小児歯科学雑誌
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永久歯の異常結節の発現頻度とその対応法に関する研究
大野 紘八郎野村 高志佐藤 綾子大森 郁朗
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1996 年 34 巻 4 号 p. 842-848

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抄録

鶴見大学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した患児のうち,Hellmanの歯齢IIIB期以降に達していた患児3,003名(男児1,410名,女児1,593名)について診療記録および定期検診時のエックス線写真を資料として永久歯の異常結節について回顧的調査を行い,その調査に基づいた臨床的対応法について示唆した。得られた調査結果は以下の通りである。
1)切歯結節の認められたものは7名(0.23%),そのうち男児2名(0.14%),女児5名(0.31%)であった。中心結節の認められたものは88名(2.93%)そのうち男児32名(2.27%),女児56名(3.52%)であった。切歯結節と中心結節を有するものは1名であった。
2)切歯結節は8歯,中心結節は235歯(小臼歯部:234歯,大臼歯部:1歯)に認められた。
3)異常結節の歯種別発現頻度について,切歯結節は上顎中切歯2歯,上顎側切歯6歯に認められた。小臼歯部における中心結節は234歯に認められ,その内訳は下顎第二小臼歯96歯(41%),下顎第一小臼歯71歯(30%),上顎第二小臼歯37歯(16%),上顎第一小臼歯30歯(13%)であった。
4)中心結節の顎別発現頻度では上顎67歯,下顎167歯であり,下顎に約25倍多く認められた。左右側別の発現頻度では左側119歯,右側115歯であり,左右差はみられなかった。
5)口腔内診査により中心結節が指摘された患児の平均年齢は10歳5か月であった。
6)エックス線写真による中心結節の診断は小臼歯の萌出前でも可能であった。
口腔内診査で中心結節が指摘された症例のうち,萌出前エックス線写真の回顧的検査で中心結節が指摘された患児の平均年齢は8歳5か月であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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