抄録
Stevens-Johnson症候群(以下S-J症候群)は1922年にStevensとJohnsonらが持続する発熱,多発性発疹,潰瘍性口内炎を伴う疾患として最初に報告した多型性浸出性紅斑の重症型である.今回,8歳7か月,男児のS-J症後群の1例を経験し,以下の所見が認められた.
1.口腔内所見として白濁,根の形成障害(短根歯),エナメル質減形成が認められた.これらの障害はS-J症候群が発症した時期が歯冠ならびに歯根形成開始期にほぼ一致し,そのため歯に障害がでたものと考えられる.また平滑舌もみられたが,これも本症が誘因になったものと考えられる.
2.上下顎両側中切歯と下顎右側側切歯に根の形成障害(短根歯)による歯牙の動揺がみられた.