小児歯科学雑誌
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34 巻 , 4 号
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  • 劉 榮伸, 本田 真紀, 盧 兆民, 飯沼 光生, 吉田 定宏
    1996 年 34 巻 4 号 p. 789-799
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成人において歯周疾患診断のパラメーターのひとつとして用いられている歯肉溝滲出液(以下GCFと略す)測定器ペリオトロン®を用いたGCF量の測定が小児期の歯肉に対しても可能であるか,また臨床パラメーターとの相関が認められるのかどうかを検討した。対象は朝日大学歯学部附属病院小児歯科を受診中の健常児161名,平均年齢9歳10か月であり,被検部位は上下顎前歯部歯肉の唇側である。臨床パラメーターとして歯肉溝の深さ(PD),歯肉出血(GB),歯肉炎指数(GI),口腔清掃度(DI),歯槽骨吸収の有無(BR)を用いた。GCF量の測定は,ペリオトロンエコノミー®にて測定し,以下の結論を得た。
    1.ペリオトロンエコノミー®を用いて小児のGCFを測定することは可能であり,再現にも問題なかった。
    2.検査歯全体ではペリオトロン値,PD,GB,GIは永久歯の方が高かったが,DIは乳歯の方が高かった。骨吸収は乳歯では認められなかったが,永久歯では1.2%に認められた。
    3.生理的なGCF量は乳歯と永久歯では差が認められなかった。
    4.ペリオトロン値とPD,GB,GIとの間には正の相関が認められたが,DI,BRとの間には相関関係が認められなかった。
    5.以上のことより,小児歯科臨床で,ペリオトロンエコノミー®を用いてGCFを測定することは可能であり,小児における歯周疾患診断の一助となることが明らかになった。
  • 高橋 智秀, 大森 郁朗
    1996 年 34 巻 4 号 p. 800-808
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,酸処理歯面に最初に吸着される唾液成分の相違が,形成される獲得被膜に及ぼす影響を検討するために,複数の被験者から唾液を別々に採取し,各々の唾液から獲得被膜を形成・採取するための簡便な方法を考案し,採取した各々の被膜試料についてアミノ酸分析を行ったものである。
    得られた結果は以下の通りである。
    1)65×10×2mmのエナメル質ブロック10個に対し,遠心分離した唾液上清6mlを2時間作用させて獲得被膜を形成させて掻き取り採取したところ,分析に充分な量の被膜試料が採取された。
    2)同一被験者における全唾液および獲得被膜のアミノ酸組成比を比較したところ,獲得被膜のアミノ酸組成比は全唾液のアミノ酸組成比とは異なっていた。
    3)14人の被験者の間で獲得被膜のアミノ酸組成を比較したところ,12人で共通してグリシン,プロリン,グルタミン酸の多いタンパク質であった。
    4)2人の被験者の獲得被膜は,セリンが多くプロリンの少ないタンパク質であった。
  • 正藤 真紀子, 二井 典子, Seno Pradopo, 鈴木 淳司, 香西 克之, 長坂 信夫
    1996 年 34 巻 4 号 p. 809-814
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Gambirはインドネシアをはじめとする東南アジアで古くから嗜好性咀嚼物として習慣的に用いられているアカネ科植物で,同時に齲蝕予防効果もあることが伝えられている。今回著者らはGambir水抽出物のミュータンスレンサ球菌由来のグルコシルトランスフェラーゼ(GTase)による不溶性グルカン合成阻害作用およびミュータンスレンサ球菌に対する抗菌作用,in vitro における歯垢形成抑制について検討を行った。その結果,Gambir水抽出物は実験に用いた7種類のミュータンスレンサ球菌標準株のいずれの粗GTaseに対しても不溶性グルカン合成を阻害し,その合成阻害率はGambir水抽出物の濃度依存性に上昇し,0.625mg/mlで平均24%,10mg/mlで平均55%であった。また,いずれの菌株に対しても弱い抗菌作用を示し,そのMICは3.75~7.5mg/ml濃度であった。抜去歯を用いた歯面への歯垢形成はGambir水抽出物の添加により抑制される傾向を示した。以上の結果よりGambir水抽出物は齲蝕予防に効果をもたらす可能性を有していることが示唆された。
