小児歯科学雑誌
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Kinetic Energyの小児歯科領域への応用
-噴射切削法による形成窩洞の組織切片上の検討-
後藤 譲治張 野今武 由美子山邊 陽出代
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1997 年 35 巻 1 号 p. 30-35

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抄録
現在,歯科臨床において歯牙の切削には主として回転切削装置が用いられ,歯の切削時に加圧と振動,騒音と発熱さらに疼痛等を伴う.こうした不快事項が少ないとされるKinetic Energyの小児歯科領域への応用に関して,我々は一連の基礎的研究を行ってきた.今回は噴射切削装置によって形成された窩洞の詳細を知る目的で,組織切片上より窩洞形態等の検討を行った.成犬6頭の75歯に対して,噴射切削装置KCP-2001 J型を用いて5級窩洞を形成した.被験歯を脱灰後,パラフィン連続切片標本とし,ヘマトキシリン・エオジン複染色を施した.光学顕微鏡下に観察および写真撮影し,イメージスキャナーにより画像処理し,50例についてコンピューターにより窩洞の深さ,幅径等を計測した.
本研究の結果,以下の知見が得られた.
1.噴射切削装置による形成窩洞は基本的にはやや外開きのU字型であった.
2.噴射切削法により形成された窩洞の窩壁表面は比較的平滑であった.
3.噴射切削法では無注水であるにもかかわらず,窩洞周囲象牙質にはバーニング像は認められなかった.
4.噴射切削法において,点角,線角の明瞭な窩洞は形成困難であるが,他方,極めて細長い窩洞の形成が可能であるなど,噴射切削窩洞の特徴が判明した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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