,後継永久歯歯胚の重度の位置異常を認めたものが1例であった。予後として,第二小臼歯歯胚の位置異常が著しいため第二乳臼歯を抜歯した2例を除く8例については第二乳臼歯が萌出したものが4例,齲蝕のため抜歯したものが2例,矯正学的な理由で抜歯したものが1例,その他不明のものが1例であった。第二小臼歯の位置異常が著しいため乳臼歯を抜歯した2例についてその予後を観察した結果,第二小臼歯が萌出したものが1例,第二小臼歯歯胚の成長が促進されたものが1例であった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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