    さらに,Gambirにはタンニンが多く含まれていることから,これを除去した場合についても検討した。その結果,タンニン除去画分は低濃度(2.5mg/ml濃度以下)ではいずれの菌株のGTaseに対してもほとんど不溶性グルカン合成の阻害を示さなかったことから,Gambir水抽出物の歯垢形成抑制作用の活性成分は主にタンニンであることが推測された。
  • 岡田 貢, 光澤 佳浪, 桑原 さつき, 香西 克之, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1996 年 34 巻 4 号 p. 815-823
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    中学生における歯周疾患の罹患状態を把握する目的で,広島市内の某中学校を対象に調査を行い,以下の結果を得た。
    1.GIについて
    全校生徒の89.9%が歯肉炎と評価され,そのうち軽度歯肉炎と評価された生徒の割合は82.1%,中等度歯肉炎と評価された生徒の割合は7.8%であった。歯群別では切歯群,大臼歯群,小臼歯群の順に歯肉炎を有する割合が有意に多かった。
    2.PIIについて
    PIIは男子の方が女子よりも有意に高く,女子では学年が上がるに従って改善傾向が認められた。また歯群別では,全ての歯群間において有意差を認め,大臼歯群,切歯群,小臼歯群の順に高かった。
    3.PDについて
    PDの分布は2峰性を示し,切歯群では1.0mmと3.0mmに,大臼歯群では15mmと3.0mmにピークを認めた。
    4.BIについて
    BIは女子の方が男子よりも有意に高く,女子においては学年が上がるにつれて出血し易い傾向にあった。
    5.GIとPIIとの関係
    男子においてはPIIの増加につれてGIの増加を認めたが,女子においてはPIIは学年が上がるに従って減少傾向を示したものの,GIは学年が上がるに従ってむしろ増加した。
  • 工藤 真幸, 今田 妃名子, 小口 春久
    1996 年 34 巻 4 号 p. 824-834
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和54年4月から平成5年9月までの14年5か月間に北海道大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した9128名の患児を対象として乳歯の埋伏について検討したところ,3歳4か月から8歳3か月までの男児5名,女児5名,計10名(0.1%)に認められた。埋伏歯はすべて第二乳臼歯で一歯のみの埋伏であった。部位としては上顎5例はすべて左側であり,下顎は左側3例,右側2例の計5例であった。治療方針立案のため,A.萌出障害物の有無,B.後継永久歯歯胚位置異常の有無,C.第二乳臼歯萌出スペースの有無,D.第二乳臼歯萌出方向異常の有無の4つの診断事項に基づいて検討し,プロトコールを作成し実際の治療法と比較したところほぼ一致し,その有用性が確認された。また,埋伏の原因としては嚢胞が1例,歯牙様硬組織と後継永久歯歯胚の著しい位置異常を合併したものが1例,後継永久歯歯胚の重度の位置異常を認めたものが1例であった。予後として,第二小臼歯歯胚の位置異常が著しいため第二乳臼歯を抜歯した2例を除く8例については第二乳臼歯が萌出したものが4例,齲蝕のため抜歯したものが2例,矯正学的な理由で抜歯したものが1例,その他不明のものが1例であった。第二小臼歯の位置異常が著しいため乳臼歯を抜歯した2例についてその予後を観察した結果,第二小臼歯が萌出したものが1例,第二小臼歯歯胚の成長が促進されたものが1例であった。
  • 壺内 智郎, 梅田 泰子, 田中 浩二, 宮城 淳, 東 知宏, 岡崎 好秀, 松村 誠士, 下野 勉
    1996 年 34 巻 4 号 p. 835-841
