小児歯科学雑誌
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小児歯科診療時に母親が術者に及ぼす心理的ストレスに関する研究
-第3報心理的ストレス得点と性格特性との関連性について-
簡 妙蓉石川 隆義長坂 信夫
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1997 年 35 巻 1 号 p. 83-88

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抄録
小児歯科では,術者と母親とのコミュニケーションは重要であるが,診察室へ入室した母親は術者に何らかの心理的影響を与えていると考えられる.母親が術者に心理的ストレスをどのようにどの程度与えているかについての心理的ストレス反応尺度をアンケート形式で作成し,その有効性を認めた.そこで今回,心理的ストレス得点と広島大学歯学部小児歯科学講座に所属する歯科医師23名の性格特性がどのような関連性をもっているかについて検討を行い以下の結果を得た.
1.心理的ストレス得点における性別,歯科医師の年齢,歯科臨床経験,既婚か未婚かのすべての項目において有意差は認められなかった.
2.類型別出現頻度の検討では,D類の安定積極型が34.8%,C類の安定消極型が26.1%と情緒安定型は高率であった.続いてA類,B類,E類の順であった.
3.YG性格検査における12尺度のうち,情緒安定性を測定する4尺度(D:抑うつ性,C:回帰性,I:劣等感,N:神経質)全てと心理的ストレス得点との間で,5%レベルの危険率で有意な相関が認められた.社会適応性(O:主観性,Co:非協調性,Ag:攻撃性)や向性(G:一般的活動性,R:のんきさ,T:思考的外向性,A:支配性,S:社会的外向性)を測定する尺度においては,有意な相関が認められなかった.
以上のことより,小児歯科診療時に母親が術者に及ぼす心理的ストレスとYG性格検査による術者の性格特性との間において,情緒安定性を測定する尺度とは有意な相関は認められたが,社会適応性や向性を測定する尺度とは有意な相関は認められなかったことが示された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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