小児歯科学雑誌
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上顎正中部逆生埋伏過剰歯の顎骨内の動きに関する研究
-パノラマエックス線写真による経年的観察-
角尾 明美鈴木 康生佐々 竜二
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1996 年 34 巻 4 号 p. 960-971

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抄録

顎骨内における上顎正中部逆生埋伏過剰歯の動きをパノラマエックス線写真から観察した。
資料は,齲蝕治療や定期診査のために撮影されたパノラマエックス線写真から過剰歯が発見され,その後経年的に2枚以上のパノラマエックス線写真を有する乳歯列期から混合歯列期までの小児42名のパノラマエックス線写真138枚である。
その結果次のような結論を得た。
1)経年的パノラマエックス線写真から顎骨内における逆生過剰歯を「移動型」と「非移動型」に分類した。
2)「移動型」が顎骨内で動きを開始するのは,暦齢6~7歳頃であった。
3)「移動型」においては,歯根の形成が継続していく傾向にあったが,「非移動型」では途中で形成が緩慢になる傾向であった。
4)「移動型」において,過剰歯発見時の過剰歯切縁の位置は鼻腔側寄りであった。
5)「移動型」では,過剰歯側の隣接中切歯が非過剰歯側に比較してやや早く萌出する傾向にあった。また,隣接中切歯の萌出と過剰歯の顎骨内での動きの時期がほぼ一致した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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