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    岡山大学歯学部小児歯科外来において,今後の地域社会の要望に応じた歯科医療を実現するための一助とすべく,過去10年間の初診患者の動態について調査を行い,以下の結果を得た。
    1)1984年から1993年までの10年間に,当科外来を受診した初診患者は10,329人であり,その年次推移は,開設当初は増加傾向にあったが,1990年以降は減少傾向にあった。
    2)初診年齢は2歳以下の乳幼児の割合が年毎に増加し,低年齢化を示していた。
    3)主訴に関しては,齲蝕・痛みが年毎に減少し,予防・精査および咬合相談が増加する傾向にあった。
    4)齲蝕経験のないものの割合の増加と重症齲蝕の減少が認められた。
    以上のことから,過去10年間に母親の口腔衛生観の向上,患者の口腔内状態の改善が認められ,小児の口腔を取り巻く環境が大きく変化してきていることがうかがえた。地域の中にある我々大学病院小児歯科の使命は,地域特性をふまえてこれらの変化に適切に対応し,小児の口腔健康の保持・増進に寄与することにある。これまでも診療室内外での活動を通じて地域歯科医療に貢献してきたが,今後もその一端を担うべくその必要性を再認識させられた。
  • 大野 紘八郎, 野村 高志, 佐藤 綾子, 大森 郁朗
    1996 年 34 巻 4 号 p. 842-848
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鶴見大学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した患児のうち,Hellmanの歯齢IIIB期以降に達していた患児3,003名(男児1,410名,女児1,593名)について診療記録および定期検診時のエックス線写真を資料として永久歯の異常結節について回顧的調査を行い,その調査に基づいた臨床的対応法について示唆した。得られた調査結果は以下の通りである。
    1)切歯結節の認められたものは7名(0.23%),そのうち男児2名(0.14%),女児5名(0.31%)であった。中心結節の認められたものは88名(2.93%)そのうち男児32名(2.27%),女児56名(3.52%)であった。切歯結節と中心結節を有するものは1名であった。
    2)切歯結節は8歯,中心結節は235歯(小臼歯部:234歯,大臼歯部:1歯)に認められた。
    3)異常結節の歯種別発現頻度について,切歯結節は上顎中切歯2歯,上顎側切歯6歯に認められた。小臼歯部における中心結節は234歯に認められ,その内訳は下顎第二小臼歯96歯(41%),下顎第一小臼歯71歯(30%),上顎第二小臼歯37歯(16%),上顎第一小臼歯30歯(13%)であった。
    4)中心結節の顎別発現頻度では上顎67歯,下顎167歯であり,下顎に約25倍多く認められた。左右側別の発現頻度では左側119歯,右側115歯であり,左右差はみられなかった。
    5)口腔内診査により中心結節が指摘された患児の平均年齢は10歳5か月であった。
    6)エックス線写真による中心結節の診断は小臼歯の萌出前でも可能であった。
    口腔内診査で中心結節が指摘された症例のうち,萌出前エックス線写真の回顧的検査で中心結節が指摘された患児の平均年齢は8歳5か月であった。
  • 藤居 弘通, 町田 幸雄
    1996 年 34 巻 4 号 p. 849-855
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の生理的歯根吸収過程において免疫反応が関与しているかどうかについて検索するため,幼犬を対象として乳歯の生理的歯根吸収開始前から脱落までの象牙質に対する血清抗体価の変化を測定した。
    抗原は被検対象の幼犬から予め抜去して得られた乳歯歯根部象牙質から抽出した。被検血清の採取は,それぞれの幼犬において乳歯の生理的歯根吸収が生じる以前より開始し,その後1週毎に行った。乳歯の歯根吸収および脱落の過程は,実験開始時よりエックス線診査ならびに口腔内診査によって観察,確認した。被検血清中の抗体価の定量的測定はELISA法により行った。
    象牙質に対する血清抗体価は,生理的歯根吸収が開始し吸収が進行するにしたがい低下する傾向を示し,全ての乳歯が脱落した後は歯根吸収開始前の値にまで回復した。すなわち,乳歯の生理的歯根吸収過程において特異的な免疫学的変化が認められた。
    本実験の結果から,イヌの生体内に象牙質に対する自己抗体が存在すること,そして乳歯の生理的歯根吸収に対し免疫学的機構がある種の役割を演じている可能性のあることが示唆された。
  • 小方 清和, 苅部 洋行, 菊池 進
    1996 年 34 巻 4 号 p. 856-864
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は富士写真フィルム社製「デンタルプレスケール」を用い,保育園園児110名(男児59名,女児51名,平均年齢4.2歳)を対象とし資料採得を試みた。IIA期は4歳6か月未満をIIA前期,4歳6か月以上をIIA後期として二分し,IC期からIIC期までの採得比率を求めたところIC期は30%,IIA前期は59%,IIA後期は93%,IIC期は75%であった。そのうちIIA前期とIIA後期の61名(男児30名,女児31名,平均年齢4.7歳)を最終資料とし,専用解析装置「オクルーザー」を用い咬合力,咬合接触面積ならびに咬合圧を測定し,IIA前期とIIA後期間の変化を検討した。その結果,以下のような結論を得た。
    1.デンタルプレスケールによる資料採得は,IIA後期においてほとんどの小児で可能であった。しかし,IC期およびIIA前期の低年齢児においてはSサイズでもまだ大きく,さらに小さなSSサイズのシート選択が必要であることが明らかにされた。
    2.咬合力および咬合接触面積において,IIA前期・IIA後期間で統計学的に有意な差が認められた。
    3.乳歯列期において,咬合力,咬合接触面積ならびに咬合圧で30Hと50Hの測定値に差がみられた。これは圧力測定範囲の違いによるものであり,30Hでは測定範囲が狭いと考えられ,乳歯列においても多くの場合50Hのシートを用いるのが望ましいと考えられた。
  • 張 野, 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1996 年 34 巻 4 号 p. 865-874
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久臼歯の髄室床部の解剖学的構造,副根管の発現状況及び副根管の走行形態を明らかにすることを目的に,イヌ11頭(成犬8頭,幼犬3頭)から得られた永久臼歯85歯を用い,連続切片標本による組織学的観察を行った。また,加齢に伴う変化を究明するため,成熟永久臼歯と幼若永久臼歯との相違について比較検討を行い,下記の所見を得た。
    1)イヌの成熟永久臼歯では,髄室床部の象牙質は分界線により上下に2分されていたが,幼若永久臼歯では,髄室床部の象牙質の2層構造は認められなかった。
    2)イヌの永久臼歯85歯中の50歯(58.8%)の髄室床部に66個の副根管(1歯あたり平均1.3個)が認められた。成熟永久臼歯と幼若永久臼歯間における発現歯数と発現個数には有意差がなかった。
    3)イヌの永久臼歯の髄室床部における副根管の走行形態を1~5型に分類できた。根分岐部に開口する型が最も多く,31個(47.0%)であった。髄床底部から根分岐部まで交通する副根管(10.6%)より交通していない副根管(89.4%)が有意に多かった。成熟永久臼歯より幼若永久臼歯において交通している副根管が多かった。
  • 酒寄 浩章, 大出 祥幸, 菊池 進
    1996 年 34 巻 4 号 p. 875-910
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷により損傷した歯槽窩壁に脱離歯を再植した場合に起こる変化を,病理組織学的に研究する目的で,イヌの根未完成上顎第二切歯を用い,脱離後その歯槽窩壁固有歯槽骨に対し,軽度,重度の損傷を与え再植実験し,非脱灰規格化水平断連続研磨切片を作製し,マイクロラジオグラフィー,蛍光顕微鏡,偏光顕微鏡,さらに規格化エックス線写真と臨床所見を加えて比較観察した。
    1)軽度損傷歯では歯根の一部に表在性吸収を認め,歯根全周にセメント質形成が認められた。重度損傷歯には炎症性吸収や骨性癒着を認め,セメント質形成も不規則であった。
    2)軽度損傷歯では広範囲な歯周靭帯の再生が認められたが,重度損傷歯では歯周靭帯の再生はわずかに認められたにすぎない。
    3)水平断で再植歯周囲の歯根膜腔を見ると,軽度損傷歯ではほぼ均一な幅で認められたが,重度損傷歯では不均一な幅となり,またその幅はわずかに狭くなっていた。
    4)歯の長軸方向で歯根膜腔を見ると,軽度損傷歯では歯の周囲を均一な幅で取り囲む機能的な砂時計状であったが,重度損傷歯では不均一な幅になっていた。
    5)周囲歯槽骨は,軽度損傷歯では層状の新生骨の形成が認められたが,重度損傷歯では骨梁が入り混じり不規則に形成されていた。
    6)歯根形成については,軽度損傷歯では歯根形成量に異常は認められなかったが,重度損傷歯では歯根短縮や低位化が認められた。
  • 蓜島 桂子, 蓜島 弘之, 田口 洋
    1996 年 34 巻 4 号 p. 911-923
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,口腔感覚入力による吸啜運動の反射性制御の解明を目的として,乳児および成人を対象とした筋電図学的実験を行った。
    乳児において,授乳中に乳汁流出量を変えて,咬筋と舌骨上筋群の筋活動と吸啜周期の変化を記録した。その結果,乳汁の流出量が多くなると咬筋と舌骨上筋群の活動はともに増強し,運動周期はやや延長した。次いで,成人に吸啜運動を模倣させたところ,筋電図とエックス線テレビの観察から,筋活動ならびに舌運動はともに乳児の吸啜運動中のものに類似していた。さらに,成人での乳汁流出量と運動変化の関係も乳児と同様の結果であった。
    そこで成人に局所麻酔を行って,口腔感覚と吸啜運動との関係について実験的解析を行った。成人の上下顎前歯歯根膜,口蓋粘膜全体,および上下口唇粘膜に浸潤麻酔を行い,麻酔前後の運動を比較した。その結果,口唇と口蓋の麻酔後には,吸啜様運動中の舌骨上筋群の活動量が減少し,口唇麻酔後には咬筋の活動量が増加した。
    乳汁量の多寡に応じて,また局所麻酔により吸啜(様)運動中の筋活動が変化したことから,吸啜運動が口腔内感覚情報によって反射性に調節されていることが示唆された。とくに,吸啜時に強く活動する舌骨上筋群に対して,口蓋ならびに口唇からの感覚情報が促通性に筋活動を調節していると考えられた。
  • 岩崎 智憲, 森主 宜延, 堀川 清一, 旭爪 伸二, 小椋 正
    1996 年 34 巻 4 号 p. 924-941
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯列における叢生の発生過程について,歯列模型ならびに側貌頭部エックス線規格写真により検討されている。しかし,明確に解決されているとは言えない。本研究は,Hellmanの歯齢に従った経年的歯列模型ならびに,頭部エックス線規格写真の分析から,永久歯列における叢生の成り立ちについて検討した。対象は,経年的資料が得られた男子12名,女子14名の計26名であり,歯列叢生度(Arch Length Discrepancy)により正常歯列群15名と叢生歯列群11名の2群に分け比較し検討した。得られた結果は,以下の通りである。1)叢生歯列群の上下顎骨体はHellmanの歯齢IIIA以後,正常歯列群と比較し,近遠心的に短い傾向にあった。2)叢生歯列群の前歯歯軸傾斜は,Hellmanの歯齢IIIA以後,正常歯列群と比較し,小さい傾向にあった。3)叢生歯列群の歯列形態において,歯列幅径がHellmanの歯齢IICにおいて歯列叢生度と有意に正の相関関係を示し,IIIA以後は,歯列弓長径と歯列弓周長ともに,歯列叢生度と有意に正の相関関係を示した。逆に,歯冠幅径については,歯列叢生度と有意に負の相関関係を示した。以上の所見から,永久歯列における叢生は,少なくともHellmanの歯齢IIIAからすでに,歯列形態にとどまらず顎顔面形態においても,歯列の叢生度と関連する変化が生じていることが示唆された。
  • 川島 成人, 惠木 健二, 土肥 順尚, 金沢 興燮, 山口 武人, 能地 康和, 菊池 元宏, 中島 一郎, 赤坂 守人, 新井 嘉則, ...
    1996 年 34 巻 4 号 p. 942-949
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    舌運動軌跡の改善や舌筋の筋力向上,さらに舌と口唇などの他の器官との協調運動を目的に嚥下時の口腔機能を重視した規定動作を考案した。既報の川島の観測システムを用いこの規定動作について超音波断層装置で舌運動時間を,また圧力センサーで舌圧を観測しこれらの再現性を検討した。
    その結果,以下の結論を得た。
    1.超音波断層画像による舌運動時間では,周期時間で被験者に差が認められず週および繰返しで再現性が認められた。また周期時間を構成している各運動時間では,被験者で周期時間を構成している全ての項目で差が認められた。週による再現性は,下方運動時間で認められなかったが,上方接触時間,上方運動時間および下方接触時間で認められた。繰返しによる再現性は,下方接触時間で認められなかったが,上方接触時間,上方運動時間および下方運動時間で認められた。
    2.圧力センサーによる舌圧では,被験者で最大舌圧,舌圧発現時間,時間圧力積および舌圧消失時間で差が認められたが,最大舌圧間時間で差が認められなかった。週による再現性は,最大舌圧,時間圧力積および舌圧発現時間で差が認められなかったが,舌圧消失時間および最大舌圧間時間で認められた。繰返しによる再現性は,舌圧観測項目の全ての項目で認められた。
  • 細矢 由美子, 冨永 礼子, 柏原 陽子, 西口 美由季, 後藤 讓治
    1996 年 34 巻 4 号 p. 950-959
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ウシ象牙質被着面を70%エチルアルコールにより1分間超音波洗浄した場合の,レジンの接着性に及ぼす影響について観察した。
    使用した材料別にAB2群(All-Etch,Primer A and B,Dentin/Enamel Bonding Resin: Bisco社)とSDL群(10-3水溶液,Superbond Primer,Superbond D Liner:サンメディカル社)の2群を設けた。コンポジットレジンは,クラレ社のClearfil Photo Anteriorを用いた。得られた結果をアルコール洗浄を行わなかった既報の結果と比較した。
    1)エチルアルコールにより超音波洗浄を行った切削研磨後の象牙質面には,象牙細管が開口している部分が観察された。
    2)非サーマルサイクリング群とサーマルサイクリング群の接着強さを比較すると,AB2群のアルコール洗浄なしの場合のみに有意差がみられ,サーマルサイクリング群の方が高かった。
    3)アルコール洗浄の有無別に接着強さを比較すると,AB2群の非サーマルサイクリング群とSDL群のサーマルサイクリング群に有意差がみられ,両群ともにアルコール洗浄を行った場合の方が高い値を示した。
    4)象牙質とレジン間の破壊形態については,AB2群のサーマルサイクリング群において出現率に有意差がみられ,界面破壊はアルコール洗浄を行った場合の方が,また,混合破壊はアルコール洗浄なしの場合の方が出現率が高かった。
  • 角尾 明美, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1996 年 34 巻 4 号 p. 960-971
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎骨内における上顎正中部逆生埋伏過剰歯の動きをパノラマエックス線写真から観察した。
    資料は,齲蝕治療や定期診査のために撮影されたパノラマエックス線写真から過剰歯が発見され,その後経年的に2枚以上のパノラマエックス線写真を有する乳歯列期から混合歯列期までの小児42名のパノラマエックス線写真138枚である。
    その結果次のような結論を得た。
    1)経年的パノラマエックス線写真から顎骨内における逆生過剰歯を「移動型」と「非移動型」に分類した。
    2)「移動型」が顎骨内で動きを開始するのは,暦齢6~7歳頃であった。
    3)「移動型」においては,歯根の形成が継続していく傾向にあったが,「非移動型」では途中で形成が緩慢になる傾向であった。
    4)「移動型」において,過剰歯発見時の過剰歯切縁の位置は鼻腔側寄りであった。
    5)「移動型」では,過剰歯側の隣接中切歯が非過剰歯側に比較してやや早く萌出する傾向にあった。また,隣接中切歯の萌出と過剰歯の顎骨内での動きの時期がほぼ一致した。
  • 栁瀬 博, 福田 理, 荻田 修二, 河田 典雄, 河合 利方, 黒須 一夫
    1996 年 34 巻 4 号 p. 972-977
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究はDiazepam経口投与鎮静法の臨床効果に影響している要因について検索した。
    調査対象は愛知学院大学歯学部小児歯科外来を齲蝕処置を目的に受診し,Diazepam(0.3mg/Kg)経口投与鎮静法を応用した1歳から8歳の健常な小児45名とした。そして,本法の臨床的効果に影響している小児の特性を知るため,「年齢」,「性別」,「性格」,「重い病気の経験」,「歯科応急処置の経験」,「経口投与鎮静法非応用時の行動」,「歯科治療前のトレーニングの回数」などの16要因について数量化II類を用い分析を行った。
    被験者は経口投与鎮静法応用時と本法非応用時の歯科治療中の行動の比較より,「著効」あるいは「有効」と評価された小児(有効群)25名と「やや有効」あるいは「無効」と評価された小児(無効群)20名の2群に分類した。
    その結果,相関比は0.76と高い値を示していた。
    また,「年齢」「わがままな性格」「応急処置の経験の有無」「トレーニングの回数」「経口投与鎮静法非応用時の行動」の5要因を経口投与鎮静法の有効性に関連する小児の特性として抽出された。
    さらに,「無効群」は2歳以下で,わがままな子供で,歯科応急処置の経験があり,6回以上のトレーニングを受けており,本法非応用時に身体抑制下の歯科治療を必要とした患児といった特徴を持っていた。
  • 人見 さよ子, 岩田 典子, 音山 考子, 新門 正広, 萩原 智子, 三村 雅一, 石井 信行, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    1996 年 34 巻 4 号 p. 978-982
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Shwachman症候群は,乳児の下痢症,先天性膵外分泌機能不全,骨髄機能障害,発育遅延を伴う疾患である。今回,著者らは本疾患の1症例に遭遇したので,その全身的および歯科的所見などについて検討した。
    1)患児は10歳8か月の男児で,全身所見として,先天性膵外分泌機能不全および先天性好中球減少症が認められた。
    2)初診時の身長111cm,体重22kgで,同年齢の小児と比較して身長・体重ともに低いことが認められた。
    3)口腔内所見として,乳歯および永久歯にエナメル質形成不全,歯肉の炎症および下顎永久切歯の動揺が認められた。
  • 川端 宏之, 金子 明美, 岩崎 浩, 近藤 昭二, 宮沢 裕夫
    1996 年 34 巻 4 号 p. 983-988
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    女性に見られる性染色体の数的異常の一つで,XXX女性(triple-X female),XXXX女性(tetra-X female),XXXXX女性(penta-X female)などのX染色体を過剰に持つ一群はpoly-X症候群と呼ばれている。本症は1959年にJacobsらが"super female"として報告して以来,様々な報告がなされているが,本邦での歯科的所見についての報告はMiuraらのtriple-X femaleのみである。
    本症例の患児はXXXX女性(tetra-X female)と診断された16歳5か月の女児で,先天性心疾患,小頭,低身長,低体重,さらに精神遅滞が認められた。口腔所見では,上顎両側側切歯,左側第2小臼歯および下顎両側第2小臼歯の先天性欠如が認められ,歯冠近遠心幅径は大きく,さらに低口蓋,反対咬合が認められた。
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